第6話 後編
「はぁ? 聖騎士と吸血鬼が親戚だと? 一体どういうことだよ」
不快感を露わにしたシークはミラに詰め寄る。
ミラは後ずさりながら慌てて説明し始めた。
「大昔、ハートン家の当主が吸血鬼の女に恋した。そして二人の間に子供ができたらしい」
「おいおい、嘘だろ……」
「子供は半吸血鬼の双子だった。大人になった双子は、考えの違いから殺し合うほど険悪な関係となった」
ミラは壁にかかった肖像画を指し示す。
そこには赤い瞳の男が二人描かれていた。
「双子の兄はハイドーン家を名乗り、聖騎士の力を封じて吸血鬼として生きることにした。弟はハートン家を継いだ。吸血鬼の力を封じ、聖騎士の一族としてさらなる研鑽を積んだ」
「だからハートン家とハイドーン家は血縁だってわけか……」
「これは秘匿されている話だ。くれぐれも外部に漏らさないでほしい」
「もちろんわかってる」
シークは髪を掻き上げてため息を洩らす。
彼は肖像画を睨みつつ、渋い表情で考え込む。
(ハイドーン家でそんな話は聞いたことがなかった。純血主義の吸血鬼には耐えがたい歴史だし、意図的に隠していたんだろうな)、
呆れ返ったシークはミラを一瞥した。
首を傾げるミラを見て、シークはまた嘆息する。
(まったく、俺の子孫が吸血鬼と子供を作るなんて……吸血鬼狩りの名折れじゃねえか)
そこで一族の血縁に関する話は終わった。
武器探しを再開したシークは、一本の剣の前で立ち止まる。
台座に刺さったその剣は、白銀の刃に赤い筋が葉脈のように広がっていた。
シークは驚きと歓喜を見せる。
「おっ、こいつは……!」
「ダエル・ハートンの遺剣だ。流した魔力を聖気に変換し、増幅させながら解き放つ。聖気が毒のように吸血鬼を蝕む最強の聖剣……と聞いている。強力な武器だが、誰も使いこなせないらしい」
「そりゃ当然だ。真の持ち主を待ってたんだろう」
シークは剣の柄を握り込む。
刹那、彼の指が焼けて白煙を上げ始めた。
剣の持つ力で浄化されているのだ。
その事実を理解したシークは、さらに柄を強く握って凄む。
「――おい。誰に逆らってんだ」
浄化がぴたりと止まった。
一部始終を目撃したミラは愕然とする。
「シーク、君は……」
「何も言うな。これはもう俺のもんだ」
シークは上機嫌に台座から剣を引き抜いた。




