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第53話 メフィさん暴走中


 敵と思われる”女神”

 俺が神だと知った時、エグゼバグは命を懸けて殺しに来た。

 つまり、敵方にとって俺はそれほど殺したい相手という事だ。


 んで、刃鬼を疑ったわけだが……。よくよく考えると、サーシャにしろネオンにしろゴドフにしろ、女神の仲間かどうかは、本当のところわからないんだよね。


 仲間を信頼しない訳ではないが、アニメや漫画みたいに、無条件に信頼するのは良くないだろう。

 相手を信頼するという言葉は、響は良いが信頼と言う名の責任転嫁である。


 仮にこの中の誰かが敵の者だとして、他の仲間を殺した時に、信頼していたと言っても意味がないだろう。

 それに実際、何もしていないのに信頼していると言われても、こいつ何言ってんだ?ってなるしね。


 ま、疑心暗鬼になるのは良くないと思うが、「こいつに殺されても文句はない」と思えるまでは心の底から信頼すべきではないよね。


 そっちの方が楽だから、そうしたいのは山々なんだけどさ。




 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇




 サーシャが、俺の手の怪我を神聖魔術で治してくれている。


 刃鬼とステータス差があったため、この程度の怪我で済んでいるが、ほぼ同じステータスだった場合、指が落ちていただろう。……いや、それ以前に刃が心臓に到達していただろうが。


「刃鬼少しは落ち着いた?」


「はい。申し訳ございませんでした」


 いきなり自決をしようとした刃鬼であるが、その結果俺を怪我させたことによるショックで、パニック状態に陥っていたが、少し時間が経って落ち着いたらしい。


「いや、俺の方こそ本当にごめん」


 そう言いながら頭を下げる。


「いえ!そんな事はございません。徹様、頭を上げてください」


 すぐさま刃鬼が応える。

  

 その対応が想定内過ぎて、刃鬼の顔を見ながら笑みがこぼれる。

 刃鬼も同様だったのか、顔が綻んでいた。


「じゃあ、まあさっきのはこれで手打ちという事。」


「はい。かしこまりました」


 治った右手を刃鬼に向ける。一瞬、刃鬼が何だろう?という顔をしたが、こちらの意図を察し、同じ様に右手を差し出してくる。


 それを握り、


「とりあえず、これからよろしくな」


「はい。身命を賭して、徹様から課せられる役目を全うします」


「……いや固すぎるよ。こいつらを見習って、俺の事はぞんざいに扱っていいからな」


 左手で他の3人を指さし、いつもの扱いを思い浮かべながらそう答える。


 ……いや、もう少し神として扱ってもらってもいいかな?


 とそんなことを考えていたら、サーシャがジト目で、


「神崎さんは、いつまで握手しているんですか?」


 と聞いてきた。


 おうふ。そう言えば握りっぱなしだったな。

 慌てて手を離すと、少し残念そうな顔をした刃鬼が居た。


 見なかった事にしよう。


「とりあえず、今日は解散して明日これからの予定を決めようか」





 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇





「と言う訳で、獣人族が心配なんだけど、実際どう思う?」


 昨日はあの後、女性陣が隣の部屋に帰った行き、部屋に備え付けの風呂に入ってすぐに寝た。

 そして朝、いつものようにネオンのジャンピング・ボディ・プレスで起こされた。


 苦しかったです。

 

 そして、総本山内部にある食堂でブランチをいただいているところだ。

 まだ昼ご飯の時間ではないからか、食堂は空いていた。


 お茶をすすりながら、今後の事を話し合っていた。


 獣人族と帝国がどうなるかが心配で、ネオンが帝国に捕まってはいないが、出汁にされ脅迫されることを危惧していたのだが、ネオンがそれをあっさりと否定した。


「それは大丈夫にゃ。ネオンは戦士だから私の為に命を捨てる事はにゃい(無い)にゃ」


 ネオンの話を総合すると、人質として価値があるのは守られるべき存在であり、いわゆる戦士や兵隊等はそれにはあたらず、ネオンが人質になっていても、交渉の材料にはなりにくいらしい。


 前に休戦の交渉の場で、獣人族の将校達が殺された時は、人質の中にただの獣人族の娘、一般人が何人もいたから出来た事であり、ネオン一人の為に将校達が命をささげる事はあり得ないらしい。


 たださすがに目の前で娘が捕まっていたら、モル将軍であっても自分の命を捨てて助けに来る可能性はあるので、ネオンは、帝国軍に捕まる位であれば死ぬ予定だったらしい。


 獣人族は強いな。


「それなら、獣人族の方は置いといてもいいか。なら、ウラヌス教がひと段落付いたら、竜王メフィル・ナーガに会うために北に向かいますか!」


 数日はロムルスに滞在して、どうなるかを見守るつもりだ。


「徹様、一つよろしいでしょうか」


 昨日あの後、女子部屋で何があったのか分からないが、緊張感が大分収まった刃鬼が口をはさむ。


「竜王メフィル・ナーガの事なのですが、眷属の情報によると世界各地で暴れ回っております」




 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇




 魔王桜ノ刃鬼の情報網によるとこうだ。


 魔族領2回、ドワーフ領近辺で1回、帝国領と獣人族領辺りで1回、竜王が暴れてブレスを放った回数である。


 おかげでその周辺は、それなりの被害を出しているらしい。


 まじかよ!

 

 俺が元居た世界、日本に帰るためには、おそらく”神の座”に行くしかない。そこにメアが居て戦うことになっても、行ってみない事には、帰れるのか帰れないのかの判断が出来ない。


 その為には、神の座の場所を知っている竜王に連れて行ってもらうしかないのだが、暴れ回っているとなると話が変わってくる。


 まあ、会ってみない事には何とも言えないのだが、どこに居るのか分からないし、さらに敵の可能性まである。


 刃鬼と俺で抑える事出来るかな……?

 いや、今のままだとキツイか。


「じゃあ、竜王がどこに居るか分からないのと、敵として襲ってくる危険性もあるから、一旦、ロムルスを拠点にしてその辺を考えようか」 


「ガハハハハ!それは良い事じゃ!ならばワシは、おんしらの装備を整えるとしようかの。いい加減その(にお)う革の装備を見なくて済むのう!」


 ゴドフは本当に俺の皮鎧が嫌いだな。軽くて意外にいいんだけど。


 じゃあ総本山の空き地にでも、ゴドフの鍛冶場を置かせてもらおうかな。


「とりあえず、ミネルヴァさんに報告して、ウラヌス教がどうするのかも聞いてこようか」


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