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Outpost C


疲労のため眠りに落ちた若きプライムは、浅い水が絶えず流れる暗く空虚な場所の夢を見た。そこには膝ほどの高さの紫色の花が至る所に咲いており、どこか物寂しい雰囲気を漂わせていた。さらに、この場所の空気は冷たく、虚無と悲しみを感じさせた。


「ここはどこなんだ?」


彼は不思議に思い、あちこちを歩き回ったが、どれだけ進んでもその果てを見つけることはできなかった。


パチン!


彼は自分の頬を叩いた。


「これは絶対に夢だ。痛っ! 起きろよ」


だが頬を叩いても効果はなかった。今度は体をつねってみたが、何も起こらない。彼は依然としてその暗闇の中に立っていた。


どこを見渡しても闇ばかりで、冷たい水が絶えず足首まで流れている。シットはさらに走り続けたが、そのたびに疲労だけが増していった。


「出してくれ! 出してくれよ!」


彼は大声で叫んだが、返事は一切なかった。疲れ果てた彼はその場に座り込み、これがただの夢であり、自分が早く目覚めることを願った。ここに長くいるほど、その空虚さに心が蝕まれていくような気がしたからだ。


その時、彼の頭上に光が現れた。


青年は慌てて顔を上げ、その光の源を見た。そこには半透明の球体のようなものが浮かんでいた。その光は肌に触れると温かさを感じさせた。彼は手を伸ばしたが、その球体は届かないほど高い位置にあった。


「何なんだこれ……温かいな」


すると予想もしなかったことが起きた。


その球体が声を発したのだ。


しかも若い女性の澄んだ声だった。


「こんにちは!」


青年は驚いて思わず声を上げた。


どうやら自分の夢は想像以上に奇妙なものらしい、と彼は思った。


「これは夢じゃないよ、シット」


「はぁっ?」


青年は再び驚愕した。


「俺の考えが読めるのか? あなたはいったい誰なんだ?」


「……」


返事はなかった。


どうやら答えられない質問らしい。


彼はすぐに次の質問を投げた。


「じゃあ、どういう意味だ? ここが夢じゃないなら、ここはどこなんだ?」


「ここはマナの在処。つまり、あなたの中にあるマナの貯蔵場所よ」


「俺のマナの貯蔵場所……?」


彼は周囲を見回しながら紫色の花に触れた。


「流れている水はあなたのマナの量よ。感じられるでしょ? その水を使って想像してみて」


言われるままに彼は水をすくい上げ、手にしていた紫色の花を思い描いた。


すると瞬時に、その水は形を変え、紫色の花へと変貌した。


彼は驚いた。


低位プライムの自分にはあまりにも速すぎる変化だったからだ。


彼はかつてマナでナイフを作る訓練をした時のことを思い出した。その時は不完全な形のナイフを作るだけで二分以上もかかり、試験にもぎりぎりで合格したのだ。


「変だな……なんでこんなことができるんだ?」


「言ったでしょ。ここはマナの貯蔵場所。普段使うマナはここから体外へ引き出される過程を経るから不純なの。でもここでは何の過程も経ていない。だから純粋なマナなのよ」


「純粋なマナ……?」


シットは周囲を見回した。


自分のマナはこんなにも多かったのか。


果てが見えず、限界も感じられない。


それなのに、自分はほとんど活用できていなかった。


彼が使えるマナスキルは、瞬間的に速度を上げる《Sprint》だけだった。


「あなた、自分のマナが多いと思ってるの?」


「まあ……低位プライムの俺からすれば十分多いですよ」


彼は笑顔で答えたが、その奥には寂しさが隠れていた。


「ふふっ」


球体はさらに強い光を放ち始めた。


シットは思わず目を覆った。


「うわっ、何が起きた!?」


眩い光が辺り一面を包み、一瞬すべてが真っ白になった。


やがて光が薄れる。


彼が目を開けると、そこには足元まで届く長い髪を持つ少女が立っていた。


彼女の体は光を放ち、頭上には黒い輪状のハローが浮かんでいる。


さらに黄金色の粒子が辺り一面に舞い落ちていた。


「あなたは……いったい何者なんだ?」


「いつか答えを知ることになるわ」


彼女は静かに言った。


「いつか、か……」


「さて、本当にその程度のマナで満足しているの? 私のマナの欠片を見せてあげる」


次の瞬間。


膨大な量の水がシットを飲み込み、彼は一瞬で水没した。


状況に対応できず、水を飲み込みながら意識を失いかける。


それを見た少女は力を使い、彼を水面の上へと引き上げた。


「見なさい。そして力を渇望しなさい」


シットは水を吐き出して顔を上げた。


そして目の前の光景に言葉を失った。


足首までしかなかった水は、いつの間にか広大な海へと変わっていた。


そこには無数の生物が生息している。


「な……何なんだよ……。あなたはいったい誰なんだ? どうしてそんな莫大なマナを持ってるんだ?」


彼は呆然と尋ねた。


しかし少女は答えない。


それでも彼女がわずかに口元を吊り上げて笑ったのを、シットは見逃さなかった。


ドォン!!


少女はシットを海へ投げ落とした。


すると海は急速に縮小し、再び彼本来の空虚な空間へと戻っていった。


少女はゆっくりと降り立ち、水面の上を歩きながら紫色の花を摘んだ。


「綺麗な花ね」


「一つ聞きたい。あなたは俺に何を求めているんだ?」


「うーん……二つあるわ」


彼女はそう言った。


「一つ目。あなたはもっと強くなって、メジャーを滅ぼさなければならない」


「それなら最初からそのつもりだったよ。じゃあ二つ目は?」


少女は意味深に笑った。


そして指で空間を裂き、次元の裂け目を作り出した。


そこから不思議な模様の入ったガラス瓶を取り出し、中身を水へ注ぎ込む。


透明だった水は瞬く間に紫紺色へと変わり、煌めきながら広がっていった。


同時に紫色の花々も輝き始め、先ほどまでの寂しさは一瞬で消え去った。


「二つ目は……いずれ必ず分かるわ」


そう言い終えた瞬間。


シットの体にこれまで感じたことのない冷気が走った。


視界がぼやける。


そして彼はその場に崩れ落ちた。


すべてが徐々に闇へ沈んでいく。


少女の姿もまた、意味ありげな微笑みを残して消えていった。


「うわああああっ!!」


シットはベッドの上で飛び起きた。


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