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最強召喚師の舞い戻り英雄譚  作者: 林 小
第2章:呪縛の姉妹
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第49話:第七遊園地(下)

 

 魔力(霊力も含め)には個人個人の性質があり、それが種族の間にもある。

 魔物や魔獣の魔力は邪気なる性質で、それは植物や木などにもろに当てられれば枯れ果てるだろう。

 逆に聖獣などには神聖なる性質で、まるで植物など当てられれば生命力が増大しすくすくと成長したり、または生き生きするだろう。


 とはいえ、魔物や魔獣はともかく、聖獣などの神聖なる生命体は魔力ではなく"聖力"と呼ばれるエネルギー源である。

 だが魔力と聖力に分かれてはいるが、ただ名称が種族間で違うのと性質が相対しているという二つを抜けば同じものである。


 兎も角、そうであるので人間には人間の魔力性質がある。

 翔真はその人間の魔力性質がどんなものが感じ取れるのだ。

 そして坂本姉妹は人間。

 故にあの姉妹から放出されている魔力性質は人間のもののはずが……


(人間の魔力ではない魔力だ。 何か別の人間ではない生物……そう、まるでーー)


 ここで翔真は頭を二、三度振った。

 そして再び坂本姉妹からナンパ男達が見えていない。

 並の実力者でも気づかないほどの濃密な魔力を見て、


(まるでなんかじゃない、あの二人からは魔物や魔獣の魔力と同じ……!)


 人間から魔物や魔獣が持つ性質、邪気な魔力を坂本姉妹から放出されているのだ。

 これはどいうことだ? これはいったいどういう原理で人間が魔物や魔獣の魔力を……!? と、頭の中がこんがらかる翔真。


(落ち着け)


 それでも直ぐに心を落ち着かせ、そして頭を整理しながら、翔真は三度坂本姉妹とナンパ男達を見る。

 恵里奈と璃子は異能者故、体内に魔力又は霊力を持つ。既に霊力ではなく魔力持ちであったとここで知る。

 だがその魔力が人間のものではなく魔物や魔獣が持つ魔力。


 なぜ二人の魔力が魔物や魔獣と同じ性質の魔力なのかは現段階では不明だが……異能を使って普通の人間であるナンパ男達を撃退しようしている、とあの光景を見れば一目瞭然だ。


(あの魔物や魔獣と同じ魔力なのは気になるが……ともかく、あの二人ならナンパの野郎達を容易く撃退するだろうから大丈夫だな)


 魔物や魔獣と同じ魔力については一先ず、心の内に留めておこう。それで後程優奈達に報告しよう。

 信じたくはないが、当初はそんなわけないと思っていたが……あの二人はカラス・イルミナティの者ではないかという怪しい要素が自分の中に芽生えた事に翔真は不安な気持ちになりながら、この場を後にしよう動き出すーーが、立ち止まった。


「なんでついてくるんですか! 何度遊びにお誘いしてこようとも結構ですと言ってるじゃないですか! 何度言われれば理解するのですか!」


「それにあたし達には連れが三人いる。 だからナンパしてきても無駄」


「お姉ちゃんの言う通りです!」


 と坂本姉妹がナンパ男達に訴えかける。

 なるほど、トイレの出入り口前で遭遇しそこでナンパされたが、二人は勿論のことお断りした。が、それでもしつこいようで、ナンパ男達から逃げるためレストランから出た。だがそこで思いもよらず彼らは粘着のようにこびりついてきたってわけか。と、翔真は坂本姉妹の言葉を元に考察をし、理解した。

 だがそれは翔真がこの場から離れず、立ち止まったわけじゃない。


「んもう〜。その三人なんかほっといて、俺たちと遊ぼうぜぇ」


「そうだそ〜」


「夜の方も楽しませてやるから、な?」


「ぜっっんぜん人の話を聞きませんね! それに見え見えなんです! 下心丸見えなんですよ! 馬鹿な貴方達に言います! いやらしい目で見ないでください! 」


「同感。キモい、消えろ」


 ナンバ男達……正確の人数は三人……の下心丸見えの顔と言葉に坂本姉妹は限界を迎え、イライラしながら罵る。それにナンパ男三人は少し悪口を言われた程度で顔を真っ赤にしてキレた。


「なんだとぉ! こっちが優しく接してやってるのにいい気になりやがって……!」


「迷惑にならずに接してやってやってるのによぉ! あんま調子にのるなよ!」


「そうだぞ! それに馬鹿だと!? 馬鹿って言った奴が馬鹿なんだよ!」


 白々しい事にナンパ男達は全く悪気を感じてはいなかった。

 それに優しく接してるとか迷惑にならずとか言ってるが、なら最初の一回の時に素直に引き下がるだろうし、既に坂本姉妹にも迷惑かけている。

 やはり璃子の言う通り馬鹿なのだろう。

 最後の男の言葉で物語っていており、翔真は「こいつの頭脳は小学生だったのか」と、内心呆れて納得してしまった。


 そしてナンパ男三人は坂本姉妹を痛めつけようと徐々に近づいて行く。


(やっぱりな。 立ち去らなくてよかった)


 翔真はそう予感していた事が当たった事と、この場から離れなかったことに安堵する。

 それは先ほど翔真がこの場から離れずに立ち止まった本当の理由が出てきたからだ。その理由とは、


「痛い目を見るのはそちらですよ?」


「あたしの異能の攻撃は加減が難しい。もしかしたら重傷を負わせることになるけど、この場合別にいいよね」


 そう、坂本姉妹の邪気な魔力を用いた異能によりナンパ男達が重傷になるほどの攻撃を仕掛けると予感し、翔真は立ち止まったのだ。

 先ほど翔真が立ち去ろうとした際、坂本姉妹から放出されている魔力の密度が相手を殺してしまうかもしれない程の危険度が増していたからなのである。

 そして取り返しのつかなくなる前に翔真は彼女彼らの間に瞬時に入った。


「ーーっちょっとまったぁぁぁあ!」


「っえ! しょ、翔真さん!」

「……翔真!」


「な、なんだこいつ!?」

「だ、誰だよおまえ!?」

「い、いきなり現れたぞ!」


 突然高らかにあげたよこやりの翔真の声に、坂本姉妹とナンパ男三人は急停止し、吃驚する。

 一方で間に入った翔真は坂本姉妹を庇うようにナンパ男三人の前に立つ。

 そんな翔真の後ろにいる坂本姉妹は翔真が現れた事に吃驚したが、直ぐに彼に気づかれないように放出する魔力を引っ込めた。


「な、なんだおまえは!? 突然現れやがって! 今俺たちは取り込み中だ! 関係ない奴はさっさと失せろ!」


「関係ないだって? 馬鹿を言え。この二人は僕の連れなんだよ。 むしろ、関係ないというなら赤の他人であるお前らの方じゃないか?」


 怒号で一人のナンパ男が放つ発言に、翔真は言い返す。すると彼の言葉を聞いたナンパ男三人は、彼女達姉妹が言っていた三人の連れの一人だと理解するや否や、三人は怒りの矛先を翔真へと変えた。


「じゃあその俺らにした二人の不躾な態度の責任をお前にきっちり果てしもらうぜ」


「そうだな。 おいお前、おとなしくすれば直ぐに終わらせるから安心しな」


「その通りだ。 もし反発すれば更に痛めつけることになるから気をつけろよ? ガキ」


 そうへらへらと笑い、男三人は一斉に翔真へ殴りに襲い掛かりーー。


「おいおい、初対面の奴にいきなり襲い掛かりに来るのかよ。ここは話し合いじゃないのか? この三人は常識ってのを知らないのか?」


 そんな話を聞かない馬鹿三人に翔真は呆れたーー直後、鋭い目つきに変わり。


「はぁ、仕方ない……返り討ちにしてやるよ」



 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「「「っず、ずびまぜんでしだぁあ!!」」」


 身体が震え怯えながら、正座したナンパ男三人は頭を地面に付けて情けなく謝罪した。

 目の前で三人を見下ろす翔真と、その後ろで呆然としている坂本姉妹に。

 三人の顔はもはや醜く膨れ上がったパンパンな顔だ。

 顔中が腫れだらけ。腫顔である。


 あのあと時間はそう掛からなかった。


 襲いかかってきたナンパ男三人を翔真は容易に三人の素人の拳を躱した直後、容赦なく顔面狙いで三人の顔を何回、何十回も殴り続けた。

 それも相手に反撃する暇を当てあたえない速さで。

 それはもう戦士と戦士の死闘で繰り出す拳撃(とはいえ、ナンパ男三人に合わせて最大限の手加減はしている)だった。

 そうしてナンパ男三人は息をする暇もできなくなる程ボコボコになり、二、三分程経過した頃に精一杯の弱音を吐き散らしながら降参したのだ。


「これに懲りたら、もうしつこいナンパはするなよな。ナンパしてもいいけど、相手が拒否したら直ぐに引き下がるように。分かったか?」


「「「ば、ばい!」」」


「それと、初対面の人をいきなり暴力をふるいにいかないように。これ、常識だから。分かったか?」


「「「ば、ばい!」」」


「さて、話は終わったし、お前らはすぐに僕たちのまえからとっと去れ」


「「「ば、ばばはぃぃぃぃいいーー!」」」


 腫顔となったナンパ男三人は、情けなく転びそうになりがらもこの場さら逃げ去った。

 これであの三人はもう二度としつこくナンパはしないだろう。

 そして三人の姿が見えなくなった後、翔真は後ろにいる坂本姉妹へ向くと、


「……おいなんだよ、その顔は」


 そこには言葉にするとうわぁ〜な、引き気味な表情と目をして翔真にむけていた坂本姉妹。


「だって、あそこまでやるなんて……容赦ない」


「お、お姉ちゃんの言う通りです!あんなのもはや魚のフグみたいな顔してましたよ! やりすぎです! さっきの翔真さんはちょっと怖かったです……!」


「……それは酷くないか? 助けてやったのになんて言われようだよ。 はぁ……」


 坂本姉妹の酷い言われように、翔真はへこんでしまう。


(ていうか、二人は重傷を負わせようしてたくせに……寧ろ僕よりも二人の方が容赦ない気がするのだが……)


 確かにそうである……が、事実的は翔真しか手を出してなく、この場では坂本姉妹はやってはない。

 容赦ない事をやったの翔真だけだ。

 故にこの場では翔真しか“容赦ない事をやった”と当てはまる。


「けど……それでも、助けてくれてありがとうございます、翔真さん!」


「ん。翔真、ありがとう」


「っえ? あ、ああ、ど、どうも」


 急に態度を変え、ナンパ男三人から助けてくれた事を満面の笑顔を持ってお礼の感謝をしてくる璃子と、いつもと変わらない硬い表情をする恵里奈も微かに頬が紅潮し嬉しそうに璃子と同様の感謝をむける。 それに翔真はおどおどしながらも言葉を返した。

 二人の純粋なる笑顔と言葉に翔真の心は揺さぶるられた気分になっている。


「と、兎に角、も、戻ろう! 優奈とエミリーが待たせるわけにはいかないからな!」


「はい、そうですね!」


「ん。 戻ろう」


 そうして、三人はレストランへと戻るのだった。

 その途中、二人が和気藹々と喋る姿を後ろからみた翔真は、とてもカラス・イルミナティから送り込まれた……現在潜伏中の者達の二人ではないかと怪しまれているようだが、とてもそうは思えなかった。


(こんなに仲のいい姉妹なのに、カラスの手の者だと疑うなんてありえないだろうと思うけど……あの魔力のこともあるしな)


 と、そう思い現状は様子見のままでいくと翔真は決めた。

 その後、翔真と坂本姉妹は優奈とエミリーの所に戻り、食事を済ました後、夕方まで第七遊園地を心置き無く楽しく堪能するのだった。


お読み下さりありがとうございます!

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