日頃の行い
とある雨の日の朝、私は一人で電車に乗って高校に通学している。
「うーん、今日も雨すごいな〜。」
何気ない一日のはずだった。だが、しかし電車に降りてから私は気付いてしまった。
「……あれ? 傘は? あれ? あれれれ!? どこ! どこ!?」
私はハッとした。そういえば電車に乗っていて偶然端っこの席が空いたから座って、手すりに傘をかけて……、そのまま。
「あー!! どうしよう……折りたたみもないし、裕香ちゃんを呼ぼうにしても迷惑だし……。」
結果私は諦めて大雨の中走って学園に向かった。私が着いた頃には制服がびしょ濡れだった。
「うぅ……、まぁでもジャージを鞄の中に入れて……無い!?」
そういえば朝にジャージを持って行こうとしたが、傘があるし荷物になるから大丈夫と思いわざわざ持ってこなかった。
「私の馬鹿ぁ!」
私は濡れた制服のまま教室に入ると、裕香が二度見した。
「ちょっ、茜!? どうしたの?」
「それがさぁ……、電車で傘忘れて、それで登校してきたんだけど、ジャージも忘れちゃったの。」
「もう……風邪引くよ? ほら私のジャージ使っていいから、着替えておいで?」
「え? でも……。」
「ほら、いいから使って。このまま風邪引いたら困るのは私だからね?」
私は少し躊躇ったが渋々了承した。
「うん、ありがとう!」
私は更衣室に駆け込んで急いで着替えた。その際少しだけジャージの匂いを嗅いだ。とても清潔感のあるいい匂いだった。教室に戻ってくると裕香が少し不思議そうに私に「遅かったね。」と言った。
「いや、そのっ! 更衣室がとても混んでたから遅れちゃって!」
「まぁ、今日の雨すごかったからね。」
その後も雨は弱まる気配が無かった。
「いつになったら止むのかな……。」
「今日は一日中大雨だって。傘は大丈夫なの?」
「うん! 帰りに職員室に寄って借りてくるから……。」
放課後、私は真っ先に職員室に行って傘を借りようとした。
「失礼します、一年三組の霧宮茜です。傘を借りにきました。」
すると担任の先生が対応してくれた。
「あら、霧宮さんね。生憎だけどさっき傘を忘れた子が持っていっちゃってもう無いのよ。ごめんなさいね。」
「え? えぇ!?」
はい詰んだ、また帰りも地獄になった。私はもう諦めて帰ろうとしてるところに裕香ちゃんと偶然あった。
「あれ? 茜、どうしたの? それより傘は?」
「それが、もう無いらしくて……。」
「じゃあ、私の一緒に使お?」
その言葉に私は目を見開いた。
「でもっ……。」
「ほら、いいから、先帰っちゃうぞ〜?」
「っ! ちょっ、待ってよ〜!」
私は裕香の隣に入った。
「ねぇ、茜、さっきから顔赤いけど、熱でもあるの?」
そしてそっと裕香の手が私のおでこに当てられた。さらに私の顔が赤くなっている。
「っ、ゆ、ゆ、裕香ちゃんっ!?」
「ちょっ、茜、どうしたの急に?」
「だって、裕香ちゃんの手がっ……。」
その瞬間、突然車が水溜りを通って、その跳ねた水が裕香に当たろうとしていた。
「あ、裕香ちゃん危ないっ!」
咄嗟に私は裕香ちゃんの前に出て庇った。
「ちょっ、茜!?」
「うぅっ、ずぶ濡れ……。」
結局また制服を濡らすことになった。
「まったく……、っ、ぷっ、あははっ!」
「っ! 裕香ちゃんっ!?」
「ごめんっ、なんか朝の時と状況が同じでっ。」
「むぅっ……、せっかく庇ったのに……。」
私は裕香の横顔を見た、とても笑ってる、またドキッとしてしまった。そして私も笑った。今日は一日悪い日だったけど、この時間だけは、とても楽しかった。




