百合ってる……。
「あの、昨日お名前聞き忘れて。」
「あ、私? 旗花裕香だよ、よろしくね。」
裕香は私に向けて微笑んだ。天使のような微笑みだった。その微笑みに私はとてもドキッとしてしまった。
「えっとっ、霧宮茜です! よろしくお願いします!」
「うん、茜さんね。」
「あ、茜で良いよ!」
「じゃあ茜、よろしく。」
そうして私たちはいつも隣にいるような存在になっていた。とある日、いつも通り裕香の隣にいて話をしながら廊下を歩いてた。
「それで、昨日も遅刻しちゃってさ。」
「へぇ、私も実は今日遅刻しちゃって、その理由がスマホのアラームが鳴らなくて、それで遅刻しちゃったの。」
「あ、分かる〜! 私も入学式当日でさ……。」
その時裕香が立ち止まって、私は立ち止まった裕香にぶつかった。
「痛っ! 裕香ちゃんどうしたの?」
「シーっ、あれ。」
そして裕香が指で刺した方向を私は見た。女の子が二人で戯れあってた。
「ねぇっ、ちょっ、やめてよ〜。」
「やめないよ〜、ほら! こっち〜。」
とても楽しそうだった。そして突然その一人の子の顔が何か言いたそうな顔になった。
「ねぇ、流奈、私たち本当に付き合ってること隠さなくて良いんだよね……?」
「当たり前じゃん、私たちは正真正銘カップル、この学園の掟でもあるんだから。」
「っ! だよね!」
見ていた私はつい声を出してしまった。
「え?」
もちろんその声は向こうの二人にも聞こえていた。
「誰かいるの!?」
「出てきて、今出てきてくれば何も言わないから。」
「っ、ごめんなさい! 別に盗聴とかじゃなくてっ!」
「勝手に聞いてしまいごめんなさい。お二人はどう言う関係なんですか?」
「えっと……私たちは……。」
そしてその子が流奈と言われた子を見た。
「カップルだよ。それであんたたちは?」
「ちょっ! 流奈ったら!」
「別に隠す意味は無いっしょ?」
「そうだけどっ……。」
「裕香ちゃん、何か私たち……悪いことしちゃったね。」
「うん、ほら、茜あっち行こ?」
「ちょっと待って、その、今回のことは見なかったことにしてくれるかな。」
「いや、見なかったことにしなくても良いよ。むしろあんたたちこそカップルに見えるけど?」
「え? えぇ!? 別にっ、そんな事ないけど、そうなのかもしれないなぁ〜っ。」
私はチラッと裕香を見た。
「別にっ、私たちはそこまでは、ただの友達くらいだよ……。」
「そういえば、さっき学園の掟って言ってたけど、どう言う事?」
「えっと、それは、話す?」
しかしその子が話す前に裕香が口を開いた。
「百合をしないといけない。出来なかったら、まぁ酷い間に遭うよ。」
「……え?」
「ほら、入学式の時に校長先生が話してたやつ。ひょっとして、その時も寝てたとか?」
裕香がじとーっと、私を見てきた。
「え、えっと〜、ね、寝てないよ〜っ!」
私の目は泳いでいて三人の声が同時に重なった。
「嘘だね。」
私はそっと三人から目を逸らした。




