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親友の恋路を応援したいギャルのアシストが下手過ぎる  作者: 焼肉一番


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焼きそばごときで

「最高でしょ? 勘違いで一人成敗しといてさー!」


「いや成敗って言葉の選び方……!」


「それな……!! あははは!!」


 ひとしきり笑い、山之内は涙を拭って言う。


「もうさ、その時の教室の雰囲気ったらなくってさ……!」


「みんなポカーンだろ!」


「そうそう……! でもラコは大真面目なんだから! そりゃさ、そこまでされたら惚れるじゃん。急にっちゃー急にだけど、明確なキッカケはこれだよ」


 なるほどな。きっとラコはごく当たり前の事をしただけと思っているのだろう。だから心当たりがないんだ。あの様子は本当にそう思っていそうだったし。


「それにもともと、あたしはラコみたいになりたかったんだ」


 山之内がもっと遠くの思い出を見ようと目を細めた。


「小さい頃からラコはラコだった。美人で落ち着いてて頭良くて運動も出来て……。何だか遠くの憧れの人って感じで近付けなかった。だけど、勘違いで思いっきり、あたしなんかの為に男子に平手打ちしちゃうラコ見た時に、なんか色々吹っ切れたって言うかさ、我慢してるのがバカバカしくなったんだよね。好きな事言って、好きな格好して、好きな物食べたい。んで、好きな人には好きって言言いたい。そうしなきゃ損って気付いちゃったんだ。あたしの人生はあたしの好きな物で埋めて行かなきゃ勿体ない」


 つまり……山之内のこのファッションも、もともとはラコがキッカケって事か。ラコと仲良くなった頃に変ったって大輔が言ってたよな。


「ラコになりたかったにしちゃ……見た目も中身も真逆だけど?」


「ラコ以上にラコにはなれないし、それは良いの! それに、近くで見てみると思ってたよりもよっぽどラコは魅力的で、到底同じにはなれないって思い知ったからね。武装してなきゃ到底近寄れなかったと思う」


 武装……。山之内のファッションは武装みたいなものだったのか。瞳にさえ偽物の色を乗せている。


「じゃーもう武装する必要ないんじゃないか? すっぴんの方が可愛いし」


「んなぁっ……?!」


 ラコには敵わないけどコイツも普通の格好してればまぁまぁの線だと思うんだよなぁ。あれ? 何か様子がおかしい。


「どうした? 熱でもあるか? 言っても病み上がりなんだから無理す……いてぇ!」


 殴られた。理不尽だ。俺が何したって言うんだ。


「あたしはね、今、ラコの恋を成就させるための戦士なのよ。その使命の為にも当然武装は必要。あと別に好きだからこーゆー格好してる」


「そうかよ……」


 その使命感が暴走して遠回りさせられた気がしないでもない。だが自覚のない山之内は胸を張っている。


「でもま! あたしの使命もここまでね!」


 何かした?


「海……」


「うん?」


 今度は少し先の未来を見てる様な目。


「海だけ、一緒に行ってね」


「ああ、花火もプールも、何でも一緒に行ったら良いだろ、ラコもそう言ってた」


「七月中に海! 八月は荒れるって言うから」


 俺の言葉に反応せず、山之内はあくまで海の話しを続けた。


「あんたってどんな水着が好み?」


 そう言って向けた顔は笑顔だった。


「ラコが着たら何だって好きだ」


「……」


「何だよ?」


 今度は初めて見る様な表情だった。呆れた様な、ガッカリした様な、悲しい様な、でもちょっとだけ嬉しそうな?


「いやー、正解の様に聞こえるけどつまんない答えだよなーと思って」


「ぐ……」


 本心だが確かに答えとしてつまらないな。ならば……。


「白ビキニ」


「うわベタ!!! そんなベタでエロいのラコが着るわけないでしょっ!」


「言わせといてなんだよ! だから別に何でも良いんだよ!」


「それじゃつまんな~い!」


「マジで正解が分かんねぇ!」


 そんな楽しい計画の前に期末テストがあるって言うのに、サボって水着の話しなんてしているんだから我ながらめでたい。

 しかし、期末試験が近付くとラコがまた俺達の勉強を見てくれた。大輔は実はそこまでバカではないと言う事と、何より部活が忙しいので放課後の勉強会には参加していない。


「勉強会参加しないでちゃんと点数とれるんでしょうね?」


 おるちゃみとの食事中に山之内が大輔に尋ねた。


「俺赤点とった事ないよ」


「そう、なら良かった。海は絶対七月中に行かなきゃだからさ」


「俺も誘ってくれるの?」


「当たり前でしょ?」


「え、あ、そう?! いやー、そっかそっかぁ!」


 ちょっと大輔の顔が赤くなった。山之内には関わるな的な事を言ってたくせに現金なもんだ。大輔にももうちゃんと事情を話した方が良いだろうか?


「あ、可能性はないって事だけ先に言っておくね?」


 あまりの切り捨て方に思わず笑いそうになる。大輔のテンションがあからさまに落ち込んだ。


「あ、あー……俺、サッカー部の合宿が……」


「ちょっとぉ! 三人で行ったらあたしが完全にお邪魔虫じゃない! 絶対一緒に来て! 焼きそば奢るから!」


「焼きそばごときでなぁ……!」


 大輔のなけなしのプライドが戦ってる。


「今年の水着のトレンドは露出多めらしいよ!」


 なんだそれは。もともと露出多いだろうが。紐にでもなるのか。


「ねーラコ! 可愛い水着選びに行こうね~♪」


「う、うん」


 それは俺も楽しみだ。でもあんまりトレンドは追わなくて良いぞ。


「仕方ないなぁ! 行くわ!」


 ちょろかったな……大輔。


「やったぁぁぁー!」

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