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最強召喚師の舞い戻り英雄譚  作者: 林 小
第2章:呪縛の姉妹
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第48話:第七遊園地(中)

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「ね、ねぇ? やっぱり最初はここじゃなくて他のに……できれば緩やかなアトラクションの方にいかない?」


「はぁ〜。 今更言っても遅いぞ」


 もうすぐジェットコースターに乗る時間が近付いてきた事がわかった優奈が、小さな声で翔真へ弱音を吐き、それに翔真はやれやれと溜息をしてもう遅いと伝えた。


 場面は園内出入り口前の広場から絶叫系の一つ、定番といってもいい絶叫系マシンのアトラクションであるジェットコースターの施設内にて。

 そのジェットコースターに乗るため、行列の中に翔真達は順番待ちに並んでいた。


 あの後、結局の所は多数決により最初は絶叫系のアトラクションに行く事が決まり、そして優奈を抜く三人の女性は最初ジェットコースターにのると言い出した。

 それには翔真も賛成し、最後に残った優奈だけは苦しい表情をしながら唸り、そして暫くしてやっと賛成したのだ。

 その時はどんだけ絶叫系のアトラクションが苦手なんだと、四人は内心にそう思った。


 そうして翔真達はジェットコースターに乗るため、今こうして行列の中で順番待ちにしているのである。

 因み既にジェットコースターの座席決めは決まっている。

 一番前は優奈と翔真、二番は坂本姉妹、最後はエミリーの一人だ。

 なんでもエミリーは一度隣人なしがいいとのこと。


「絶叫系が苦手だって最初から言えばこうはならなかったのに……なんでみえを張るんだよ」


 と言いつつも、優奈がなぜみえを張ったのか翔真は分かっている。

 優奈は気の強い女であるため、恐らく素直に絶叫系が苦手だと言い出せなかったのだろう。

 それを敢えて翔真は口には出さない。

 出せば彼女にどやされるからだ。


「だ、だって……しょ、しょうがないじゃない!」


「しょうがないって……」


「だってあこそで絶叫系が苦手だって知れれば、私の威厳が終わるのよ」


 翔真にだけ聞こえるように圧が込められた小さな声で、しかと、優奈はビシッと威張るように宣言した。

 なぜ威張ってそう言ったのかは兎も角として、取り敢えず翔真はこう返した。


「まぁ、怖いなら目を瞑れば大丈夫だろ」


「それ余計に恐怖心が上がるような上がらないような……ううん、そうね。 目を瞑ってれば大丈夫よね。そうよね。うん、そうよ」


(適当にいったアドバイスを無理やり自分に言い聞かせてるよ……)


 ぶつぶつと目を瞑れば大丈夫だと自己暗示する優奈に、翔真はご愁傷様な気持ちで優奈がなるべく怖がらなく済ませますように祈るしかなかった。


「あ! きましたわ!」


「わー! 楽しみです!」


「ん。 楽しみ」


 そんな二人の後ろでは、優奈の切羽詰まった気持ちを余所にエミリー、璃子、恵里奈はもう直ぐジェットコースターに乗れる事に和気藹々と楽しそうな雰囲気であった。


 そしてーー遂にジェットコースターに乗る時間がやってきた。


 従業員の指示のともにジェットコースターの一番前の席、二番目の席、三番の席に翔真達は着席する。

 一番の席に翔真と優奈、二番の席に坂本姉妹、三番の席にエミリーが座っており、その後ろの残りの全席は他の乗客が座っている。


 そして翔真達を含めジェットコースターにのる全客がシートベルトに着用した事を確認し終えた従業員は「それでは出発します!」と言った後、ジェットコースターは発進された。


 ーーどんどん、どんどん、どんどん。


 ジェットコースターの進む音がなる。

 発進された20秒経過した後、翔真は周りを見る。

 位置的にはどんどん地上から離された高い所で、そこから徐々に第七遊園地の全体と、園内を通り越して街の風景が少しずつうつしだされた。


「目を瞑れば怖くない目を瞑れば怖くない目を瞑れば怖くない目を瞑れば怖くない目を瞑れば怖くない目を瞑れば怖くない目をーー」


 隣に座る優奈は固定された手摺を強く掴み俯きながら、目を瞑っていて呪詛の如く、翔真がアドバイスした事を自分に言い聞かせてた。


(頑張れ、優奈。健闘を祈る)


 そんな彼女に翔真は心の中で労いの言葉を投げかけた。その一方で、


「わー、どんどん高くなっていきます!」


「ん。すごい」


「ここはエスパダにある各遊園地のジェットコースターの中でも、上位にはいる人気のジェットコースターなんですの!」


「そうなんですか! 知らなかったです!」


「それはすごい」


 列に並んでから相変わらずテンションマックスであった。

 それから遂に、最初にくる登りから落ちるレールの天辺に到着した直後ーージェットコースターは落下の如く全速。

  エミリー、恵里奈、璃子、翔真が風に吹かれながらジェットコースターを愉しく堪能する一方で、


「目を瞑っていれば大丈夫目を瞑ってればってぇえきゃぁぁぁあああああああああああああああああああああ!」


 ただ一人、優奈だけは恐怖のあまり遠い彼方へ届くほどの絶叫の声が響くのだった。



 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「楽しかったですわ!」


「はい、楽しかったのです!」


「ん。楽しかった」


 ジェットコースターを堪能した後、近くの園内のレストランの五人テーブル席にて、エミリーと璃子に恵里奈は興奮して嬉しいそうに感想を言った。その一方で、


「し、死ぬかと思ったわ……」


「ははは。 それは大袈裟だな〜。 まぁよく頑張ったよ」


 テーブルの上で息を切らし、ぐったりと疲れ果てた優奈が、若干青くなった顔をしながらの大袈裟な言いに、翔真は苦笑いしながらも労う。

 その後、恵里奈と璃子は姉妹揃ってトイレへと向かい、一方でエミリーはお腹が空いたのか当店レストランの料理を食べるために注文場へと向かった。


「今にして言うけど、まさか優奈が絶叫系のアトラクションが苦手なんて思わなかったな。 気の強い性格のわりにダメだとは……」


「うるさいわね。知ったとしても口に出さないでもらえるかしら?」


「いやいや、知ったとしても口に出さないいけないほど意外なんだよ。 と言うか、絶叫系のアトラクションが苦手ってことは、もしかしてお化け屋敷とかも苦手なのか?」


「…………」


 優奈は無言になる。

 こう言う場合それは即ち、肯定と意味する。

 それがわかった翔真は気になる所があった。


「……なるほど。でも、そうなら気になるな」


「何がよ?」


「いや、幽霊やお化けが苦手なら優奈の職柄、もし敵に霊系の異能を持つ奴がいたら戦えるのか?」


「何よ、そんなのことを気になってたの? それは全然大丈夫よ」


「と言うと?」


「だって、今までそういう霊系の異能を使う敵とは戦った事ないもの。だから大丈夫なのよ」


「…………」


 優奈の堂々として返答の内容に、翔真は真顔なって言い淀む。だが彼女の返答を聞いて最初に思った事は、


(それは大丈夫に当てはまらないぞ)


 であった。

 そして今まで霊系の異能者の敵と戦った事はないと言い張ったが、それはこれまで・・・・の事だ。

 もしかしたらこれから先、敵に霊系の異能者が現れたら優奈はどうするんだろうか? そこに翔真は少し彼女れ不安や心配する。


「じゃあ、もしこの先で敵に霊系の異能者が現れたらどうするんだよ?」


 なので敵に霊系異能者にどう対処するのか気になった翔真は、そう優奈へ尋ねる。

 すると優奈はこう答えた。

 それはもはや一風堂々として清々しいもので……


「逃げるわよ」


 それを聞いた途端、翔真は席からずっこけそうになった。

 こんなに堂々と清々しいほどしてるのに返ってきた言葉がそれか!とツッコミそうにだったが心の中でのツッコミに何とか止まることに成功。

 優奈は更に言葉を続けた。


「けどそれは一人の時の場合で、その場に仲間がいたら敵の霊系異能者の相手はその仲間に任せて私は物陰に隠れるのよ。 どう? 凄いでしょ?」


「うん。 ドヤ顔で言ってるけど、言ってることは事は他人任せだな! それと最後の言葉、別に凄くもない!」


「ぇぇ〜…」


 反論された事に優奈は不満な表情だ。

 だが翔真は無視して周囲を一回見渡した後、彼女へ次の話へ唐突に切り替えた。


「今恵里奈と璃子がいないからここで話すが、あれからカラスの連中の新報はあったか?」


「っ! ええ、あるわ」


 カラス・イルミナティ関連の話が入ると、優奈は真剣な表情なった。

 それから優奈からのカラス・イルミナティの新たな情報を聞くと、どうやらエスパダに潜伏している奴らが南方面から侵入してきた痕跡を発見した。

 だとさればエスパダの南方面からきたのだろう。

 そしてこの情報は日本魔導機関ではなく、同じくカラス・イルミナティの連中が潜伏していると知るエスパダ異能騎士団からのものだと。

 それからエスパダの南の方角……それも連中が通ったルートを正確に絞り込み、調査し続けると、その途中に閉鎖された孤島あったとのことだ。


「てことは、もしかしたらその孤島から潜伏している連中がエスパダにきたかもしれない、と?」


「ええ、そうよ。 そしてここからが問題なのよ。 その孤島へエスパダ異能騎士団の調査部隊が赴いたのだけれど……」


 ここで優奈は口を閉じたり開いたりして、中々言葉を発せなかなった。 だがそこから引き出される言葉を翔真は予想して代わりに言った。


「調査部隊の消息が途絶えたのか?」


「……ええ、そうよ」


 翔真の予想が当たり、優奈は重々しく返した。

 ここまでの話からして、翔真はおそらく調査部隊はその孤島で何らかのトラブルにあってしまったのだろうと思えた。

 それはエスパダ異能騎士団の方も同じ考えの様で、返事をした優奈からその後にそれを教えられた。

 同時にもしかしたら調査部隊は壊滅したのでは? とエスパダ異能騎士団は推測しているという。

 聞くに最後に通信が入った時は、戦闘音が聞こえたらしく、そこから考えてのことだと。


「……よし、帰ったらその孤島とやらを僕は独自で調べてみるか。何かわかったら知らせる」


「分かったわ。 でも、どうやって調べる気? まさか件の孤島に直接いくなんてことはないでしょうね?」


「まさか。そんなわけないじゃないか。別の方法で調べるさ」


「そう」


 確認を取れた優奈はスマホをバックから取り出し、いじりは始めた。

 一方で翔真は話に集中してしまったせいなのかトイレに行きたくなり、優奈へ断りを入れた後椅子から立ち上がりトイレへと向かった。

 だがその途中、レストラン内の出入り口付近にて坂本姉妹が見知らぬ数人の男と一緒にレストランから出て行ったのを翔真は目撃する。


(誰だあいつら? 恵里奈と璃子の知り合いか?)


 気になった翔真は、一応そんな我慢できなくなるほどでもないので、トイレを後にして坂本姉妹達へ隠れておう。

 すると坂本姉妹と男達は一目が入らない店の路地に入った。

 翔真はその店の路地との曲がり角の壁に潜め、路地の奥をみると……


(おいおい)


 翔真は心の中で面倒な場面をみた事に嫌々な思いになった。

 それは、店の路地で一緒に同行した見知らぬ数人の男が、坂本姉妹を囲んでいた。同時に男達の声もここから聞くと、


「俺たちと一緒に遊ばないか?」

「俺たちと一緒なら凄い楽しい一日なるぜ?」

「そして夜の方も、な?」


 明らかにナンパであった。

 それに坂本姉妹は嫌悪な表情だ。

 さて助けに聞くかと思い、翔真は彼らの所へ行こうとした瞬間ーー直ぐになりを潜め戻した。


 何故なら坂本姉妹から尋常じゃない濃密な魔力を感じ取ったからだ。

 それは並の実力者でも感じる事が不可能なほど。


(二人が異能者だってことは知っているが……なんだこの魔力は? 人間から発している魔力とは別ものだぞ?)


 坂本姉妹の謎の性質な魔力に翔真は訝しんだ。


お読み下さりありがとうございます!

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