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神京都監査録 ~独立公文書管理審査機構 第六課~  作者: タツ梵
第1章

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第四話 物流センター

配送車両は進路を変更し、神京都第三区画物流センターへ向かっていた。

夜の交通量は少ない、物流専用ルートであればなおの事だ。

高架物流ルートを滑るように走りながら、車両は海上連絡橋を渡る。


窓の外には神京都の夜景が広がっていた。

天柱は相変わらず遠くに見える。

夜空を支える柱のように。


ナミは欠伸を噛み殺した。

時計を見る。

二十二時を回ろうとしている。


「絶対長引かないやつでお願いします……」

誰に言うでもなく呟く。

当然返事はない。


数分後。

物流センターの巨大な建物が見えてきた。


昼夜を問わず稼働する国家肝いりのGDSA中核施設。

通常配送。

特殊配送。

政府案件。

国際輸送。

様々な荷物がここを経由する。


車両は認証ゲートを通過した。

施設内へ入る。

こんな時間にもかかわらず人影は少なくない。

荷役ドローン。

搬送ロボット。

夜勤スタッフ。

巨大施設は今も休むことなく動き続けていた。


車両を降りたナミは受付端末へ向かう。

緊急配送案件の受付番号を入力する。

端末が認証を開始した。


数秒後。

画面表示が変化する。

通常配送。

緑色。

危険物配送。

黄色。

そして。


画面全体が黒へ切り替わった。

「……ん?」

ナミは思わず首を傾げた。

見たことのない表示だった。

やがて白文字が浮かび上がる。

特殊輸送案件。

担当者の到着をお待ちください。


「特殊輸送?」

聞いたことはある。

だが実際に担当するのは初めてだった。

軍関係。

政府関係。

外交案件。

そういった特別な荷物を扱う部署が存在することは知っている。

ただし。

普通の配送員が関わることはほとんどない。


ナミは少しだけ眠気が飛んだ。

その時だった。

「シガン・ナミさんですね」

声がした。


振り返る。

そこには黒いスーツ姿の男性が立っていた。

GDSA職員には見えない。

少なくとも配送部門の人間ではなかった。

胸元には見慣れない認証バッジ。

表情は硬い。

どこか軍人を思わせる立ち姿だった。


「はい」

「私ですけど」

男性は端末を確認し、小さく頷いた。

「こちらへ」

それだけ言う。

説明はない。

愛想もない。

ナミは少しだけ嫌な予感がした。


だが断る理由もない。

男性の後を追う。

物流センターの奥。

普段入ることのない区画へ。

照明は明るい。

だが不思議なほど静かだった。


先ほどまで聞こえていた機械音が遠ざかっていく。

やがて一枚の重厚な隔壁の前で男性が立ち止まる。

認証。

解錠。

重い金属音。

隔壁がゆっくりと開いた。


その向こうにあったものを見て。

ナミは思わず足を止めた。

「……何これ」

そこには。

ただの荷物には見えない何かが置かれていた。

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