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非愛転生〜カタオモイ〜  作者: オサム
第4章 転生そして転移
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39話 転生 魂の遺言

 


 禁忌(転生の力)……それは世界の歪みである。

 世界はそれを均衡へと帰す。


 しかし、その者を世界が消す事はそれこそ世界の規則に反する。


 よって世界はその者へ強力な能力(転生)に相当する、相反する能力を与えた。


 それが……永遠に続く世界の呪い。



 (プラス)(マイナス)で例えよう。


 均衡というものの数値を±0とする。世界から見て《私》は+の能力を得た。世界は均衡へ帰すためにそれ相応の-の呪いを与えた。±0へするためにだ。


 《私》にとって、転生の能力が-であろうが()()()()()()は+であり、見過ごせない禁忌なのだ。



 つまり、《私》は望むこと無くひとつの禁忌のひとつの呪いを持って誕生した。するはずだった。




 しかし、それは世界の予測を遥かに超えた。


 ……転生の能力は強力過ぎたのだ。


 何回も生を繰り返し、記憶や能力といったその全てを受け継ぐ力。

 神ですら手にしてはならない禁忌の中の禁忌。


 世界は均衡へ帰す為、更に強大な能力(禁忌)を、-を与えた。



 それは、運命を捻じ曲げるほどの世界の禁忌……

絶望の魂縛呪(貴女の最悪を)】というものだ。



 その禁忌(魂縛呪)が《私》の魂の禁忌(転生)と混ざり合った。


 世界が均衡へと調和し、やっと《私》が誕生した。




 そして世界が気がつかない所で……《私》の陰でイレギュラーがおきた。


 それは《彼》の存在。

 本来、何事も無い人生を進む運命だった《彼》は、《私》の禁忌(魂縛呪)の強い影響に当てられた。


 それは《彼》の運命を捻じ曲げた。

 禁忌の影響(「-」マイナス)に当てられた《彼》は世界の法則により、とある能力(「+」プラス)を授かった。


 それは……




 ───


 一つの蒼白い炎が揺らめいた。


 それは……マティルの【ソウル・テル(魂の遺言)】だ。


(……クリス)


 蒼白い炎の意思が響く。


(俺はお前の事が……好きだ)



 マティルの魂はそっとクリスに近づいた。


(最後……ちゃんと聞こえたからな)



 蒼白い炎がクリスに触れる。

 すると、より輝きが増した。


 本来、【ソウル・テル(魂の遺言)】というものは魔族という種族を生き延びらせる為、情報手段の為に使われる禁術ではなかった。


ソウル・テル(魂の遺言)】とは最後の悲願。死して悔いを残さぬ為に何よりも大切な想いを、愛を、伝えるべき人へ届かせる。死を超えた告白。



(もう一度……俺は、クリスに)


 蒼白い炎がより一層揺らめく。

 その想いが、強い意思が、眠る魂の禁忌を呼び起こした。


(会いたい……っ!)


 魂の雄叫び。それは深く閉ざされていた()()()()の禁忌。《彼》に眠るものが、【時】を動かした。


 その願いが、クリスを想う魂が、《彼》の

ソウル・テル(魂の遺言)】により浮き出しになった魂から直接禁忌を目覚めさせたのだ。



 蒼白い炎はクリスの死体を呑み込み、世界を照らす(まばゆ)い輝きを放って消えた。



 それは……その禁忌は《私》の転生の能力を、その先の運命を大きく変えた。



 何の因果か。何の運命か。仕組まれたものなのか。

 有り得ない条件が奇跡のように重なり合い、それが結ばれた。


 2つの禁忌が交わる……クリスとマティルは転生し、時を(さかのぼ)った。





 私は、再び転生した。




 日本人として……そして、




 私がクリスとして目覚める前の……






 勇者リル・ナスタシタとして。



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