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17 エピローグ

よろしくお願いします。

ブックマーク、お星様入れて下さった方々、ありがとうございます!無茶苦茶嬉しいです。

シャレルドとルシアの結婚式は、シャレルドの屋敷で執り行われた。

この屋敷を選んだのは、2人が出会い、すれ違い、誤解しあいながらも確かに愛を育んできた場所である事。

これからもこの屋敷で共に暮らし、2人で生きていく事。


そしてーー2人とも、家族がいないためだった。


出席したのは神父と、新郎新婦。皇太子イシュトルと、その婚約者であるフロランシア。

ルシアを養女として迎えた王妃の実家の養父母とその家族たち。

イシュトルの側近数名と、フロランシアの親しい友人数名だけを招いた、ささやかな式だった。


その日、シャレルドが用意したウェディングドレスを身に纏い、ルシアは幸福に包まれていた。


愛するシャレルドとの、結婚式。

元よりルシアは、自分が誰かの妻となること、ましてや結婚式を挙げるなど、望むことすら諦めていた。

それを、シャレルドが決行したのだ。

シャレルドは結婚式をためらうルシアに、真っ直ぐにその思いを告げた。


「俺が、ルシアの花嫁姿を見たいんだ。それに、神の前でルシアを幸せにすると誓いたい。

何より、⋯⋯ルシアが俺の妻だと、俺だけのルシアだと公言したいんだ。

神の前で、少ないけど大切な皆の前で。

俺が、ルシアの夫として認められるための儀式なんだ。

だから、俺と結婚式を挙げてほしい」


それを聞いたルシアは感涙で何も言えず、ただ何度も頷いた。しゃくり上げながら。


そうして執り行われた結婚式。

嬉しくて嬉しくて、式の最初から涙をこぼす美しい花嫁と、その涙を拭う、花嫁を溺愛する若き天才魔術師。

小規模ながら、心温まる結婚式となった。




♢♢♢


その後、シャレルドとルシアの活躍は、大陸中に広まるものとなった。


魔術師・魔法伯爵シャレルド。そして、癒しの魔術師ルシア。


どんなに凄惨な魔獣との戦闘であっても、シャレルドが戦場に駆けつければ、事態は終息した。


シャレルドの展開する『防護結界』は、辺境の村々とそこに暮らす人々を長く守り抜いた。


そして、傷を負う者がいれば、ルシアの治癒魔術が人々を癒やした。


シャレルドの苛烈な攻撃と防御、そしてルシアの慈愛ある癒し。


お互いを深く信頼し合うその姿は、のちの歴史書に『国を救った歴史上最も偉大な王宮魔術師夫妻』として、その名を刻んだ。


シャレルドが後の歴史で称賛される偉業は、それだけではなかった。


のちの世に『賢帝イシュトルの黄金時代』と呼ばれた偉大な治世を創り上げ、裏から支え続けたのは、魔法伯爵シャレルドであると後世の歴史家は評している。


かつて、伯爵家出身の側妃腹の第二王子に過ぎなかったイシュトルは、王妃と第一王子の派閥によって、激戦地へと送られた。


結界のほつれから魔獣が入り込んだ辺境。

ほつれが広がり、大穴となり、そこから結界の破綻が連動し、辺境の結界が次々と消滅。


王宮に知らせれば罰を受けると、救助要請しなかった領主。

なんとか対処しようと、モタモタしているうちに、結界近くの魔素溜まりが膨張、破裂。


結界の無くなった辺境は、魔獣が蔓延る魔境となった。

王宮が知った時には、高確率で死亡する激戦地となっていた。


不遇の第2王子と、嫡子の代わりに兵役に就いていた魔術師シャレルド。

2人が知己を得たことで、ヴァルトリア王国の歴史を大きく変えることになった。


在位中、イシュトル王は「戦地で何度もシャレルドに命を救われた。宮廷に戻ってからも、彼のおかげで数々の暗殺者から逃れることが出来た。

そして、その罪を暴き王妃と第一王子を幽閉に追い込めた。その影の功労者もシャレルドだ。

皇太子の座を得ることができ、無事に生きて王になれたのはシャレルドのおかげだ」と、側近達へ語っていたという。


過酷な戦地を生き延び、皇太子となったイシュトル。

同時に、側妃だったイシュトルの母が、王妃となり、王妃の実家は侯爵家に格上げされた。



そのイシュトルが王へと即位してからは、シャレルドもまた、深く国家政治に関与していくこととなる。


イシュトル王からシャレルドが与えられた役職は『宰相補佐』。

宰相でないのは、王宮魔術師としての仕事をしなくてはならなかったからだ。


その権限で、イシュトル王の時代、シャレルドはある「法改正」を提案し、国家の法を変えさせた。


1つは、昔から連綿と続いてきた「娼婦の焼き印」の改善だった。


シャレルドは廃止を訴えたが裏社会や利権の反発もあり、惜しくも改善に留まったという。


しかし、シャレルドは「娼婦の焼き印」から精神拘束の術式を完全に禁止とさせた。


さらに、焼き印でなく魔術印に変更させた。


焼き印は娼婦の烙印。

凄まじい痛みを与えて焼き印を手首に施すことで、娼婦に恐怖を与えてきた。娼婦に堕ちたと自覚させる印。

それを無痛の魔術印に変えさせたのだ。


シャレルドの魔術印は「刻まれてから1年で印が自然消滅する」という画期的なものだった。


全ての「娼婦の印」をその術式に変更する事を義務付け、法制化させた。



そして、もう1つ。

シャレルドが最も強く政策を推し進め、徹底して法律を改善させたのは、人身売買の取り締まりの強化と人身売買の禁止だ。


その罰則は貴賤を問わず、捕まって罪が確定すれば、その刑は例外なく「苛烈な拷問死」とされた。


実際に現場で動いた者だけでなく、命じた者も、だ。さらに売買、流通に関与した者も、全てにこの刑が適用されるとした。


当然、この法律に激しく反発したのは、それまで人身売買で莫大な利益を得ていた裏社会と、その裏社会の後ろ盾となっていた一部の貴族たちだった。


しかし、法が頒布されただけで、国中から行方不明者の数が劇的に減ったことから、この法律は圧倒的な民衆の支持を得た。

行方不明者の大半が平民だったのだ。


イシュトル王もこの法律を強く支持し、この法律は実行された。



賢帝イシュトル、名宰相補佐シャレルド。癒しの聖女と呼ばれるようになったルシア夫人。賢帝イシュトルの妃フロランシア。


ヴァルトリア王国の黄金時代を築いた4人は、公務を離れれば非常に親しい間柄であったという。


イシュトル王とシャレルドは、時に側近たちが「不敬罪で首が飛ぶのでは?」とハラハラするほどの討論を交わす、本音で言い合う親友であり続けた。


フロランシア妃とルシア夫人は、穏やかな友誼を繋ぎ、生涯の友となった。


二人の女性は共に、夫に深く愛されながら、陰日向に不器用な所のある夫たちを支えた幸福な女性として記録されている。

その時代の女性達の羨望の的であったと。


特に魔法伯爵シャレルドの妻ルシア夫人は、大きすぎる夫からの溺愛を制御するのに苦労するほどであったと、同時代の夫人の日記に残った。


そんな、幸福な女性として、ルシアの名は語り継がれていくーー。




お読み頂きありがとうございます。


シャレルドが「宰相補佐」という地位・仕事を嫌々受けたのは、上記の2つの法律を国家の法律とするためでした。


法律を確立するため、その地位と発言力を確かなものにするため、他の仕事もしただけだったそうです。「宰相補佐」シャレルドは。

もちろん、ルシアのため。


ブックマークやお星様を頂けたら、無茶苦茶嬉しいです。励みになります。よろしくお願いします。

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式には呼ばれなかった実の親達はどうしたんだろう。
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