第10話 魔法の森と七色の人形遣い
お待たせしました!
ここから少しだけ日常パートが続きます。
では、本編をどうぞ!
「まだ、少し頭が痛いな……」
先日の宴会の時の酒の飲みすぎで酷い頭痛を起こし、暫く寝込んでいたのだ。
「これは本格的に永琳さんのところで薬を貰ってこようかな……」
妖夢さんには少し外の空気を吸ってくると言って人里に降りて来たんだけど、今日は寺子屋の手伝いもないし暇だな。
「この前魔理沙さんが言ってた魔法の森にでも行ってみようかな」
宴会の時に魔理沙さんが「私は魔法の森に住んでるんだ!」と、言っていたのを思い出した。
「どうせやることもないし行ってみるか」
魔法の森の入口に香霖堂という建物があったが、準備中だったのでまた今度入ってみることにしよう。
「普通の森と変わらないような気もするし、少し違うような気もするんだよな〜」
色々と森の中を探索している内に辺りが少し暗くなってきた。
「そろそろ帰るかな」
……………………あれ?
ここ何処だ?こんな道来た時、通ったけ?
「なんてこった…… 完全に迷った……」
ここ迷いの竹林より酷いんじゃないか?取り敢えず、今日帰る事は諦めよう。
魔理沙さんの家を探して1晩だけ泊めてもらおう。
「もしかして、あれ魔理沙さんの家かな?」
暫く魔法の森を歩いていると、一軒の家を見つけた。
「すみませーん!」
家の扉をノックして家の主人が来るのを待っていると。
「はーい、どちら様?」
扉が開き出てきたのは魔理沙さんではなく、青のワンピースのようなノースリーブに、ロングスカートを穿いている。その肩にはケープのようなものを羽織っており、金髪の頭に赤いリボンをヘアバンドのようにまいている女の子だった。
「えっ?」
「見ない顔ね、迷ったのなら体が温まるまで上がっていきなさい」
俺は促されるままその女の子の家に入っていった。
部屋では至る所で人形が動き回っていた、掃除をするもの、料理をするもの、本棚に本を戻しているものまでいた。
「今あたたかい紅茶が入ったわ、どう?部屋は寒くないかしら?」
「はい、大丈夫です」
紅茶を受け取ってそのままそれをひと口啜る。
「美味しい……」
「そう、なら良かったわ」
そう言って女の子はテーブルに置いてあった紅茶を飲んだ。
「迷い歩いてすっかり体も冷えちゃったでしょうし、ゆっくり暖まっていくと良いわ。何なら泊まっていっても良いわよ」
女の子がニッコリと笑い、そしてそのまま人形を縫い始めた。
「あの…… 俺、市井義人って言います。何から何まで本当にありがとうございます」
「私はアリス・マーガトロイド、気にしなくていいわよ?こんなの迷惑にもならないから」
アリスさんは紅茶のおかわりを飲みながら、近くを通った人形がに俺の布団をだすように命令した。
「ところで、なんで魔法の森にやってきたの?何か捜し物?」
「いや、俺の幻想入りしたばかりで何も知らないのでちょっと好奇心で……」
まさかこんな事になるなんて思ってもなかった……
「幻想入りね〜、でもあなた普通の人間じゃないでしょ?何か能力を持っているんじゃない?」
アリスさんがニヤリと笑って俺の方を見た。
「人を模倣する程度の能力というものを持ってます、効果は…… 見てもらった方が早いですね」
そう言って俺は、目の前のアリスさんの姿を模倣してその姿になった。
「へぇ~、面白いわね。でもそれだけじゃないでしょ?」
俺はうなずき、四角い箱を人形に模倣させ、アリスさんがやっていたようにそれを動かした。
「相手の能力も使えるようになるのね、他には何ができるの?」
アリスさんの目がキラキラと輝いているのを感じた。
そして俺は人形を懐中時計に変化させ、時間を止めてアリスさんの後ろに回り込んだ。
「うわっ!咲夜の時止めまで使えるのね」
「なんでもこの能力とても珍しい能力のようで、先代の巫女の時以来発見されていなかった能力だったらしいです」
そのあと、成長性も枝分かれだということも話した。
するとアリスさんが自分の人形を集めた。
「私は、魔法使いよ。人形を操ることが得意なの、まぁ他の魔法も得意だけどね。ここで働いてくれてる人形は全部私の手作りよ」
ほえ~、全部手作りって…… この量を手作りするって相当な時間がかかったんだろうな。
「今日は本当にありがとうございました、おかげで助かりました」
「いいのよ、今日は疲れてるでしょうからもう寝なさい。明日の朝に魔法の森の入り口まで送っていくわ」
アリスさんはそう言うと「私も寝るわ……」と自分のベットへ横になった。
「お休みなさい」
家の明かりが消え、俺も敷かれた布団に横になり目を閉じた。
朝起きるとアリスさんはもう昨日座っていた椅子に座り、人形を縫っていた。
「起きたのね、おはよう。じゃあ朝ごはんでも食べましょうか」
人形に朝食を持って来させ、二人で朝食をとった。
「じゃあそろそろ行きましょうか」
アリスさんの家を出て、暫く歩くと昨日見た森の入り口まで着いた。
「送ってくれてありがとうございました、今度またお礼に行きますね」
「そんなのいいわよ、でももし本当に来るっていうのならこれをあげるわ」
アリスさんは俺にアリスさんそっくりの人形を渡してきた。
「その人形に魔力を込めれば私の家まで案内してくれるわ。まぁ他にも雑用とかもできるけど、あんまりエッチなことは命令しちゃ駄目よ?」
「しませんよそんなこと!」
何を言っているんだ…… 相手は人形だぞ……
でも、よく見ると他の人形よりもっと精密に作ってあり、さながら小さなアリスさんというような感じだった。
「ふふっ、冗談よ。じゃあ気を付けて帰りなさいよ」
「はい、ありがとうございました」
そういって俺は白玉楼への帰路についた。
「それにしても…… かっこよかったわね……って、何考えてんのかしら…… さっさと帰りましょう」
アリスは顔を赤くして自分の家へと帰って行った。
「ただいま帰りました~」
白玉楼につき帰ってきたことを玄関で言うと、ドタドタという音と共に妖夢さんが飛びついてきた。
「義人さん!!どこに行ってたんですか!?心配したじゃないですか!」
目に涙をためて妖夢さんが俺に叫んだ。
「ちょっと魔法の森で迷って、アリスさんの家に泊めてもらいました」
「そうだったんですか、何もなかったのならよかったです」
妖夢さんが安心したような、少し不安そうなような複雑な顔をしていた。
「またライバルが増えた……」
「ん?どうしました?」
「いやっ!なんでもないです」
何か聞こえたような気がしたけど、気のせいか。
「義人じゃない~おかえり~」
「幽々子さんただいまです」
幽々子さんが湯呑でお茶を飲むのをやめて、俺に抱き付いてきた。
「あの…… 幽々子さん?」
「さみしかったのよ~、少しこうさせて?」
そんなこと言われると、拒否するなんてできるわけがなかった。
妖夢さんが羨ましそうに、見ていたのであとで妖夢さんにもやってあげないとな…… 不貞腐れるから。
「ありがとう義人」
「どういたしましてです」
妖夢さんが人里に買い物に出かけるというので、付いていこうとしたら……
「義人さんは疲れているでしょうし、白玉楼で休んでいてください」
と言われてしまったのでおとなしく休むことにした。
「義人~?」
幽々子さんが俺の部屋に入ってきた、右手に何か瓶のようなものを持っていた。
「何ですか幽々子さん?」
「一緒に飲まない?」
やはり酒だった…… でも今禁止令を出されてるからな……
「いや…… 今禁止令が出てるので……」
「妖夢はいないし大丈夫よ!」
大丈夫って言われてもなぁ……
「それとも私のお酒は飲めないの?」
いや、だからそれは反則でしょうに……
「……飲みます」
「やった!」
それから二人で酒を飲みつつ仲良く談笑していると……
「ただいま戻りました!」
白玉楼の玄関の扉が開く音と共に、妖夢さんが帰ってきた。
「義人さん!今日は何が食べたいです……か?」
部屋の扉が開けられ、俺と幽々子さんが酒を飲んでいる現場をもろに目撃されてしまった。
「あ、あの…… 妖夢さん?これはちがくて……」
「義人さん!禁止令出したでしょ!?」
そのあと妖夢さんに二人でこっぴどく叱られ、白玉楼にある酒は全部妖夢さんに処分されてしまった。
幽々子さんがとても残念そうな顔をしていたのを今でも覚えている。
「わかりましたか義人さん、今度からは誘われても暫くは飲んじゃだめですよ?」
「はい、わかりました……」
怒る姿もかわいいなぁ……
「妖夢奥さんみたい~」
「茶化さないでください!」
しかし怒る姿とは裏腹に妖夢さんの顔は真っ赤だった。
明日あたりにお茶菓子などをもってアリスさんの家にお礼に行かないとな。
しかし、あの技術ほしいな…… 教えてもらえるように頼んでみるかな。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
次回更新は水曜日か木曜日です。
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