↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
24/127

24 魔法使いになりたい


 同じ様な光だと思っていた。

 一度目も二度目も魔法石が光る以外なにもなかったから、魔法石の活性化に危険なんてないと思っていた。


 虹色の、ソシャゲの確定演出みたいな光だと思っていたら、本当にその光より何かが現れる。するりと魔法石の中から這い出して黒い影が神殿の上で伸びをした。

 あまりに大きくて、人ひとり、それこそ子供なんて丸呑み出来るくらいの大きさで。思わず繋いでいたままの手を引いてせいらちゃんを抱きかかえた。

 何この展開知らない。あんなのゲーム内にいた? この辺りはゲームをプレイしていた記憶はあるし事細かにではないがこんな展開ではなかったはず。


 光がゆっくりと収まっていく。魔法石の活性化自体は成功したのかきらきらと細やかな光を放ちながら輝いていた。

 逆光で影しか見えなかったものが、ようやく見えてくる。細長い体に角と鬣、西洋風な国とはなんともミスマッチな東洋風なその姿。


「かみさま?」


 腕の中で不思議そうな声がする。

 ああ、確かにそうだ。あれは、つい先日も話を聞いたばかりの龍の姿をした神様の様にも見える。とはいえこんなの知らないぞ。いくらゲームをやっていたのが何年も前だったとしてもさすがにイベントの流れはある程度覚えている。

 ……いやまぁ。せいらちゃんが幼女になったことで、細心の注意を払って移動を行っているので、かなりのイベントをスキップして進んでいるしゲームと同じ通りには進んでいないんだけど。

 だとしてもよ。魔法石の中にあんなのが眠ってるとか、思わないじゃない。何? もしかして私がゲームをやらなくなった後に初出しされた情報?もう何もわからない。


「星の神子よ。わが身、我が分身への献身、感謝する」


 おまけに喋るんだ。

 自分に話しかけられたのはわかったが、どういう意味なのかわからないせいらちゃんが私を見上げる。幼女に難しい言葉は無理なんだって。

 わが身とか、分身とか。正確な意味はわからないけど、多分魔法石を指しているのか?


「魔法石を活性化させてくれてありがとう、だって」

「どういたしまして!」

「汝の献身によって、いずれ古き血は目覚めるだろう」


 なんだよ古き血って。

 そんな単語知らないぞ。それが目覚めたら何になるって言うんだ。


「ならばこそ、気を付けなさい。アレは汝の在り方を歪める」


 意味深すぎて逆に笑う。物事は相手にわかるように正確に伝えろ。指示語を使って濁すな。前後の文脈を意識しろ。

 なんでこういう手合いって曖昧且つ意味深な言葉を言って、自分はすべてわかっていますって雰囲気を出すんだろう。こちらには何も伝わらないんですが。頼むからやらせたいことがあるなら、ちゃんと伝わるように話してくれよ。


「人の子よ。其方らの心、確かに受け取った」


 龍神様がお爺さんを見て言う。

 背後でどよめきが起こる辺り、町の人も何ならレグルス王子も龍神様の出現は想定してなかったみたいだ。


「あんたは、俺たちの守り神ですからね」

「其方らの行く末に幸多からんことを」


 言いたいことだけ言って満足したのか龍神様は光と共に消えて行く。一方的だなぁ。

 ……私はもちろん、レグルス王子たちすら見なかったなぁ。まぁ実際に魔法石の活性化をしているのはせいらちゃんだしいいんだけど。せめてこう、企画と進行を務めてくれたレグルス王子にはもう少し手心をだな。


「この町は龍神との交流があったのですか?」

「俺たちのガキの頃はよく姿を見せてくれたもんさ」

「だからって、なんで神殿に水車を付けようと思ったんだよ」

「そりゃあお前さん、龍神様は水の化身なんだ。水の力なら魔法石も回復するんじゃないかと思ってよ」


 戦争で魔力を大量に使った結果、魔法石による魔力の生成が追いつかず、その性能も落ち龍神も次第に町に姿を見せなくなったらしい。

 久しぶりに姿を現した龍神様に感動する人、喜びを抑えきれない人たちを横目に、ルイス爺さんが照れ臭そうに言った。姿は見えずとも自分たちの思いが届いていたのがよっぽど誇らしかったんだろう。


 まぁそれはそれとして、神殿に水車付けようって発想は龍神様もびっくりしたと思うよ。

 魔力が水力で生み出せるかどうかは別として、そうまでして自分のために頑張ってくれたのが嬉しかったのは本当だろうけど。


「かみさまおっきかったね」

「強そうって思った?」

「うん!」


 龍神様が消えた空を見上げながらせいらちゃんが興奮したように言った。怖くなかったならいいや。

 それにしたって、献身ってなんだ。龍神の言う古き血って。無双とまではいかずとも多少はゲームの知識で楽を出来ると思っていたのにわからないことだらけだ。

 せいらちゃんは何を捧げさせられているのか。本当に魔法石の活性化は星の神子に負担がないのか。世界の命運をこの小さな子に何もかも押し付けていていいのか。

 本当に私に出来ることは何もないのか。


 私の腕の中で抜け出しもせず、むしろどこか嬉しそうに腕を抱えている幼女にばれない様にため息を吐く。

 何もかも、一瞬で解決できる魔法があればいいのに。


なんかファンタジーしてきた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。