卒業。そして……
こっちにも、ほぼ同時に上げることにしました。
微妙に違う気もしますが、気にしないで下さい。
「お父さんとお母さんは、あとから行くからね」
娘の高校卒業式に遅刻するって、どんな理由だろうとは思ったけど、親は親で外せない用があるんだろうと考え直し、私は一人で家を出ることにした。
今日は高校最終日。みんなと毎日会えなくなるのは少し寂しい気もするけれど、仲のいい友達は連絡先を知っているし、就職が決まっている会社はホワイト企業で有名なので、先行きにはあまり不安がない。
忘れ物がないのを確認し、
「行ってきます」
と、家をあとにした。
自転車を漕ぎながら、3年間の思い出に想いを馳せる。
入学式は、不安と戦いながら出席したけど、今日は四月からの新生活に描く希望しかない。
「ぐみおはよう」
「おはようございます」
正直、顔と名前が一致しない友人が増えたけれど、相手の名前が分からないと困ることは殆どない。聞けば教えてくれるし。(苦笑いしながら。)
さあ、雄輝くんに、なんて話しかけよう。
って校門に仁王立ちしてるのって雄輝くんだよね?
「おはよう。マイスウィートハニー!」
「おはよう。マイスウィートタランチュラ!お付き合いすることになったのに、このやりとり続けるの?」
雄輝くんは、少し頬を染めながら、
「だって、女の子と付き合うの初めてだから、どう扱っていいかわかんないもん。最初から飛ばしてたらすぐ振られそうだし」
と、答えてくれた。(正直でよろしい。)
「もしかして、これって初デート?」
「校門から教室まで行くのをデートって呼ぶなら、初デートだね。雄輝くん彼女いた事無いんだ。いつも女の子といるから、彼女の一人や二人いたと思ってた」
「女の子と一緒にいる時間は長かったけど、村越といる時間が一番楽しかったぞ」
「嬉しいけど、自分の言ってる事わかってる?お付き合い翌日に他の女の子の話するって、一歩間違えると即お別れだよ」
「大丈夫。俺の勘が告げている。村越は短絡的な行動は取らない。浮気しても"即"お別れはない。そして何より俺は村越以外と浮気しない」
……。
「私とは浮気するってことね?本命彼女を他に作る可能性はあるって理解で合ってる?」
「言いづらいけど、俺の彼女だから言うぞ。そういう所が最近まで彼氏出来なかった原因だぞ。理屈っぽい」
ゔ。少し自覚はあったけど、面と向かってキッパリ言われると、結構ダメージ食らうなぁ。覚悟は出来てたはずだから、頑張るけど。
教室は別なので、ここで一旦お別れ。式が終わったら一緒に遊びに行く約束もあるし、
「じゃあ、あとで」
「またな」
小さく手を振り、しばしのお別れ。
卒業式はつつがなく進行した。
入場、校長先生のありがたいお話(長い)、仰げば尊し、送辞、答辞、証書授与、3月9日、退場。ハチは入ってこなかった。
校門を出たところで話しかけられる。
「で、どうする?」
「どうするって、予定決めて無いの?男の子なのに?そういう所が今まで彼女できなかった原因だね」
「朝の仕返し?せっかく付き合ったんだから、建設的な会話しない?」
「ヒューヒュー!痴話喧嘩も年季入ってますねー!」
顔も見たこと無い下級生(ん?卒業したから在校生が正しいのかな?)に冷やかされた。
「おう!羨ましいだろ。お前もさっさと彼女作れよ!」
「そんな簡単に出来るんだったら、もう作ってますよ。雄輝先輩、女の子の友達いっぱい居ますよね?一人紹介してくれません?」
「お前に紹介する女はいない」
「村越先輩は彼氏探してる友達とか居ませんか?」
「男の子で良かったら居るよ」
「げ!俺、性指向はノーマルなので女の子でお願いします」
「冗談冗談。もうすぐ私の妹が入学して来るから、誘ってみたら?」
在校生の視線がさまよう。
「性格、先輩と正反対だったりします?」
やっぱそこかー。
「私に輪をかけて抜け目ないタイプだよ」
「やめときます。扱い切れないので」
「じゃあまた、何処かで」
「私も雄輝くんも引っ越ししないから、そこら辺で会えるよ。またね」
「でだ。まずご飯食べに行かない?この場合、男の奢りだろ。予算の都合でマックとかになるけど」
「オッケー♪就職までのデートの予定とか話し合いましょう」
マックは空いていた。増税の影響出てるなぁ。ゆっくり話し合えそう。
「まず、どこ行く?定番の夜景とか見えるところにする?」
……。
……。
「あたしゃあんたの下心しか見えない」
「禊みたいなもんだから、早めに済ませといたほうが良くない?」
……。
……。
「とりあえず、下心どっかに置いとこう。嫌じゃないけど、ヤ」
「じゃあ、一泊で温泉旅行とか」
……。
……。
男って男って……。
頭ん中、それしか無いのかーーーーーーー!!!!
読んでいただいて、ありがとうございます。
あと一話で一旦休憩に入ります(多分)。




