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#44 東音祭

文化祭当日。


いつもは音楽と授業のために使われている東音高校の校舎が、今日は朝から別の場所になっていた。廊下の天井には色紙で作られた鎖飾りが渡され、窓や教室の扉には、手書きの看板や風船が所狭しと貼りつけられている。制服の上からエプロンを着た生徒、顔に傷のメイクを施した生徒、段ボールで作った巨大な剣を抱えて走る生徒。校舎へ足を踏み入れた瞬間から、普段とは違う匂いがした。


鉄板で焼かれるソース。

油へ落とされたたこ焼き。

甘いクレープと、焦げたキャラメル。


遠くの教室からは悲鳴が聞こえ、その直後には笑い声が廊下まで響いてくる。リョウヘイは人で埋まった廊下を見渡し、感心したように呟いた。


「やってんなー」


すぐ隣を歩くハルナも、同じように周囲へ目を向ける。


「やってるねー」


焼きそば、たこ焼き、お化け屋敷、メイド喫茶。壁へ並んだ看板を見る限り、いかにも文化祭らしい出し物が揃っている。音楽専門の高校だからといって、全クラスが変拍子研究会や自作エフェクター展示を始めたわけではないらしい。そのことに、リョウヘイは妙な安心を覚えていた。


「よかった。ちゃんと高校の文化祭だ」

「何を心配してたの?」


ユイがたこ焼きの匂いへ顔を向けたまま尋ねる。


「全教室からギターソロが聞こえてきたらどうしようかと」

「それはそれで楽しそうです」


ヒナが真剣な顔で答えた。


「ヒナだけは喜ぶと思ってた」


人混みの間を4人で進みながら、ユイが両手を頭の後ろで組む。


「特進は7人しかいないからなー。出し物とか無理だよね」


「7人でもメイド喫茶はできるだろ」


「綾坂が厨房でキレて、フミ先輩が注文を3文字で済ませて、サクラ先輩が全客席を独占する店になるよ」


「サクラ先輩1人で成立しそうだね」

ハルナが想像して笑う。


「ティアーユ先生を呼び込みに置けば、客は来そうです」

ヒナが付け足した。


「誰も気軽に入れないだろ」


「ティアーユ先生の接客……」


ユイがティアーユの事を言うと、4人の歩幅が自然に遅くなった。恐ろしさだけがそこにはあった。

ヒナは賑やかな教室の中を覗き込みながら、小さく言う。


「私たちも、特進に行かなかったらこっち側だったんですね」


「そうだね」

ハルナが頷く。


夏休み前までは、リョウヘイ、ユイ、ハルナの3人も普通科の同じクラスにいた。ヒナも隣のクラスで、まだ休み時間のほとんどを1人で過ごしていた。もし特進へ移っていなければ、今日、この飾りを作り、机を運び、誰かと相談しながら1つの教室を作っていたのかもしれない。


「あー」

リョウヘイが不意に足を止めた。


3人が揃って振り返る。


「なに?」

ユイが聞く。


「前のクラスのやつらに会いにいくか」

思い出したようにそう言うと、ハルナが少し笑った。


「ふふ、リョウヘイくん律儀だね」


リョウヘイは照れ隠しで反撃に出た。

「クラス委員のハルナさんの台詞では?」


「だから、元だってば」

アッサリと論破される。


「元委員長として、みんなへ会いにいかなくていいのか?」


「私を理由にして便乗しないで」


「んじゃーいってみよー!」

ユイが2人の間へ割り込み、勝手に進行方向を変えた。


「何やってるか知ってるのか?」

「知らない!」

「なぜ先頭に立った」

「文化祭だからー!」


理由として成立しているようで、何も説明していなかった。以前の教室が近づくにつれ、廊下を歩く生徒の衣装に白と黒が増えていった。壁には手書きのハートやティーカップが並び、教室の前には大きな看板が掲げられている。


『1年A組 メイド喫茶』


扉の前へ立った4人に、受付をしていた男子生徒が気づいた。


「あれ、特進組じゃん!」


その声で、教室内の視線が一斉に集まる。


「久しぶり!」


「本当に来た!」


「ハルナ、元気?」


「木下、特進でも騒いでんの?」


「アタシのこと何だと思ってるの!」


懐かしい声が次々と飛んでくる。別れてから、まだ2か月ほどしか経っていない。それでも、毎日顔を合わせていた相手と久しぶりに話すと、思った以上に時間が経ったように感じられた。ハルナはすぐに女子生徒たちへ囲まれ、教室の飾りや準備の話を聞いている。ユイは男子からメニュー表を渡され、なぜか客引きの台詞を試されていた。


ヒナも最初はリョウヘイの半歩後ろにいたが、以前よりは怯えていない。声をかけられれば、小さく返事をしながら会話に加わっている。リョウヘイは教室内を見回した。机は壁際へ寄せられ、中央には白い布を掛けたテーブルが並んでいる。黒板には色とりどりのチョークでメニューが書かれ、教室の奥ではメイド姿の生徒たちが飲み物を運んでいた。


「メイド喫茶になったんだな」


「う、うん。そう」

すぐ近くから、妙に硬い返事が聞こえた。

声の方へ振り返る。


そこにはリナが立っていた。


黒いワンピースの上へ白いエプロンを重ね、頭には小さなフリルのカチューシャ。胸元には赤いリボンまで結ばれている。普段の無表情と衣装の甘さが、恐ろしいほど噛み合っていなかった。本人もそれを自覚しているのか、トレーを両手で持ったまま、リョウヘイと目を合わせようとしない。


「リナさん、可愛いです!」

ヒナが目を輝かせた。


「……ありがとう」

リナは小さく答える。

その頬が、ほんのり赤くなっていた。


「クラスのみんな可愛いねー!」

ユイが教室を見回す。


メイド姿の女子生徒たちから、照れ笑いと「ありがとう」が返ってくる。男子生徒の何人かもメイド服を着せられていたが、ユイはそこを特に区別していなかった。リナは手元のトレーへ視線を落としたまま、ぽつりと言う。


「リョウヘイがいたら……執事喫茶にしてた」


「いやいや、需要ないだろ」

リョウヘイは即座に否定した。


「あると思う」

リナが真顔で返す。


隣で聞いていたハルナも、静かに頷いた。

「救われる女の子は多いと思うよ」


「何から救われるんだよ」


「日々のストレスだよ、女の子は大変なんだよ?」


「そんな深刻な問題みたいに言うな」

教室内の女子たちから、思いのほか肯定的な声が上がった。


「リョウヘイくんなら似合いそう!」


「やっぱりタキシードじゃない?」


「ドラム叩いてる時との落差あるよね」


「お前ら、人をおもちゃみたいに…」


リョウヘイは呆れながら、改めてバンドメンバーの3人を見る。


「俺としては、どちらかというと、みんなのメイド姿の方が見たかったけどな」


その言葉を発した瞬間。

3方向から、ほぼ同時に声が飛んだ。


「えっち」

ユイだった。


「えっち」

ハルナも続けた。


「えっちです……」

最後にヒナが、少し恥ずかしそうに付け足した。


「えー……」

リョウヘイは味方を探して教室を見回す。

誰も目を合わせなかった。


リナだけが、メイド服のスカートをわずかに摘みながら、リョウヘイを見ている。


「私、まだかわいいって言ってもらえてない…」


「お、おう。かわいいぞリナ」


「も、もっと低い声で……」


「ちょ!ストップストップ!なんか変な空気になるから!」


ハルナが慌てて2人の間へ入った。ユイは口元を押さえて笑い、ヒナはなぜかリナのメイド服を警戒するように見つめていた。しばらく軽い交流を続け、4人が教室を出ようとした時。リナが扉の前まで見送りに来た。


「みんな、今日のライブ頑張って」

いつもの淡々とした声だった。

それでも、言葉の奥にはまっすぐな期待が込められている。


「必ず見にいく」


「おう」

リョウヘイは手を上げた。


「楽しみにしとけよ。ちょっくら現場の下見でもしにいくかな」


「もうライブのこと考えてる」

ユイが呆れたように言う。


「本番の日に会場を見ない演者の方が怖いだろ」


「屋台を回る演者は?」


「歌わないならいいんじゃない?」


「横暴!」


リナたちへ別れを告げ、4人は大音楽室へ向かった。大音楽室は、入学式でも使われていた場所だった。正面の大きな扉を開いた瞬間、文化祭の喧騒が急に遠ざかる。天井は体育館よりも高く、フロアの広さも通常の学校設備とは思えない。壁や天井は音響を考慮した複雑な形状をしており、硬い面と吸音材が一定の間隔で組み合わされている。


客席は緩やかな傾斜になっていて、後方からでも舞台がよく見える。さらに2階席には、招待客や音楽業界の関係者が座るための区画が設けられていた。まだ開演前だというのに、ステージ上ではスタッフがマイクやケーブルを確認している。


「やっぱり、でかいな」


リョウヘイは客席の中央からステージを見上げた。この距離、この天井の高さ。2階席まで含めた客席の形。前世で立った会場の記憶が、ふいに重なる。


「Zepp Nagoyaって、こんな感じだったなぁ……」


「ゼップ?」

ユイが聞き返す。


「いや、こっちの話」


「また知らないライブハウスの話してる」

ハルナが不思議そうに首を傾げる。誤魔化そうとしたところで、ステージ側から明るい声が飛んできた。


「やあ、1年生諸君!」


4人が一斉に振り向く。


客席の通路を、サクラが悠々と歩いてきていた。今日も制服姿ではあるが、髪やメイクはすでに本番仕様に整えられている。

今日も今日とてサクラは美少女だった。


「文化祭は満喫しているかい?」


「サクラ先輩」


リョウヘイが軽く頭を下げる。

ハルナはサクラの後ろを確認し、不思議そうに尋ねた。


「あれ、フミ先輩は?」


「綾坂さんもいません」

ヒナも辺りを見回す。


「2人は仕込みさ。1時間前から現場入りしているよ」

サクラは客席後方を指した。


「ほら、あそこ」

ステージとは反対側。


客席の1番奥には、音響卓と照明卓が並べられていた。無数のフェーダーとボタンに囲まれた音響卓の前には綾坂。隣の照明卓にはフミが座っている。2人とも画面とステージを交互に見ながら、何かを相談していた。フミが照明卓の1点を指差し、綾坂がステージへ向けて短く合図を送る。直後、舞台上のスポットライトが1つだけ点灯した。


「2人とも気が早いなー!」

ユイが感心したように声を上げる。


「アタシら、トリだよ?ちょっと準備早すぎるんじゃない?」


「音響と照明は、そういうものだよ」

サクラは当たり前のように答えた。


「誰よりも早く来て、誰よりも遅く帰る。裏方業界は、それを美徳としているのさ」


「ブラック業界じゃないですか」


ハルナが即座に返す。

ヒナも真剣な顔で付け足した。


「照明屋さんなのに……」

「そこはブラックと暗さをかけてるのか?」


リョウヘイが尋ねると、ヒナはそっぽを向いて黙ってしまった。リョウヘイは目を瞑り、腕を組んでしみじみとした顔をする。


「悲しいかな、その美徳のおかげで音楽業界は成り立ってる。誰よりも先に入って、誰よりも遅く帰る。アイツらと比べたら、演者の苦労なんて一瞬みたいなもんだ。感謝しなきゃな」


「そうだよねー」

突然、すぐ後ろから声がした。


「綾坂様には、しっかり感謝しないとねー」

「うおっ」

リョウヘイが振り返る。


いつの間にか、綾坂とフミが背後まで近づいていた。足音もなく現れた2人に、ユイまで肩を跳ねさせる。


「いつ来たの?」


「リョウヘイが演者は楽って言ってるあたり」


「言い方を変えるな。比較の話だよ」


綾坂は満足そうに腕を組む。

フミはリョウヘイを見て、静かに言った。


「お礼は、演奏で」


「もちろんっす」


短い返事だったが、それで十分だった。綾坂が思い出したように手を叩く。


「そだ! 文化祭が終わったら、例の報酬、いただこうかな!」


「レコーディングのな」

以前の課題で、綾坂が1日中付き合った対価。何でも1つ言うことを聞くという約束が、まだ残っている。


「なんでも言ってくれ。できる範囲で」

「今、範囲を足した?」

「人間として当然の保険だ」

「逃げないでよねー」


綾坂が楽しそうに笑った、その時。客席の通路へ、規則正しい靴音が響いた。


リョウヘイは顔を上げる。

「あ、先生」


ティアーユが客席へ入ってくる。

「皆さん、いらっしゃいますね」


その一言で、7人の背筋が反射的に伸びた。横1列に並ぼうとしたところで、ティアーユが片手を上げる。


「結構ですよ」

7人の動きが止まる。


「本日は文化祭です。特進生としてではなく、今はただの学生として、文化祭を楽しんでください」


「もちろんです!」

真っ先に答えたのはユイだった。


「対バンも全部見たいし、屋台も全部回ります!」


綾坂はユイを睨みつけた。

「それで歌えなくなったら殺す……」


「も、もうお腹いっぱいでしたぁ……」


「午後はなんも食べなくて良さそうだな」

リョウヘイが言うと、綾坂は満足そうに頷いた。


「よろしい」


ティアーユは小さく息を吐き、全員を見渡す。


「そうですね。今さら皆さんへ言う必要もないと思いますが、念のため伝えておきます」


声の調子が、少しだけ教師のものへ変わった。


「対バンの演奏は、なるべく見てください。どのようなバンドにも、学べることは必ずあります。準備や転換の都合で、すべてを見ることは難しいかもしれません。それでも、可能な範囲でステージへ足を運びなさい」


「一緒のイベントを作る、仲間……ですもんね」


ヒナが静かに答えた。

ティアーユの表情が、わずかに柔らかくなる。


「そうです。分かっていますね」


客席の奥では、次の照明確認が始まっていた。白い光がステージを横切り、ティアーユの金色の髪を一瞬だけ照らす。


「それでは、ライブ前にまた」


ティアーユはそれだけ言い残し、大音楽室を出ていった。


午後。


東音高校文化祭のライブイベント――東音祭が始まった。大音楽室の客席は、生徒や保護者、一般客でほとんど埋まっていた。2階席には、招待された音楽関係者らしい大人たちの姿も見える。特進クラスには専用の楽屋が用意されていた。だが7人の姿は、出番直前までほとんどそこになかった。ティアーユに言われたからだけではない。


出演するバンドは、どれも同じ学校で音楽を学ぶ生徒たちだ。ジャンルも技術もばらばらだが、それぞれが今日のために曲を選び、練習し、ステージへ立っている。下手だから見る価値がないライブなど、1つもなかった。演奏が崩れかけても、ボーカルの1声で持ち直すバンド。技術的には粗くても、客席を巻き込む力があるバンド。派手さはなくても、1音1音を丁寧に重ねるバンド。


そして、トリを務める特進クラスの直前。ステージへ現れたのは、ADAMASだった。最初の1音から、客席の空気が乱暴に持っていかれた。


分厚いギター。

身体の芯を揺らす低音。


前のめりに突進しながら、それでも崩れないリズム。以前の対バンから、さらに強くなっていた。音圧だけではない。どこで客を煽り、どこで引き、どこで全員を爆発させるのか。ライブ全体の組み立てが明らかに研ぎ澄まされている。客席の後方で見ていたリョウヘイは、笑いながら頭を振った。


「相変わらず、こえー」


隣では、ユイが両手を上げている。

「そこが格好いいんだよー!」


完全に観客として楽しんでいた。ヒナもステージへ釘づけになっている。ギタリストの指が動くたび、膝の上で自分の左手まで動いていた。ハルナだけが、途中から何度も時計を確認している。


「そ、そろそろ楽屋いくよ」


「あとちょっと!」

ユイがステージから目を離さない。


「次、私たちなんだから!」


「急がないと、綾坂さんがキレちゃいますよ!」

ヒナの一言で、ユイの両手が止まった。


「行こう」

「切り替え早いな」


4人はADAMASの最後の1音と歓声を背中で聞きながら、楽屋へ駆け込んだ。


扉を開ける。

中では綾坂が腕を組み、壁へ寄りかかっていた。


「遅い」


「すみません」

リョウヘイが即座に頭を下げる。


「重ねてすみません」

ユイも隣で頭を下げた。


「そこだけは呼吸合うね」

ハルナが呆れる。


サクラは鏡の前で喉の状態を確認しながら、4人へ視線を向けた。


「君たちは本当に……まあ、いい」

普段どおりの柔らかな口調だったが、目だけは完全に本番へ向いている。


「ADAMASか…実は彼女達は元特進生でね。少し気まずいな…」

サクラは衝撃の事実を話した。


「えーっ!?」

一同は超ビックリした。


「まぁいい。作戦とセットリストを確認していこう」


7人は機材と衣装の最終確認へ入った。ハルナは譜面を確認し、ヒナはペダルボードのケーブルを1本ずつ触る。ユイは小さく発声しながらベースのチューニングを合わせ、リョウヘイはスティックを振り回して動作を確認した。綾坂はタブレット上の音響プランを確認する。フミは照明の進行表を、一言も発さず最初から最後まで見直していた。すべての準備が整いかけたところで、楽屋の扉が開く。


ティアーユだった。

「皆さん、いよいよですね」


今度は、誰に指示されることもなく7人が並んだ。先ほどは止められた整列を、ティアーユは今度は止めなかった。全員の顔を、1人ずつ確認する。


「今回のライブも、もちろん課題として出しました」

楽屋の空気が引き締まる。


「力の弱い、実力不足のライブであれば、失格といたします」


ユイの顔から笑みが消える。


ハルナは胸の前で両手を握り、ヒナもギターのネックを強く掴んだ。綾坂とフミも、それぞれタブレットと進行表から顔を上げる。文化祭だからといって、評価が甘くなることはない。音楽業界の関係者がいるからでもない。特進クラスとしてステージを任された以上、結果を出せなければ合格にはならない。ティアーユは、緊張する7人をしばらく見つめた。そして。


「ですが」

その声が、わずかに柔らかくなる。

「私は、何の心配もしていません」


7人の表情が変わった。


「全員が揃って、難なく合格できることを、私は信じています」


ティアーユはまっすぐ7人を見た。普段の彼女は、簡単に信頼を口にしない。できると判断していても、課題を出す。越えられると知っていても、手は貸さない。生徒自身の音で答えへ辿り着かせるためだ。だからこそ、その言葉は何より強かった。


「行ってきなさい」

ティアーユが言う。


「あなたたちに、怖いものなどないはずです」


7人の声が重なった。

「はい!」


スタッフから、出番を告げる声が届く。綾坂は音響卓へ。フミは照明卓へ。そしてリョウヘイたち5人は、ステージ袖へ向かった。扉の向こうでは、ADAMASの演奏を終えた観客たちの歓声が、まだ大音楽室を揺らしている。次に、そのステージへ立つのは自分たちだった。


――天瀬サクラ feat. lunati。


7人で作り上げた音を、ようやく観客へ届ける時が来た。


挿絵(By みてみん)

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