第18話 そう、私が最強の魔術師です。
「その杖に、500万ギルの価値はあるんですか?」
「神の目によると、3000万ギルぐらいの価値はあるってよ」
あれから、ドワーフ族のゴドフのおっさんと別れて、宿屋の一階で晩御飯を食べている。
ゴドフのおっさんは、神の目に留まるような活躍をするんじゃぞ!
と言いながら、ドワーフ領に帰って行った。
「……でも、買う人いないですよね?」
「まあ、転売目的じゃないからね。アイテムボックスに、初級魔法をストックしまくって、100発ぐらい同時に撃てば、それなりの火力が出そうじゃん?」
あー……とサーシャは納得した顔をした。
「この杖の良い所は、自分の魔力を使わないところだよね。俺の魔力量はそんなにないし」
「確かに、そう考えると、神崎さん用の装備に見えてきますね」
だろう?と言いながら晩御飯を掻っ込む。
今日の献立は、パン・サラダ・シチューっぽい何か・焼いたなんかの肉。
まあ、おいしいからいいんだけどね。
あれから、明日は冒険者ギルドに行って、仕事しなきゃね。
という話に落ち着き、別々の部屋に戻る。
「さてと、ボックス内に、魔法を溜めますか!」
独り言を言いながら、とりあえず100発ずつ入れてみる事にする。
必要な呪文みたいのはないから、火を出せと思いながら杖を握っていると、ぽわんという効果音が聞こえてきそうな感じで、火が出た。
あわてて収納と思いながら手をかざす。
ひゅっと、火が消える。
確認すると、ボックス内に、初級魔法火×1という欄が出来ていた。
続けてどんどんやってみた。
そしてそれが、×9から×10になろうとした瞬間、ピコンと頭の中でウインドウが開き、
中級魔法火×1にしますか?
というアイコンが出てきた。
→ YES
NO
もちろんYES!
初級魔法が10個で、中級魔法になるとは知らんかった。
というか、アイテムボックス内で、合わせる事が出来るとは思っていなかった。
これは、俺の時代が来たな。
最強の魔法使いに俺はなる!
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
踏み起こされました。
昨日は調子に乗って、夜遅くまでアイテムボックス内に、魔法を溜めていたら寝坊しました。
いやでもさ、普通に起こせよ!
なんで、踏んでんだよ!
それは最終手段だろ!
初手からすんな!
まあそんなわけで、宿屋の一階で朝飯を食べ、冒険者ギルドに向かった次第です。
今は10時ぐらいだろうか、少し遅いせいか、ギルド内は空いていた。
クエストが張り出されているボードも、スカスカであまりクエストはない。
と言っても、Eクラスはそもそも選べるほど無いんだけれども。
その中で、サーシャは指をさし、
「これなんてどうですか?」
えーと何々。
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Eランク以上から。
ニット村周辺でゴブリンが増えています。
それの調査と駆除をお願いしたいです。
報酬は、60000ギル
詳しくは、カウンターまで。
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「ニット村って近いの?」
「確か、馬車に乗って4時間ぐらいですかね」
とりあえず話を聞いてみよう!
クエストの書いてある紙を持ち、二階に上る。
いつもの、たわわおねーさんのところに行き、これの事なんですが、と紙を差し出す。
「あ、引き受けていただけるんですか?」
と嬉しそうに言ってきた。
「いえ、とりあえず話を聞きに来ました」
「それもそうですね。何が聞きたいのですか?」
話を聞いてみると、このクエストは割の良い仕事らしい。
報酬のほかにも、討伐証明を持って来れば、お金に変わるし、基本ゴブリン討伐なので危険も少ない。
さらに、村に行くための馬車代も支給されるらしい。
しかし、もっと割の良い護衛などが有るらしく、アルスメットでは、この手のクエストは人気はなく、困っていたらしい。
「討伐の方はわかったのですが、調査の方は何をすればいいのですか?」
「調査の方は、ゴブリンの上位種であるホブゴブリンが居たり、ゴブリンジェネラルやゴブリンクイーン、ゴブリンキングが居るかどうかを調べてもらいたいのです。と言っても、これは一応なんですが。」
ゴブリンキングなんて居たら、その周辺に一万以上のゴブリン種が居ることになりますからね。
とっくに、ニット村は滅んでいますね。
と、冗談交じりに説明してくれた。
「と言っても、あの周辺でゴブリンの数が、増えたのは事実らしいので、ただ駆除をしていなかった結果なのか、上位種が現れたからなのか、それとも他から、強い魔獣が来たからなのかは、調べてもらいたいのです」
もちろん、Eランクのクエストなので、無理する必要はないです。
わかったことを、報告して頂ければ大丈夫です。
と、にっこり笑って言ってくれた。
「なるほど、ゴブリンが増えて、上位種が生まれるのは阻止したいのと、現状どうなっているのか、という報告をすれば良いってことですか?」
そういう事です。
と上目づかいでこっちを窺ってくる。
たわわの谷間を強調している気がする……。
ゾクッと背筋が寒くなったので、何気ない様子で、サーシャにどうする?と尋ねる。
「仕事としては悪くないと思いますよ?上位種なんて早々現れませんし、居たら居たらで、すぐに逃げて報告すれば良いだけなので」
「じゃあ受けちゃおうか?」
ありがとうございます!と頭を下げられた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
あれから、色々なものを買い込んだ。
野営用のテントや調理器具、毛布などなど。
ついでに俺のローブやらブーツなども揃えた。
借金がありすぎて、マヒした感はある。
俺はこのままだと、一生サーシャの奴隷として過ごさねばならん。
「野営用のテントとかも、一回買っておけば、当分買わなくて済みますしね」
必要経費です。とボコボコ買っていた。
意外に買い物好きなのかな?
ま、そんな感じで、準備を終わらして、馬車を待っているところだ。
ちなみに宿は払った。
半額で部屋を取っておく事も出来るらしいのだが、そこまでして、あの部屋が良いという訳でもないし、荷物もアイテムボックス内に入れれば問題ない。
昼過ぎに馬車が出発した。
護衛の冒険者が二人と、ニット村の村人が数人いた。
そのまま、他愛のない話をしながら、日が落ちる前に村に着いた。
「あー、体がバキバキだわ」
「馬車に乗っているのも疲れますね」
「だな。とりあえず、村長の家に行って、話を聞いて、寝る場所と飯を何とかしないとな」
流石に、夜の山の中を歩き回る気はない。
明日の朝一から、調査兼討伐の予定だ。
「そうですね」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
昨日は、村長宅でお世話になった。
晩飯をいただき、二人で一部屋を貸してもらった。
ベッドは一つしかなかった。
念願の一緒の部屋だ……。
まあ、俺は床に寝かされるわけだけどね。
神だけど。
大人の礼儀として、ベッド使っていいよって言ったら、サーシャが、ありがとうございます。って言って話は終わった。
解せぬ。
朝食をご馳走になり、そのまま、山の中に入ったのがつい先ほどだ。
「なあサーシャさんさんや。多くないですかね?普通こんなもん?」
「いえ……明らかに多すぎです」
まだ、一時間も経ってない。
村のすぐ近くにも関らず、2人で10匹駆除した。
ちなみにボックス内魔法による、雷魔法初級×5を、ゴブリンに当てたら、感電して気絶した。
そのまま首を切り落としたった。
「どうする?」
「まだ上位種が居ないので、何とも言えませんが。……居る可能性もあるので、見つけたらすぐに、村長に報告のもと、村人全員の避難ですね」
ならもう少し山の中を歩き回らないとな!
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神崎徹の持ち物等の変化
借金総額520万ギル
装備ショートソード・革の鎧(中古)・六色の杖・魔導士風ローブ・ブーツ
ボックス内魔法ストック
神の加護×5
属性魔法中級と初級がそれなりにいっぱい。
プライスレス
土下座時に頭を踏まれるご褒美×3(村長宅就寝前)




