表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
吸血貴族の聖騎士  作者: 結城 からく


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/20

第9話 後編

 それは無意識の行動だったが、数多の戦闘経験を積んできたシークが本能的に辿り着いた最適解であった。

 ガベルに噛み付いたシークは喉を鳴らして血を飲む。

 嚥下のたびに魔力が脈動し、間もなく彼の傷口から血が噴き出した。

 噴出した血液は真っ赤な手足を形成となり、強引にガベルの顔を掴んで引き裂く。


「ゴガアアアァァァァァッ!?」


 ガベルが絶叫し、しがみ付くシークを振り払った。

 分断された顔面を押さえたガベルは、傷口同士を密着させて再生を促す。

 シークの首を掴んだがベルは、目を血走らせて怒り狂う。


「き、貴様っ! 同族を喰らうとは――」


 ガベルの言葉を待たず、シークがガベルの手に噛み付く。

 シークは血肉を啜るりつつ、同時に牙から聖気を発散させた。

 己の頭部を崩壊させながらも、それ以上の速度で再生して喰らいついていた。


 聖気を流し込まれたガベルは悶絶し、半狂乱になってシークを引き剥がそうとする。

 しかし、肉体を浄化されている上に力の源である血液を奪われたことで、あえなく膝をついてしまう。

 そこからはまともな反撃すらできずに、ぐずぐずと全身が溶けて絶命した。


 ガベルの残骸を踏みつけたシークは、血で形作られた四肢を一瞥する。


(吸血鬼の血を摂取することで、血の魔術が目覚めたか。あまり使いたくない能力なんだが……)


 シークは剣を拾おうとする。

 ところが柄に触れた瞬間、指が蒸発してしまった。

 血の魔術で作った指では聖剣に触れることができなかったのだ。

 仕方ないのでシークは切り落とされた腕を掴んで断面に押し付ける。

 血を糸に縫合し、どうにか繋げてみせると、今度は問題なく剣を握ることができた。

 シークは同じ要領で残る手足も元通りに治していく。


 一連の行動はとても悠長で、あまりにも隙だらけのようにも見える。

 直前までのスピードが嘘のように緩慢としており、血の魔術に不慣れなシークは何度も失敗して手こずっていた。


 しかし、生き残りの吸血鬼達はその間に誰も動かない――否、動くことができなかった。

 シークの纏う禍々しい殺気に恐怖し、身が竦んでいたのだ。


「……よし、こんなもんか」


 四肢を繋ぎ終えたシークは、軽く動かして問題がないことを確かめる。

 そして、彼はだらりと脱力した。

 剣を杖のように立てて身体を支えたかと思いきや、後方へゆっくり倒れ始める。

 その際、彼の口が動く。


「――聖刃次式・裂」


 仰向けで地面に触れる寸前、シークの姿が霞んで消える。

 次の瞬間、周囲の吸血鬼の心臓が同時にくり抜かれた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ