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【コミカライズ①巻発売中】俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です  作者: シンギョウ ガク


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第84話 ガチャと海産物の魅力には勝てない


 ガチャはアスターシアに許可された物が入った専用のエサ皿に頭を突っ込んで美味しそうに昼食をとっていた。



 その姿をジャイスたちはニヤニヤしながら、ガチャの食事姿を目を細めて眺めている。



 まぁ、うちのガチャは最高に可愛いからな。そうなってしまうのもしょうがない。



 俺もジャイスたちと同じように目を細めてガチャの食事姿を眺めながら、彼らがお勧めとして注文してくれた新鮮な刺身を醤油に付けて口に運んだ。



 リスタルポートは港街ということもあり、海産物が豊富でテーブルには刺身の船盛りやらハマグリの網焼き、煮魚などがテーブルに並んでいる。



 刺身、うまい……。脂ものってて、水っぽくないし、久しぶりに魚を食った気がする。



 ホーカムの街は内陸だったから、新鮮な魚の刺身とか見かけなかったしな。



「うめ……」


「おいしいですね。以前、寄った時は2日の滞在だったので、リスタルポートの海産物はあまり食べられませんでしたが、ここまでおいしいお魚は初めてです」



 アスターシアも海産物のうまさに驚いている様子だった。



 暑い場所だけども、これだけうまい海産物が食えるなら、腰を落ち着けてもいい気がする。



「うめえか? リスタルポートの海産物は一級品だからな。なにせ、ここの海は昔からいくさのたびに船が沈んでるから、近海にいい漁場がいっぱいあるしな」



 あの沈んで着底してる戦艦も今はいい漁場になってるんだろうな。



「それに養殖も盛んだしな。新鮮な魚を安定供給できてるってわけよ。だから、安く食えるってわけだ」



 ジャイスはガチャの食事風景を眺めながら、俺たちにリスタルポートのことを教えてくれていた。



 容姿はいかついけど、いいやつ認定。



「……それにしても……。食事する姿も可愛すぎだな……。オレも探索犬が好きだから何頭も見てきたが、ガチャほど愛嬌があって可愛いのはいなかったぞ」


「普通、探索犬ってご主人様以外に寄り付かない子がほとんどだしね。おやつおねだりする子なんて初めてみたよ」


「小型の子もたまにいるけど、大半が大型犬だしな」



 この街に入ってから、探索犬を連れた探索者を何人か見かけたが、たしかにジャイスたちの言う通り、大型の犬種がほとんどだったし、ガチャみたいに人に寄って行く子はいなかったな。



 まぁ、うちのガチャは人好きというか人懐っこいというか、食い意地が張っているというか、とにかく人のいるところに行きたがる。



 もちろん、誰彼構わずというわけじゃなく、ガチャも人を見極めて寄ってっているみたいだから、俺も好きにさせているんだが……。



「まぁ、ガチャはちょっと変わった探索犬だからな」



 俺にはガチャガチャマシーンにしか見えないわけで、みんなに見えてるわんこ姿のガチャも可愛いと思うが、こっちの姿も見せてやりたい。



「はぁー、可愛いなぁ。オレらもいつか探索犬を連れて歩けるくらいにはなろうぜ」


「そうだねぇ」


「オレはガチャみたいな小型の子がいい!」


「た、たしかに……」



 ジャイスたちがガヤガヤと喋っていると、カウンターからしわ枯れた男性の声が聞こえてきた。



「だったら、仕事しろ。用事から戻ってきたら、仕事もしねぇ探索者が昼間から酒盛りか。お前らの飯代、おれがツケにしてやってるんだからなー」



 声のした方を向くと、髪が白髪になった老人が腕を組んでこちらを見ていた。



 まとっている雰囲気から、この店の主っぽい感じがする。



「ヴァン爺さん、働けって言われてもよ。クソみてーなクズダンジョンの調査探索依頼しか回ってこないじゃないっすか。稼げないからみんな嫌気がさして他の街に移っていっちまったしよ」


「文句を言うな。依頼はタップリあるんだ。地道にやれば食えるだろ。そっちのは新顔らしいが、この第二探索者ギルドを仕切ってるヴァンだ。よろしくな」


「ヴェルデだ。よろしくこっちが」


「アスターシアです」


「で、おれのところにおねだりに来た子がガチャってわけか」



 いつの間にかヴァン爺の足元に駆け寄っていたガチャが、抱っこしてほしそうに足元をぐるぐると駆けまわっている。



 抱き上げてもらったガチャは喜んでいるらしく、レバーがギュインギュインと高速で回っていた。



「ヴァン様、先ほどの話ですが、この第二探索者ギルドには低級ダンジョン調査探索依頼しか回ってこないというのは本当でしょうか?」


「まぁ、嘘を言ってもしょうがない。お嬢ちゃんの言った通りさ。ここで一定の実績を上げないと第一には入れない」


「その実績って、どれくらいでしょうか?」


「GかFの探索依頼を100回達成した者と規定されてる。他国で挙げた実績は回数には含まれないがな」


「100回ですか……。いちおう、あたしはLV10ですし、ヴェルデ様にいたってはLV20なのですが……」


「以前なら、他国の実績やLVも加味してたんだがな。今はこの国でやった依頼でって話だ。馬鹿らしい規定だがな」



 LV10は脱初心者ってくらいだったはずだが、ここじゃあ、また初心者扱いか。



「実際、ここでやってた連中も規定ができてから、他の国に流れちまったわけで。船便もあって移動には困らないしな。LV20もあって稼ぐつもりなら他の国の方がいいかもしれんな。あんたらはどっから来たんだ?」


「クルリ魔導王国ですが……」


「ああ、そっちからか。あそこの国はオッサムの森への探索者の一極集中を緩和したらしいな。でも、ヴェルデやアスターシアなら仕事には困らないだろ?」


「そうなのですが、ヴェルデ様が各国を見て回りたいと申されまして、こちらに足を延ばしてまいりました」


「そういうことか。そりゃあ、災難だったな。規定ができる前ならあんたらの実力に合わせた依頼を紹介してやれたんだがな。今は無理だ」



 アスターシアが『どうします?』と言いたげにチラリと俺の顔を見てきた。



 GとかFしかないとなると、ホーカムの街とさして変わらない感じだが……。



 低級も数をこなせば食えないわけでもないのは、ホーカムの街で学んだことだ。



 まぁ、それに国を跨いだことで追手の心配も薄らいだし、旅を急ぐ必要はないし、まったりと観光しながら依頼を受けるのもいいかもしれない。



 暑いけど、海産物はうまいのが分かったし、ジャイスやヴィー、ヴァンとかとも知り合えたから、腰を落ち着けるのも悪くないと思う。



「まぁ、規定ならしょうがない。とりあえず、気に入ったので、しばらく、ここで仕事をさせてもらうつもりだ」


「ヴェルデ様がそうおっしゃるなら、あたしは文句ありません。お魚料理のレシピも増やしたいですしね」



 それはいいアイディア。アスターシアのレシピの充実のためにも、しばらくここで頑張ることにしよう。



「ガチャ、しばらくここで仕事するぞ。ヴァンさんにはタップリ可愛がってもらえ」



 ガチャは『承知しましたー!』と言いたげに抱き上げてもらっているヴァンに対し、レバーを回して喜んでいた。



「変わった連中だな。まぁ、仕事さえしてくれたら歓迎するぞ。ガチャも頑張って仕事してくれ」



 ヴァンもガチャに対しすでにメロメロらしく、ニコニコしながら目を細めて微笑んでいる。



「ヴァン爺、ガチャの独り占めズルいぞ! オレも――」


「あたいもーー!」


「オレだ。オレ!」



 うちのガチャはどこに行っても大人気だな……。うんうん、可愛いから仕方ない。可愛いからな。



 俺はテーブルの上の食事に舌鼓を打ちながら、みんなにモフモフされて喜ぶガチャの姿を愛でていた。

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