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『喧嘩無敗〜魔力0で追放された俺、魔法を拳でぶっ潰す〜』   作者: 緋村 獏


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101/108

101.~鬼塚剛~ぶっ殺す②


「きた……」


神崎の声が、歓喜に震えていた。


「レベル999……」


神崎が、両手を広げた。

空を仰いだ。


「異世界レベル999……最強勇者だ!!」


絶叫が、空に響いた。

勝利の雄叫び。


だが——


「あれ?」


神崎の声が、変わった。

困惑。


「羽が消え……」


白い翼が、光の粒子となって消えていく。

浮遊していた体が、落下を始めた。


ドサッ。


地面に、尻餅をついた。


「いでっ!」


情けない声を上げた。

神崎が顔を上げた。


「あれ? 剛じゃん」


俺は、神崎に向かって歩き出した。

一歩。

また一歩。


「お前も敵だし、殺そうと思ってたんだよね」


神崎が立ち上がった。

服の埃を払った。


「聞けよ、レベル999になったんだ」

「シカト?相変わらずムカつくなお前」

「土下座でもすれば許して——」


ドゴッ!!!


全身全霊。

右ストレート。


拳が、神崎の顔面にめり込んだ。

歯が砕ける感触が、拳に伝わった。


神崎の体が、吹き飛んだ。

地面を転がり、瓦礫に叩きつけられた。


「うぅ……」


神崎が、顔を押さえた。

口から、血が溢れていた。

折れた歯が、地面に転がった。


「歯……歯がぁ……」


震える手で、口元を押さえている。

信じられないものを見るような目。


「許さないぞ……」


神崎が立ち上がった。

剣を構えようとした。


「ヘブンリーエッジ!」


光が——灯らなかった。

何も起きなかった。


「え、なん——」


ドゴッ!!


もう一度。

左フック。


神崎の顔が、横に吹き飛んだ。


「ぶぇっ!」


また転がった。

今度は、自力で立ち上がれなかった。


四つん這いのまま、俺を見上げた。


目が、揺れていた。

恐怖。

混乱。

そして——理解できないという絶望。


「ひっ」


這いずるように、逃げようとした。


俺は追いついた。

腹に、拳を叩き込んだ。


ドスッ!


「お゛ぉっ!」


神崎の体が、くの字に折れた。

胃の中身が、逆流したようだった。


もう一発。


ドスッ!


「が゛っ……!」


ビチャビチャ。


神崎が吐いた。

血と胃液が混じったものが、地面に広がった。


「い、いだい……!」


神崎が泣いていた。

涙と鼻水と血が混じって、顔がぐちゃぐちゃになっていた。


「くそぉ……!」


神崎が片膝をたてる。

逃げようとした。

俺から、離れようとした。


「逃げんなやゴラァッ!!!!」


俺は叫んだ。

その瞬間——


ガシャンッ!!


金属音が響いた。

金網に阻まれていた。


「なんだよこれぇ!!」


神崎が叫んだ。

金網に手をかけ、必死に揺すっている。


「出して!! 出してよ!!」


金網?

いつの間に。


……まぁいい。

好都合だ。


ドゴッ!

「ぶぉっ!」


ドスッ!

「お゛っ!」


夢中で拳を叩きつけた。


 

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