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第十三話 ハム公と爪痕
勇者と賢者は隣国へ足を延ばす。
聞けばしばらく前まで、城壁の街との戦が続いていたようだ。
隣国は勝利目前だったにも関わらず、突如として戦うことをやめたらしい。
ある兵士は言う。
「気づけば俺ひとりになっていた。あれは、、、怪物だ」
ある兵士は言う。
「城壁の街は魔物よりも恐ろしいものを引き入れた」
ある兵士の母親は言う。
「息子はあの村でハム公様を慕っておりました。ですが、、、っ」
ひととおり話を聞いて回ると、すっかりと日が暮れていた。
2人は向き合って焚火を眺めている。
「ハム公、いろんなことしてたな」
「うん」
「ハム公の銅像には驚いた」
「うん」
「賢者、、、大丈夫か?」
「うん、ありがとう。今日はもう寝ましょう?」
「ああ」
少しの沈黙。
賢者の瞳に映る焚火の揺らぎが止まる。
「私たちが覚えているからね」
あの時は涙で滲んだ言葉。
そう呟いた賢者の目にもう涙は浮かんでいなかった。




