第12話 漆黒の全裸幼女
「こと・・・ま・・・こと」
何だ誰かが俺を呼んでいる、ここは何処だ、俺は一体、あの後ガドラードに吹き飛ばされてから・・・
ダメだそこで記憶が飛んでやがる。
「ま・・・こと」
また、俺を呼ぶ声がする。
「誰なんだ!誰が俺を呼んでいるんだ!」
気付けば俺は何もない空間にいた。本当に何もない。光さえない。
だから俺は今、真っ暗な闇の中にいる。
それよりも声の主を探さないと。
何故かわからないがとても気になる。声からして女か?しかし男の声にも聞こえる・・・
と、いうかどっちに行けばいいんだこれ。
「あ~っ!もうっ!わけわかんねぇ~よクソっ」
俺は今この状況がどういう状況なのか全く把握できずにいる不安から意味のない愚痴をこぼす。
「ま・・・こと、いい・・・か」
まただ!
「おい!どこだ!さっさと姿を現せ!」
「いい加減にせんかっ!」
ドスッ!!
「ぐはっ!」
そんな声と共に俺は強烈な衝撃を背中に受けた。
そのまま前のめりに顔面からフライアウェイ!
「へぶっし!」
そんなみっともない声と共に俺は顔面を地面に強打した。
「いってーなっ!いきなり何なんだよ!」
俺は思い切り蹴りをくれた奴に文句を言うべく勢いよく後ろを振り返る。
そこには何もなかった・・・
oh・・・モシカシテユウレイ?
「まてまてまてまて!幽霊とか無理だから物理的に無理だから!」
基本俺は幽霊とか苦手なタイプだ。ヤバイどうしようちびりそう。
「何を言うておる我は幽霊なんぞではないぞ。そんな低俗なる種族と一緒にせんでほしいのじゃがな。」
いきなり俺の頭の中にそんな声が響いてきた。
声量からすると女性だ。それもかなり若いしかし話し方が何だかとても年より臭い。
「誰が年より臭いじゃ!」
「どわっ!」
声には出していなかったはずなのに、いきなり思考を読まれたことに驚いた。
「えっと~もしかしなくても俺の考えてること筒抜け?」
「もちろんじゃ!そなたが先程から我の姿を必死に想像してるのもまるわかりじゃ!ほほぅお主はこのような女子が好みなのか?」
「い、いや違うから、てか勝手に人の思考を読むな!」
「そう言われてものぅそなたの物がわらわの中に流れ込んでくるのじゃポッ」
「ポッ、じゃねぇ~よ舐めてんのか」
「ちなみに今そなたが考えたことも筒抜けじゃぞ」
「やめろぉぉぉ~プライバシーと言うものはないのか!」
こんな感じで先程から謎の声の主と会話のやり取りをしている。
傍から見れば一人でぶつぶつ独り言を言っている危ない奴に見えるだろう。
「それよりこっちじゃはよせい」
声の主がそういうと暗闇に中に一筋の光が差した。
その光は見る見るうちに大きくなりやがて扉の形になった。
どうやら部屋から漏れ出た光らしい。
俺はその光の下へ駆けた。
フッ————————
部屋に踏み込んだ瞬間俺の目に大量の光が差し込んできた。
たまらず俺は目を閉じる。
そしてだんだん目が慣れてくるとそこには驚くべき光景が広がっていた。
「な、なんだよこれ・・・」
俺はあまりの光景に呆然と立ち尽くす。
俺の目の前に広がっていたのはとても巨大な屋敷だった。
圧巻とはまさにこのことだろう今まで一度もこんな立派なお屋敷は見たことがない。
そんな光景に目を白黒させていると、ギッーッッバタンッ!
扉の閉まる音が聞こえた。後ろを振り返ってみれば先程俺が入ってきた扉はもうなくなっていた。
代わりに俺の目の前に広がるのは漆黒の薔薇がたくさん咲いている薔薇園とこの世の物とは思えないほど綺麗で透き通った水に虹を咲かせている大きな噴水、まさにお金持ちが住みそうな屋敷と庭が広がっていた。
そう俺は扉から入ってきたから無意識のうちにどこかの部屋だと勘違いをしていたがそんなちんけなもんじゃない。
今俺がいるのはさっきとは全く別の空間だ。
まるで別世界に迷い込んだかのようだ。
「ほれっ何をしておるこっちじゃ」
俺がボケ~っとしているのにしびれを切らしたのか声の主は急かす様に言ってくる。
俺は声のするまま歩き出す。
「えっとここを右に曲がってそんで突き当りを左、真っ直ぐに進んでまた左、そして右に曲がってあとは一直線に進めば・・・」
「あった、ここだ」
今俺の目の前にはこれまた漆黒の大きな扉がある。
しかし不思議だここに来たのは初めてのはずなのに全然そんな感じがしない。
何故だ?以前にもここに来たことがあるような・・・
俺は目の前の大きな漆黒の扉に手をかける。そして一気に開け放つ!
バンっ!勢いよく開け放たれる扉そしてそこにいたのは・・・
「よ~きたのぅ誠、久方ぶりの再会じゃな。とは言っても主は覚えておらんじゃろうがな」
「にしてもよ~やっとじゃ、よ~やっとそなたに・・・」
そう言って彼女はとても嬉しそうに微笑むのだった。
その顔を見た瞬間、俺はそのたった一瞬で彼女に見入ってしまった。
そう俺の目の前にいたのはとても美しい黒髪を持つ幼女でその黒髪は何処までも長くそして見るものすべてを飲み込んでしまいそうなほどに黒く、そう言い現わすならそれこそ彼女は”漆黒”俺はそう思った。
しかし何故俺の目の前にいるこの幼女は素っ裸なのだ?
そう彼女は一糸まとわぬ姿のままで堂々とそのベットの上に腰かけていた。
「痴女?」
「裸族じゃ!」
俺のぽろっと出た言葉に彼女が勢いよくツッコミを入れたのは言うまでもない。
彼女のナイスなツッコミがこの大きな部屋に木霊する。
裸族じゃぁ~裸族じゃぁ~裸族じゃぁ~
言って目の前の幼女は木霊する自身の言葉に羞恥心を覚えたのか少し顔を赤らめる。
それもまた、見た目以上に可憐に見えてしまう俺はもう手遅れなのだろうか・・・
願わくばこれから先の未来この訳の分からん幼女と関わり合いになりませんよにと、心の中でさほど信じてもいない神にお願いする。




