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親友の恋路を応援したいギャルのアシストが下手過ぎる  作者: 焼肉一番


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イカの海 アユの川

 ……失敗したかな。

 ラコの言う通り山之内の大変な時に、山之内の入院してる病院で、何だか……どさくさに紛れて告白したみたいで……。最低かも。タイミングとか今じゃないと思うけど、でも今かなとも思う。ああ、ヤバい。時間差でバクバクして来た。額から汗が滲んで来る。なんだこれ、カッコ悪い……。


「ごめん! 俺もう行くよ」


 逃げるように立ち上がる俺。ラコの顔がまともに見れないじゃないか。


「俺が来てややこしくしたよな。でも、ラコが傷付く様な事は何もないと思う。まぁ、何年も病気の事隠してたのは普通に怒っても良いけど」


「え……あ……ちょ……あ……」


 あまりにも流れが自然だったのでもしかしたら告白と思われていない可能性も過ぎったが、どうやらちゃんと届いてはいるみたいだ。返事は後で聞こう。それだけはマジで今じゃないとおもうから。


「山之内のところへ戻ってやって。そんで二人でゆっくり、話して。まぁ俺からこんな事言うとおかしいのかも知れないけど、マジで山之内はラコの事しか考えてないから。その結果勝手に面倒な事にしてたみたいだけど……話せば分かる」


 ラコの黒いモヤモヤの中に、俺も関係していると思う。だけど俺の事なんか後回しで良いんだ。とにかく二人で話して誤解を解いて欲しい。

 じゃあまた、そう言って俺は病院を後にした。

 そうして家に帰ってから、俺の心臓はずっと跳ねている。自分自身こんな可愛い一面があるとは意外だ。 

 ……山之内に報告しておくべきだろうか。

 あの後、ちゃんとラコは戻ってるよな? それでラコの口から聞いてるよな?

 基本、俺とラコがラブラブになれれば後はどうでも良い。だからこそ山之内とは仲直りして欲しい。それは俺とラコがラブラブになるのに必要な条件なんだ。だってそうしないときっとラコはずっと元気をなくしたままだから。

 ぐるぐる考えていたらもう二十三時を過ぎてる。言わないでまたややこしい事になったらイヤだから報告しておくか。一応ちゃんとくっ付けたがってたワケだし。


『ラコに告白した。返事はまだ聞いてない』


 簡潔にそう送ったが、その日の晩のうちに既読は付かなかった。真っ白い顔の山之内の顔が浮かんで消えた。

 今日は……疲れた。色々あったし、返事は待たずにもう寝よう。

 山之内はもっと疲れただろう。そもそもが病人なんだし、とっくに寝てしまったに違いない。



 翌日、土曜。

 このタイミングで学校が休みなのは良いのか悪いのか。あの後の事も気になるが一度クールタイムを挟むのは悪くないかも知れない。そう思ったのだが、以外にもラコの方から連絡があり、また一緒に山之内の病院へ行こうと言う話しになった。

 病院の最寄り駅で待ち合わせる。


「おはよう」


「ななななな撫山くっ……! おっはおはああよ!」


 あ、いつものラコだ。こっちの方が安心感があるってどう言う事だよとは思う。


「あの後……」


 そう促すと、全部言う前にラコは落ち着いた様子で話してくれた。


「うん、戻った、よ。リンネの病室」


 良かった。


「とにかく、お互いに謝って……ね、バカみたいに泣いちゃって」


「良いんじゃない? だいぶ溜まってたんでしょ?」 


 こりゃ山之内も相当疲れただろう。そう言えば今朝になっても俺のメッセに既読は付いていなかった。


「自分ではそう思ってなかったの。全然冷静だと思ってたし、昨日もちゃんと話せるって思ってたのに」


「ちゃんとじゃなくても伝わったんなら良いよ」


「うん……ありがとう」


 ラコはわざわざこの報告をする為に俺を誘ったのだろう。勇気を出して。


「俺は何も」


 俺がそう言うと、ラコははにかんだ笑顔を見せた。


「私がただ、わがまま言っただけな気もして、ちょっと恥ずかしい」


「大事な事隠してたアイツが悪い」


 山之内からしてみればすべてラコを思っての事だったが、だけど俺は絶対的にラコの味方で居る。悪いのは山之内である。

 道中、何を話そうか一応ぼんやり考えてはみるが、どうせ全部アイツのペースになるんだ。考えるだけ無駄。俺は聞かれた事に簡潔に答えるだけになるだろう。


「あ、私今日手ぶらだ」


「一階にコンビニあったよな? あそこでイカの海でも買って行きゃ十分じゃないか?」


 定番のお菓子だ。


「リンネはアユの川ガチ勢だから買って行ったら殺されると思う」


 対になる同メーカーのお菓子だが、たびたびどっちが美味しいかの争いが勃発する。山と里の様に拮抗した勝負にならず、アユの川は常に劣勢で実際に生産量も少ないらしい。だからイカの海と言ったのだが……さすが山之内。実は俺もアユ派だ。だてにオッソブーコまん信者じゃないな。

 マイナーめのお菓子をいくつか買って、俺達は山之内の病室を目指した。昨日来たばかりだ。間違える筈がない。それなのに、その扉には「面会謝絶」のプレート差し込まれていた。


「え……嘘……」


 ラコの顔色が真っ白になっていく。さすがに俺もショックで、左右の病室を確認したが、やはり部屋は間違っていない。山之内は面会謝絶だ。

 あからさまに肩を落としたラコを促し、俺達は昨日座った休憩スペースへとやって来て座った。面会謝絶です、はいそうですかと、すぐに解散出来る筈もない。

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