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Final

ここまでお読み下さってありがとうございますm(_ _)m


今回で最終回となります、ホームレスから悪役令嬢にと言うタイトルの通りそれを描きたいと頑張りましたが、読み手の皆さまに本作品のラストがどう感じられたか。

作者はそれがすごく心配、でも少女がそう思ってると信じてるので私はこれで良いんじゃないかと思ってます。全ての状況を鑑みてこれがハッピーエンドだ私は信じています(`・ω・´)ゞ

 部屋に入るなり私はパパの抱きつかれてしまった。



「うおおおおおおお……、お願いだから私の元から離れていかないでおくれええええええ」



 ここ最近はずっとこんな様子だから私もパパをどう扱えばいいか悩んでます。私に縋り付くパパの頭を撫でると凄く喜んでくれる。


 反対にお姉ちゃんは凄く冷たい目付きでパパを見下す。


 レオポルトも手で顔を隠して「終わったら教えてくれ」と私の耳元でそう呟く。私も流石に話を進めて欲しいからパパに「もういいでしょ?」と声をかけると、パパはハンカチで涙を鼻水を拭って普段のパパに戻る。


 パパはギャップも凄い人でした。


 そのパパが咳払いをしてなんとか本題に移っていく。



「んん! マリーの養子縁組の件が大方固まったから家族には先に教えておこう」

「父上、マリーは何処の家に行くのですか?」

「……国外だ」

「ちょ、ちょっと待って下さい。父上は自分の仰ってる事が分かってるんですか? マリーはレオと結婚したいから養子縁組を願い出たのですよ?」

「国外の貴族だろうと婚姻は結べる。何ら問題はない筈だ」

「父上はもしかして俺とマリーの結婚を政治の道具にするつもりですか!?」

「……相手先は古くから我がローレヌ侯爵家と縁がある。だから国外でも割と早く先方が養子を探していると言う情報が入ってね、そしてたまたま先方の探していた養子の条件がマリーと合致したと言う事だよ」



 お姉ちゃんとレオポルトがもの凄い剣幕でパパに詰め寄っていく。お姉ちゃんはパパに「見損ないました」とキッパリと言い切って、レオポルトは「父上はマリーをなんだと思ってるんですか!?」と猛抗議を始めてしまう。


 私の目の前で一つの家族に亀裂が走っていく。


 それも原因は私が養子縁組を無理に頼んだからだ。


 だけど確かにパパの言う通りで例え受け入れ先が国外だって私はレオポルトと結婚出来て、お姉ちゃんとはまた姉妹になれる。都合が悪いのはローレヌの屋敷からちょっと距離が遠くなるだけだ。


 パパも凄く苦労してるのだと思う。


 仕事が忙しい中で、自分の立場もあって思い通りの養子縁組をまとめる事が出来なかったのだと思う。それはお姉ちゃんとレオポルトに詰め寄られて、それを黙って聞くパパの姿からも良く分かる。


 三人が喧嘩するところは私にとって辛い。


 だけど三人が喧嘩する理由を知ると心が温かくなっていく。


 私はこの屋敷に入って三人の家族になれてやっぱり幸せだと改めて思い知ってしまった。そう思えば私の出せる答えなんて一つしかないんだ。



「分かりました。私は何処の国に行けばいいんですか?」

「……マリーは物分かりが早くて助かる。所詮養子縁組とは元々政治の手段の一つに過ぎないんだよ、マリーもそれを理解して願い出たのだよね?」

「はい、パパには無理なお願いをしました。こちらこそありがとうございます」



 パパに頭を下げると逆にパパが居心地悪そうに頭を掻いて困った様な表情を浮かばせていた。お姉ちゃんとレオポルトなんて二人で私に走り寄って肩を揺らすのだ。


 本当にそれでいいのか、と真剣に私を心配してくれる。


 私が笑顔で大丈夫と伝えると二人はパパと同じ様な仕草を見せた。やっぱりこの三人は家族なんだなあとつくづく思えて思わず大声で笑いそうになってしまった。



 お姉ちゃんが言っていた。


 この世界はお姉ちゃんの知ってる物語とは少しだけ運命がズレ始めていると、パパの性格の変化もそれが原因らしい。



 本来のオトメゲームでは国外追放されるのはアクヤクレージョーのお姉ちゃんと、お姉ちゃんの悪事に加担した人たちだけ。その中に私のお父さんは居なかったそうだ。


 因みに私はその登場人物ではあるけど、お姉ちゃんとは双子の設定ではなかったらしいので、私からすれば逆に喜びたいくらいだ。


 お姉ちゃんの妹になれてお父さんは国外追放されたけど、元々パパによってもっと厳しい処分を言い渡されていた可能性だってあるのだから。


 だったらそれすらも喜ばないといけないと思う。


 お姉ちゃんが必死になってバッドエンドと言うものを回避するために動いた結果は私にとっていい方向に進んだのだから万々歳だ。


 お姉ちゃんは私に会いたい気持ちもあったけど、それ以外に自分も知らなかった設定を持った私がそばにいればバッドエンドを回避出来るのでは? と言う考えも有って私を探したと言う。


 その事を打ち明けた時、お姉ちゃんは凄く申し訳なさそうにしていたけど私は全く気にしなかった。それどころか私はお姉ちゃんからたくさんのものを貰ってるから謝って欲しくなかった。


 こんなにも私を想ってくれるのだから全く問題はありません。


 だけどお姉ちゃんが「どうもマリーは悪役令嬢とヒロインを兼任してる気がするのよね」と小声で呟いていたのは少しだけ気になった。それと「私が攻略対象になってる気もするのよ」とも漏らしていたけど、アレはどう言う意味だったんだろう?



 お姉ちゃんの言う事は全てが難しくて何度説明されても良く分からないでいる。



 そんな風に今までの事を振り返っているとパパはようやく私の受け入れ先を話す気になったらしい。私が了承したのだからお姉ちゃんとレオポルトも渋々了承したみたいで固唾を飲んでパパの言葉を待った。


 でもやっぱりこう言う発表は緊張しちゃうなあ。



「……フェルデナントに行ってもらう」

「え?」



 フェルデナントって言ったら……。



「父上、もしかして今回マリーが養子になる他国の貴族って……」

「レオポルトの予想通りだと言おうか」

「カロリーナ伯爵家……ですか?」

「ジャンヌも鳩が豆鉄砲を食ったような顔をするな。言っただろう、私だってマリーには遠くに行って欲しくないと」



 隣国フェルナントのカロリーナ伯爵家はパパが個人的に付き合いのある貴族でお父さんの就職先にとこれもパパが準備してくれた場所だ。


 ローレヌの屋敷はこの国の国境付近、そして隣接する国はフェルデナント。しかもフェルデナントの国境付近を領地として治めるてるのはカロリーナ伯爵家だ。


 じゃあパパは最初から……。



「うおおおおおおおおお……、折角十二年ぶりにマリーと再会出来たのにいいいいいいい」

「父上、鼻水が……床まで垂れてますよ?」

「うりゅしゃい!! レオポルトだって大して変わらないだろうが……グズッ!」

「あーあー、まさか父上の性格がここまで変わるなんて私も想定外だったわ」



 パパは私の事を真剣に考えてくれたと分かって胸が張り裂けそうだ。


 そうじゃなかったらあんなに恨んでいたお父さんのいるカロリーナ伯爵家を養子縁組の受け入れ先に選ぶ筈がない。パパは私に抱きついて一晩中泣いてくれた。


 お姉ちゃんはオトメゲームの物語とパパの性格があまりにも変わりすぎて大きくため息を吐いていた。だけど最後には「良かったわね」と笑いかけてくれた。



 私はスラムでホームレスも同然の生活を送っていた。



 その時はどうして自分が生きているかなんて考える余裕も無くて、生きる意味を知ったところで何も変わらないと思っていた。食べ物だった盗まないと手に入らなくて、失敗したらそれまでだと思って生きてきた。


 だから死ぬ事を恐ろしいと思ったこともない。


 死んだって誰かが悲しんでくれる筈もないと思っていた。


 だけどあの時、私がパン屋で万引きを失敗してそこに偶然お姉ちゃんが通りかかって、そこから私の人生は一気に色褪せた気がした。


 私の視界は一気に絵の具がぶち撒けられたキャンパスみたいに色鮮やかに染まっていった。


 上を向けば青い空が広がっていて、吸い込む空気はとても美味しかった。人に必要とされる事が嬉しくて、だから今日も精一杯頑張って明日も一生懸命生きていこうと思えた。



 お姉ちゃんが抱きついてくれるといい匂いがして、とっても温かい。



 それがとても心地よくてまたお姉ちゃんに抱きついて欲しくて、今日を生きてまた抱きつかれたいとワクワクしながらベッドで眠る。そしてまたその日も笑顔で過ごす。


 お姉ちゃんが笑顔を向けてくれるから私は好きだと言って、そうするとお姉ちゃんは私を大好きだと言ってくれる。レオポルトも私を好きだと言って耳元で囁いてくれる。



 それが今の私の日常だ。



 だけどこれから先は私はカロリーナ伯爵家に行くから毎日は会えなくなってしまう。だけどお姉ちゃんと心が通じ合ってるからきっと大丈夫だ。


 レオポルトとは私がカロリーナ伯爵家の屋敷に行けば直ぐにでも婚約をする段取りになっているから、それが終わればまた会える。


 パパは……床に膝を突いて号泣してるけどきっと大丈夫だと思う。……多分だけど。



 この屋敷に来てから私は色んな人たちと出会って大切なものが一気に増えた。何も無かった私にも大切なものがあると気付かせてくれた。



 それも全てお姉ちゃんと出会えたお陰だ。



 私はカロリーナ伯爵家の屋敷に行くまでの間、きっとお姉ちゃんとずっと一緒にいる。離れ離れになってしまう時は既に決まってしまったのだから、一緒にいられる時間を大切にしよう。


 そしていつかまた会える、その時は離れていた時間の分だけ語り合うの。


 その時もお姉ちゃんと肩を寄せ合って抱き合いながらお互いを好きだと確認しあって私はお姉ちゃんが大切な人だと想いに耽る。



「マリー」

「どうしたの、お姉ちゃん?」

「絶対に会いに行くからね。週一くらいで会いに行くわ」

「姉さん、それは流石にカロリーナ伯爵も迷惑なんじゃないか?」

「大丈夫よ、マリーが迷惑だって思わなければいいじゃない」

「……俺が迷惑なんだけどな。婿養子になる予定だし」

「うん、私もお姉ちゃんに会いにくるね」

「うおおおおおおおおおおお……、私は何時でも大歓迎だぞ? 何だったら毎日だって会いに来てもいいからな!?」



 私は悪役令嬢ジャンヌ・ローレヌの妹マリー・アン改めマリー・ローレヌ。この度私は自分から望んで国外へ飛び出す事となりました。


 これが私なりの国外追放、追放とはちょっと違うかな?


 お姉ちゃんが言うにはやっぱり私は悪役令嬢の役割を受け継いでしまったらしい。だけど何時でも帰ってきていいとパパに許可を貰ったから気兼ねなくこの屋敷に帰って来ようと思います。


 そしてレオポルトと結婚して、いつか子供を産んで。


 その時は私の子供にも自慢するの。


 この人が私の大好きなお姉ちゃんだってこの人みたいにニコニコ笑顔で語りたい。この人がいたから私は私でいられたんだって伝えたい。



 だけどそれはまだ遠い未来の話。



 だから今と言う時間を私は大好きなお姉ちゃんと一緒に手を取り合って過ごしていこう思います。



 こうして私はホームレスから悪役令嬢になりました。

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