第二十二話 ハム公と結末
洞窟の中、勇者とハム公が切り結ぶ。
勇者は全てハム公の攻撃を受け切り、自分の力がハム公より上であることを確信する。
「ハム公、覚えてないよな」
人類を救うという誓いが、こんなにも自分を苦しめることだとは思わなかった。
感情も記憶もなくしてしまえればどれだけ楽なことか。
勇者の渾身の一閃がハム公を貫き、ハム公の動きが止まる。
「ハム公!お願い、、、!」
その瞬間、賢者はこれまでの全ての研鑽をかけた遡行魔法を放つ。
ハム公の周囲に巨大な魔法陣が展開される。
動きを完全に封じられたハム公が、ブルブルと震えながら、賢者の方を見つめる。
賢者はゆっくりとハム公に近づき、抱きしめながら、
「あなたはもう、忘れない。」
とても柔らかな表情で、そう言い放った直後、賢者は口から血を流して倒れ込んだ。
腹部には大量の血。
「え、、、?」
勇者は何が起きたのか分からなかった。
何故そうなってしまったのかも分からない。
明らかに動きが変わったハム公に、全く反応できず、勇者の身体は貫かれていた。
賢者の隣に倒れ込む勇者。
洞窟内に静寂が訪れる。
二人が動かなくなったことを確認すると、ハム公は傷ついた身体を引き摺るようにして、その場からゆっくりと姿を消した。
洞窟内で勇者と賢者が変わり果てた姿で発見されたのは、しばらく時間が経ってからだった。
そこには二人を取り囲むように沢山の向日葵が咲いていた。
エピローグ
目を覚まし、右手の爪と左手のひまわりの種を見る。
周りには誰もいない。
ハム公は歩き出す。
はるか遠くに見える城壁を目指して。
ハム公 おわり




