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俺が神!?どうしてこうなった……くそっ人間どもが!  作者: いかと
商業都市アルスメット
23/85

第23話 格差社会。


 今日の予定の最後、冒険者ギルドに行くことにする。


 冒険者ギルドの中は閑散としていた。

 この時間は確かに少ないが、少なからず冒険者がたむろしていたのだが、今は冒険者の姿は無い。

 不審に思い、そのまま二階のギルドカウンターで話を聞くことにする。


「こんにちはたわわさん。今日はギルド内静かですね」


「あ!?サーシャさんと神崎さん!さっきまで待っていたんですよ?」


 うん?とサーシャと二人で首を傾げる。


「えーと、僕らなんかしましたっけ?」


「ゴブリンジェネラルの討伐に、ギルドマスターとクマさん、そしてCランクのパーティーが4つ、Bランクが2人、総勢27名の討伐隊が結成され、先程出発したんですよ」


 出来ればサーシャさんに、その中に入ってもらいたかったのですが……。


 と、神をついで扱いする。

 カレーなら福神漬けである。


「でも私、Eランクなので、Cランク以上のクエスト受けられませんよ?」


「あ、そうでした!お二人は昨日の功績から、ギルドポイントが発行され、ランクに変動がありました」


 とそう言いながら、新しいギルドカードを持ってくる。


「どうぞご確認ください」


====================

 Dランク冒険者 神崎 徹 年齢33

 所属アルスメット支部

 備考 

====================


 ランクが上がっている!

 ほうほう、良く分かってるじゃねーか!

 ちらっと、サーシャのカードを見る。


====================

 Cランク冒険者 サーシャ 年齢17歳

 所属アルスメット支部

 備考 

 戦闘能力はBランク認定

 Bランクの討伐系クエストも可能である。とギルドマスターとクマ両名による許可が出た。

====================



 ……。

 一瞬でもドヤった自分が恥ずかしい。


「凄い事なんですよ。私が勤務する中で初めての扱いです。護衛は結構難しいので、Cランクまで上がるのは早くて1年以上かかるのが普通なのですが、一週間ほどで上がるなんて聞いたことがありません!」


 先の襲撃事件での活躍により、サーシャのギルドポイントが加算されたのであろう。

 普通そういうのって、主人公が上がるもんじゃないの?


「えっと、このBランクの(くだり)はどういう事なのでしょう?」


「それも説明しますね。冒険者に登録した時に、Cランク以上はなるかならないか、選択制だと説明したと思います」


 たしかにそんなこと言っていたな。

 まだまだ先だと思っていたから、適当に流していたけど。


「今サーシャさんはCランクですが、戦闘能力だけで言うと、Bランク以上あると、ギルドマスターやクマさんが太鼓判を押しています」


 まじか、俺が行った時には、何匹かが散発的に襲ってくる状態だったから、サーシャの活躍みてないんだよなー。

 といっても、サーシャのステータスは相当高いからな。プラス、神の加護かかければゴリラ以上だし。


「なので、もしBランク以上に上がりたい場合は、冒険者ギルドにその旨を伝えてください。普通は戦闘技術で躓くのですが、すでに、そこはクリアされています。後は、どういった知識が必要になるのかお教えします。その後、試験に合格すると、晴れてランクが上がるという仕組みです」


 たわわおねーさんはサーシャの方を見据えながら、


「どうなされますか?Bランク以上に上がるのであれば手続きを進めますが……」


「いえ、このままで大丈夫です」


 一蹴した。

 それはもうズバっと切り伏せた。


「えっと、一応当ギルドとしましては、上に上がって頂く事をお願いしたいのですが」


 たわわさんは、それにもめげず果敢に攻め込む!


「今のところ不自由しているわけではないので、このままでお願いします」


 しかし、相手はあのサーシャだ!

 簡単には懐に入れず、そのまま突き放しにかかる!


「そう、ですか。残念です」


 と、たわわおねーさんは、これ以上の交渉の余地がないことを悟りすぐに撤退した。


 そんな二人のやり取りを、突っ込みを入れながら寂しく見ている奴が居た。


 俺だった。



「あ!サーシャちゃんじゃないですか!」


 と、昨日もサーシャの事を語彙力の足りない感じで、大絶賛していたカウンターの女の子が来た。


 わーいという感じでサーシャに抱き着く。

 あれだな、親戚のおねーさんに抱き着く姪っ子みたいな感じだな。

 

「こらメル。貴方は今仕事中でしょうが」

 

 業務を捌きなさい。

 と、すかさずたわわさんが注意をはさむ。


 注意を受けてカウンターに戻る少女。


「はーい!……貴方がサーシャちゃんのお連れさんですか?」


「うん?まあそうなるかな。なんか用でもあったかい?」


「いえ、なんかこう……不釣り合いというか、なんというか」


「ごふっ」


 何という娘だ。

 躊躇なく心を殺しに来た。

 確かに、おっさんと美人女子高生さんとじゃあ釣り合いはとれていない。

 しかも、日本人顔と外国人顔じゃあ違和感しかないわな。 


「――話は以上ですか?」


 とそんなことを考えていたら、サーシャが話の締めにかかるらしい。

 ただ、声のトーンが低い気もするが。


「あ、ちょっと待って、サーシャの報奨金みたいのと、一昨日受けたクエストの終了をしたいんですけど」


「え、ええ。少々お待ちください。――まず一昨日のクエストの成功報酬が40000ギルです。神崎さんには、昨日ニット村の方々の護衛料として10000ギルの追加報酬が出ます。サーシャさんには、護衛料と防衛と討伐のトータルで70万ギルが支払われます」


「え、そんなに出るの?」


 なんでや!

 俺の70倍ってどういうことやねん!

 俺だって頑張ったやん!


「はい。護衛料は一緒なのですが、ホブゴブリンの討伐で、約200体倒しています。一体3000ギルの討伐料で60万ギル、防衛成功として9万ギルのトータル70万ギルとなっております」


「ちなみに、僕の防衛成功の報酬は……」


「……出ませんね。他の冒険者の方々の証言により、何もしてないとの証言が出ていますので」


 ぐ、ぐうの音も出ない。

 確かに、遠くからサーシャを眺めていただけだな。

 周りの人から見たら、あいつなんだ?ってなるよね。

 なんか急に恥ずかしくなっちゃった。


 ショボーンとしていたら。


「神崎さん、ギルドでの用事は以上ですよね?帰りましょうか」


「うん?まあそうだね。帰ろうか……」


「えっ?サーシャちゃんもう帰っちゃうんですか?ジェネラル討伐のクエスト今からでも受けれますよ!」


「いえ私たちは、明日の朝にはアルスメットを発って、ドワーフ領に行く予定ですので。早めに帰って寝ます」


 とばさっり切った。


「「えっ?明日街から発つのですか?」」


 ギルドカウンターで声が重なった。


「はい、では」


 行きますよーと、ずるずる引きずられながら冒険者ギルドを後にした。

 カウンターでは、ちょちょっと待って!と言っていたが、カウンターには阻まれ俺らの事を見送ることになった。




 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇




 あれからお風呂に行って、沈んだ気分を立て直し、いつもの宿屋の一階で晩御飯を食べた。


 後は寝て明日に備えるだけだが、やっておかなければ成らない事がある。


 そう土下座である。

 

 いや別に、土下座したいわけじゃないんだよ?

 神の加護をアイテムボックスに入れときたいのである。


 サーシャの魔力量だと、連続使用できる神の加護は5回が限度らしい。


 なのでとりあえず4回お願いしに来たのである。


「サーシャさん、神の加護をかけてください」


 ノックをして、入って良いと言われて入った瞬間に、この男土下座である。


「さすがに早くないですか?土下座するの……」


 呆れたようにジト目を向けてくる。



 そんなわけで、今日も土下座プレイは絶好調であった。

 そして、これのおかげで、少し元気になった神崎徹である。


 土下座プレイにハマってきた神崎徹、この世界の神である。




 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇




 神崎とサーシャが去った後のギルドカウンター内。


「メル。ダメじゃないあんなこと言っちゃ」


「えーでも、凄くさえない感じだし、鑑定で見ると普通の人なんですよね?」


「仮にそうだったとしても、サーシャさん怒ってたわよ?」


「うーでも、あんな人と一緒にいるより、もっとすごい人と一緒の方がいいに決まってます!」


「それを決めるのは貴方じゃないでしょうに……」


 今日のギルドは、昨日のゴブリン達の襲撃により閑散としていた。

 商人たちの護衛でなり立っている、アルスメットの冒険者ギルドでは、今回のような事が起きると、安全が確認できるまで商人は街に引き籠ってしまう。


 なので、ギルドに依頼が来なくなってしまうのである。


 そんな暇なカウンターでは、


「にしてもサーシャちゃん、あの人になんかされたのかな?」


「何かって?」


 たわわおねーさんは、いつも出来ない業務をここぞとばかりにやり始める。 


「だって、なんか弱みでも握られないと、あんな人に畏まる必要ないじゃないですか!」


「まあ、その可能性もあるけれど……」


「だから私が、サーシャちゃんを助けるんです!」


 はあ、とため息をつきながら、たわわおねーさんは、問題だけは起こさないで頂戴と切に願うのであった。


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