第14話 みんな大好き冒険者
検証で疲れたので、今アルスメットにのんびり歩きながら帰っている最中だ。
そのアルスメットももう目の前にある。
外から見るとよくわかるがアルスメットは城壁がある都市で、魔物や魔獣からの備えをしている。
そのまま街道を歩き、アルスメットの町中に入るため、城門の前に並ぶ。
「もう夕方だな。今日は疲れたし冒険者登録は明日にしようか」
「いえ、朝は混みますし、今行った方が空いていてスムーズに登録できると思いますよ?」
えー、と否定の雰囲気を出すと、
「借金がある人が余裕ですね」
おうふっ。
それを言われるとおじさんはツライ!
まあ確かに、混んでる時間に行って、登録するのに時間をかけるのもアレか……。
ハアとため息をついていると。
「次の方どうぞ―」
と警備兵の人が声をかけてきた。
あれ、もう俺らの順番か。
「アルスメットは初めてですか?」
サーシャは猫をかぶりながら、
「いえ、この町の宿を借りています」
「そうなんですね。この町では何を?それと何で外に行ってたのですか?」
すいませんね、うちらも仕事なんで。
と頭を下げながらサーシャに向かって話す警備兵の人。
年齢は20才中盤ぐらいだろうか、まあぶっちゃけこの世界の外国人風な顔だと何歳かわからんけども。
「この町で冒険者になろうかと、それで彼と一緒に生活していこうと思いまして。それで今は、薬草を取りに行ってました」
サーシャが俺の手を取り、警備の人にニッコリと笑みを浮かべていた。
「あーなるほど、わかりました」
では問題ないのでどうぞ―と町中の方に手を向けている。
そしてサーシャが、手を放しながらありがとうございます。
って言いながら先に行った。
俺が彼の前を通った瞬間、小さな声で、ちっ死ねばいいのに。
って聞こえた!ええ!?俺なんかした?なんならあの女、頭踏むんだぞ?
と抗議の目を向けてみたが彼は次の人の対応をしていた。解せぬ。
とまあそんなわけで、そのまま町の中を歩きながら冒険者ギルドに向かう。
夕飯の支度をしているのか、いろんな所からいい匂いが漂ってくる。
お腹空いたなと思いながら歩いていると、三階建ての大きな建物の前に来た。
看板を見ると冒険者ギルドと書いてあった。
商業ギルドと比べると少し小さいが、それでも建物としての大きさはかなりのものであろう。
裏には訓練場と解体場があるらしい。
「立っていてもしょうがないので行きましょうか」
「そうだね。これ終わったらご飯食べよう。」
「はい、私もお腹すきました」
そんなわけで扉を開く。
ガヤガヤとした喧騒の中、扉の付近ではぎゃはははと大笑いしてる人たちが食事とお酒を楽しんでいた。
一階は酒場らしく、奥には納品カウンターが見えた。
冒険者らしい人たちが、そこかしこで飲食や話し合いなどをしていた。
「今日の晩飯はここでもいいかな。えーと、冒険者カウンターはと……」
「あっちの階段の先みたいです」
と指をさした。
確かにさされた先には冒険者カウンターと書かれていた。
二階は一階と違って、割と静かな雰囲気だった。
そして俺たちに気付いた受付のおねーさんが、
「こちらにどうぞ。今日は何か御用ですか?」
と話しかけてきたので俺たちはその人の前に行き、
「僕たち、冒険者になりたいんですけど」
「はい。冒険者登録ですね。後ろの彼女さんもですよね?」
「はいそうです。えーとなにか問題でもありますか?」
「あ、いやいやそんな事はないですよ。年齢が15歳以上である事と、犯罪歴がなければ誰でも冒険者に登録できます」
と、そう語るおねーさん。
冒険者ギルドの制服なのか、たわわに実った胸を強調していてエロい。
こちらは立っているので、カウンターに座ってるおねーさんの位置が少し低くなり、上から覗き込む形になっている。
まさに絶景である。
ただ、後ろから殺気にも似た圧力が感じるようになったのであまり見ないようにしよう。うん。
「女の人の冒険者登録は珍しいので聞いてしまいました。申し訳ございません。では、こちらの紙に必要な事項を書いてください。代筆は必要ですか?」
大丈夫です。
と二人で言いながら、必要事項を埋めていく。
なになに、名前、年齢、戦闘職業、パーティーを斡旋するかどうか、などか。ふむ俺の戦闘職業って何になるんだろう?
「サーシャ、俺の戦闘職業は剣士とかになるのかな?一応剣術2持ってるし……」
「神崎さんは、何も書かなくて大丈夫ですよ。戦闘職業は、依頼者がどんな人を望んでいるかとか、パーティーの斡旋等に必要なだけで、私とパーティーを組む上では必要ありません」
「あ、そうなの?書かないと冒険者登録できないのかと思っちゃた。」
「説明不足で申し訳ございません。基本的には名前と年齢だけ書いてもらえれば問題ないですよ。パーティーを斡旋するかどうかも変更できる事項ですので。ただ、書いといていただけると、いろいろと便利というだけです」
ほー、じゃあ名前と年齢だけ書いてと。
「出来ました。お願いします」
とカウンターのおねーさんに渡す。
丁度サーシャも書き終わったのか手渡していた。
二枚の紙を、ちょろっと目を通したおねーさんは、下から水晶を取り出した。おおラノベっぽい!
「では、お二方に犯罪歴がないか調べますので、こちらに手をかざしてください」
まず俺がかざしてみるが特に水晶の変化はない。
大丈夫ですねと言われて手を戻す。
次にサーシャも手をかざすが結果は同じだった。
「問題ないようですね。では次に説明をさせていただきます。冒険者にはランクという物が存在していて、基本のA~Eと年齢制限で引っかかった人へのFランクがあります。お二方は規定年齢を超えていますのでEランクからのスタートとなりますね。そしてこのランクによって受けられる仕事内容が異なります。簡単にいうと、ドラゴンなんかの討伐はAランクのパーティーが複数であたります。こういった危ない内容のクエストは、Aランクでないと受けられないように、冒険者ギルドが斡旋します。仮にB~Fの冒険者様がお受けになりたいと申されても、基本斡旋いたしません」
この辺もよくあるラノベの感じと似ているな。
冒険者ギルドはいろんなところから仕事を依頼されて、それを精査し、冒険者に斡旋するのが仕事なんだろう。
そしてランクによって仕事内容と冒険者の能力の釣り合いをとっていると。
「ただ例外も多く、後で説明しますが、Cランクだけど戦闘能力はAランクに引けを取らない人も少なからずいまして、そういった人はギルドカードに、討伐のみAランクのクエストも大丈夫と記載されていたりします。そしてAランクのクエストでも、ギルドが必要だと思った場合など、他のランクの冒険者にもお願いする事はあります。戦闘能力はないけど斥候としての能力はピカイチで、Aランクに斥候が居ない時など」
ほー成程。
杓子定規な感じじゃなくて、臨機応変な対応をとっているのね。
つまり、一応ランクはあるけどそれは目安で、その人の得意分野などは、上のランクの仕事も回してもらえる可能性があると。
「次にランクによるメリット、デメリットです。冒険者ギルドに登録すると、一定の期間クエストを受けないとギルドカードの停止処分を受けます。ただし、それ相応の事由がある場合は免責されます。例えばケガや病気などですね。で、そのクエストを受けない一定期間が、ランクが上がるごとに伸びていきます。それは冒険者としてギルドが信頼をしたという事と、高ランクのクエストになると、長期間そのクエストに縛られる事も多々ありますので。まあ後は、高ランクになればなるほど報酬が良くなります」
ふむ、冒険者として登録するのはいいが、一定の期間クエストを受けないとダメというのは、それはちょっとめんどくさいな~。
まあそこについては追々考えるか。
「ランクごとのクエスト内容は、またその都度お話ししますが、CランクとBランクの違いを説明します。Cランクまでの冒険者様には、お客様からの指名依頼というものが出来ません。しかし、Bランク以降になると指名依頼が入る事があります。これは単純にその人が適任だと思って依頼する場合と、貴族や国がその冒険者と渡りをつけたい場合とがあります。そして、この指名依頼なのですが、基本的に断る事が出来ません。もちろん今受領中のクエストがあればそちらを優先させていただきますし、何か用事がある場合などは構わないのですが、指名依頼を蹴って他のクエストを受ける事は出来ません。冒険者ギルドは国の援助も受けていますので、ある程度国や貴族を優先しないといけないのです。ですのでそういった縛りが嫌な方は、Cランクで留まっているという方も居られます。しかし普通は、国や貴族のお抱えになりたがる人の方が多いのであまり居りませんが」
長い!三行で頼むよ!
まあ冗談は置いといて。
Bランク以上になる必要はないな!
人族領のみで活動するならあれだろうけど、俺の場合そうじゃないしな。
サーシャは……うん、本人に任せよう。
「そして降格処分ですが、任務失敗が続いたり、重症な失敗だと一発で降格します。例えば護衛依頼で、依頼者を襲撃者に勝てないからと置いて逃げだした場合は、一発で降格処分になります。これは冒険者ギルドとしての、信頼にも関わる事ですので頭に置いといてください。まあだからと言って命をかけろというわけではないですし、何かの罪に問われることはございません。クエスト失敗の違約金と降格処分だけです。ただ一回降格してしまうと、そう簡単にはランクが戻ることはないと思ってください」
説明は以上になります。
何か質問はありますか?とおねーさんが聞いてくる。
俺とサーシャは目配せをして大丈夫ですといった。
「では、一応ギルドの説明と注意事項を書いた用紙です。目を通しといて下さい。ギルドカードは明日の朝一には出来上がると思います。明日以降にカウンターまで取りに来てください。でないとクエスト受けれませんので」
お疲れさまでした。
と頭を下げる受付のおねーさん。
さて、お腹減ったし下の酒場で飯食うか!
誰かが言っていました。それはフラグであると!
説明がなくなっただと・・・・まさかの説明会という落ち。
すいません。説明していたら、あれもこれもと気が付いたら、ほぼ説明会になったいました。予定ではこの半分で説明終わって、あれあれする予定だったのに・・。




