17・振り返って
少々短いですわぁ。
マインのその日の夜ご飯は、昼間に茸鍋に使った兜で、朝倒したフォレスト・ウルフの肉を使った鍋を、夜の砂浜で食べていた。
「う~ん…転生前は微塵も興味なかったソロキャンプを、まさかこんな形で行うとはね」
炎に照らされて煮えた肉を頬張りながら、マインが感傷深く呟いた。フォレスト・ウルフの肉は思いのほか美味くて、食感や喉越しも絶品であった。
『これって僕がドラゴンになったから? ドラゴンって肉食のイメージがあるよね…?』
『フォレスト・ウルフの肉自体が、それなりの高価な食材のため、マスターがドラゴンである事は関係ありません』
マインの心の疑問に、アヤメがそう返した。
「あ、そうなの…よし! じゃあ此れからはフォレスト・ウルフを見つけ次第、ハンティングしよう!」
そう決意をするマイン。そして傍らに置いてあった紫色の木の実を手に取った。
「あの後適当に取った木の実だけど…美味しそう♪」
マインは木の実を食べようと、大きく口を開けた。
「あ~ん♪♪♪」
『マスター、その木の実…』
「バクッ!」
アヤメが何かを告げようとしたが、それより先にマインは木の実を一口で食べてしまった。すると…。
「!!!!!!!! `*%$&#!*`?♪♭」
意味不明な言葉を叫びながら、マインは砂浜をのたうち回る。
『その木の実はとても苦くて辛くて酸っぱくて不味い木の実ですが…遅かったみたいですね…』
アヤメが木の実の味を告げるが、もがき苦しんでいるマインには届かない。
『幸い命には関わらないので、大丈夫です』
冷静にマインに告げるアヤメだが、お世辞でも大丈夫ではない。
「……」
現にマインは白目をむいて、口から唾液やら泡やらを出して気絶していた。
※ ※
その夜、自室のベッドに横になったマインは、『ファイアボール』の炎が灯されたランタンの灯に照らされながら、此れまでの事を振り返っていた。
「…そういえば、僕はどうして闇と火と水の魔法を使えるんだろう」
考えるマイン。やがて一つの事を思い出していた。
「そういえば僕が死ぬとき、全身打撲で体が熱かった上に、雨に濡れていたな…暑かった=火、雨に濡れていた=水の魔法を会得したのか…じゃあ闇は…?」
あの時の事を思い出していくマイン。
「あれかな…楽しみにしていた漫画が見れなくて、それが悔しくて憎悪になって、それが闇になったとか…?」
仮にそうだとしたら、それで闇魔法を会得した事に、マインは軽く自分に恐怖を感じた。
「…まあ考えたって仕方ないか。どうしてそんな魔法を会得したかは、正しい答えは分からないけど、僕はそれを使わせてもらって、自由に生きるさ!」
スーパーポジティブマイン。何事も明るく考えられる。
「さてと、もう寝よう」
ランタンの灯を消して、マインは眠りに就いたのであった。
フォレスト・ウルフの肉を茸鍋に使わなかったのは…ただ単純に僕が忘れていたからなんですわぁ。あーちゃんやん。
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