表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
71/127

71 言いたいことも言えないらしい

Side 隣国王子


「へぇ、そうですか。また僕だけ置いてけぼりですか」


 前回と同様に一室に集まってみたものの、どうやら僕は一緒にはいけないらしい。これは一体どういうことだ。皆はピアウトスに行くのに、僕とシュルマはまた城で留守番を言い渡されている。

 ノーモンではブラキウムたちもいたし、タイミングが合わず、いいところがなかったので、次こそはと意気込んでいたと言うのに。じろりと辺りを見回せば困った様に頬をかくレグルスと目が合った。

 そんな顔したって誤魔化されませんよ。いくら申し訳なさそうにしたってあなたは僕を置いていくつもりで準備していたんだって知ってますからね。


「ねぇセイラ。酷いと思いませんか? 僕お留守番なんですって」

「いっくんいっしょにいかないの?」

「五歳児相手に何しているんですか」


 少しぐらい愚痴を言ってもいいじゃないか。どうせ愚図ったところで連れて行ってくれるわけでもなしに。

 仕方がないのはわかっている。ピアウトスは今、疫病が流行っていて余りいい状態とはいえない。グラフィアスから僕を預かっているアヴィオールとしては、危険な土地に連れて行きたくないんだろう。僕だって自分の立場くらいは理解できる。でもそれはそれ、というやつだ。


 僕だって国を、世界を救いたい。子供だと、守られているだけなんて嫌だ。

 出来ることを少しずつ。今は耐える時だっていうのもわかっている。それでも何かをしたくなる。身勝手に体を動かして、思いつくままに何かを成して、この手に掴める何かに縋りつきたくなる。

 そんな思いすらも子供の我儘だとわかっていて、ため息を付きたくなった。


 溜息と言えばもう一つ。変な態度の人たちがいる。

 ここで問題なのは一人ではなく複数人いることだ。一人であればたまたまそんな時もあるとスルー出来たのだが、揃いも揃っていつもとは微妙に違う態度で、何とか取り繕っているのだから鬱陶しい。


 一人は肩の荷が下りましたと言う晴れやかな顔をした友人、レグルス。

 これから先代の時分とは言え、戦争をしていた国に行くというのに少しふわふわしている。気落ちしているよりはずっといいが、僕の代わりにセイラを守るのだ。しっかりしてほしい。


 もう一人はいつも通りに見えてなんとなく表情の硬いナナ。

 態度としては一番わかりにくいけど、魔物に襲われたり、トゥレイスの遺跡で破邪の針を渡されたこともストレスになっているのかもしれない。セイラに話しかけられて微笑みかけるのも少し緩慢な動作で、上の空にも見える。

 何を考えているのやら。あんまり自己主張しない人だし、気負い過ぎないといいけど。


 それと最後は、ナナに視線を投げかけては不機嫌そうにため息を吐いている男。アルヘナだ。

 この男が一番鬱陶しい。レグルスにも散々言って来たが、言いたいことがあるなら、ちゃんと話をすればいいのに。セイラもナナも、きちんと話せば受け止めてくれるでしょう。何を尻込みする必要があるのか。

 あっちが落ち着いたらこっちが拗れていて、意味がわからない。どこか連動しているところでもあるんだろうか。面倒臭い。


「さっきから何なんです?」

「何が」

「チラチラ見て。女性にたいして不躾ですよ」

「見てねぇ」


 話しかければ何が気に入らないのか嫌そうに眉間にしわを刻んで、アルヘナは視線を外した。

 本当に何なんだ。気になるなら話しかければいいのに。普段、変な絡み方してナナに迷惑をかけているくせに、今更何を遠慮する必要があるのか。


「どうせまたあなたが何か言って突っかかってるんでしょ」

「うっせ」


 子供みたいな反応をするアルヘナに呆れて視線を逸らせばナナと目が合った。困った様に笑いかけられても、こっちが反応に困る。全く困った大人ばかりだ。

 ナナももう少し言い返せばいいのに。いつも好き放題言わせているからアルヘナが調子に乗るのだ。一度ガツンと言い返してしまえば、アルヘナだってもう少し言葉選びというものを覚えるだろう。


「ナナ、アルヘナにいじめられたらちゃんと言うんですよ」

「誰がこんな女っ」


 言いかけてアルヘナがそっぽを向く。なんなんだ本当に。語気を荒げてその先も言えないのに、中途半端に声を上げて。怒りたいことがあるなら怒ってしまった方が、何が不満なのか伝わるだろうに。アルヘナはなんでも、ナナに察してもらおうとし過ぎなのだ。

 まぁ? それを言い出したら、何にも主張しないナナにもいくらか原因はありそうだけど。本当に何があったんだか。

 ぶつかりかけて、直前で沈下した面倒臭い二人にいら立ちが募る。ああもう!


「わかってるんですか!? これから行くピアウトスと疫病も流行っているし、神殿は深い森にあるんです! 危険なところに行くんだからせめて会話くらいちゃんとしろ!」


 なんで一緒に行けない僕がここまで世話を焼かないといけないんだ! 二人揃って大人でしょう! 仲直りしろとは言わない! せめて顔見て話せ!

 僕にここまで言わせるんなら一緒に連れていけ!



外から見るとわかるもの

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ