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七十三話

 コロナド砦に潜入した騎士達は三人しか戻って来なかった。


 オムネ将軍は部下を失った事に悲観するが困難な任務で三人でも戻って来れた事は行幸であろう。


 守将ダービッツの行方は分からなかったが、ケーリッヒの生存確認が出来ただけでも潜入した価値がある。


 そして命を賭してコロナド砦に混乱を起こしていた。


 砦を監視していた王国騎士は爆炎が確認されてから馬で報告の為に急いでいた。


 侵入した騎士達の成否に関わらず報告するのが彼の役割であった。騎士として王国の為に命を捨てる事になった彼等を尊敬している。


 騎士となる前から戦場で命を落とす事は覚悟していたが、ランスカ王国は危うい均衡の上ではあったが、表面上は平和であった。


 突然の侵攻で戸惑ったのは王国上層部だけではなかった。


 矢面に立ち戦う事になるのは国に忠誠を誓った騎士である。


 兵士達も国の為に戦うと言う点では同じだが、農民の次男や三男が食い詰めて生活の為に兵士になるのとは違うのだ。


 騎士は乗馬を許され王国兵を指揮しながら戦うのが役目だ。兵に志願しなくても税が納められずに兵役に就く。


 そんな多くの国民も帝国との戦争に駆り出されて多くは後方支援とはいえ戦場に立っているのだ。


 騎士の多くは貴族の子弟や裕福な商人の次男や三男が多いが農民が出身の者もいる。騎馬に乗った騎士も農民の出身であった。


 報告の為に夜であるのにも関わらず赤い軍装をしている。


 伝統的にランスカ王国では赤は緊急を要する伝令の証であり、邪魔をすれば軍規違反として処罰される。


 男は邪魔されることなくオムネ将軍の下へと辿り着き騎士の礼をとる。


「報告せよ」


 オムネ将軍付き騎士は報告を受ける為に伝令へと命令を下した。王国の危急の状況において戦況を揺るがす大事である。


 負傷した数千の兵を治療し、王国側の最前線となったライン砦は混乱の極みにあったが、ナターシャとマージを始めとした騎士団長も苛立ちを隠す事は出来ていなかったが、自制心を完全には失っていなかった。


「潜入した騎士の安否は不明ですが、武器庫周辺での爆発を確認いたしました」


 通信の魔道具によって直前までの状況を報告した騎士は役目を終えて油断は出来ないが事態が好転していることを感じていた。


 ランスカ王国建国以来の最大の危機に王国騎士で憂いを感じていた。聖人達は未だに戦場に辿り着いていなかった。


 カイトはランスカ王の臣下ではあるが大暴走(スタンピード)対策に追われている。


 エバンスは冒険者を統べる存在であり国民の希望ではあるが、戦場に立つことはないだろう。


 だが、個人として王国最大の戦力である事は否定できない事実であり、慕う者が多いのもまた事実なのだ。あくまでも軍の求心力は国王や将軍にある。


 その場に居合わせたナターシャは部下の無事を知って一安心したが、依然として危険な状態である。


 ナターシャは女性でありながら男社会である騎士を纏める立場にあり、時には大を救う為に小を切り捨てる冷酷な判断をしなくてはならない。


 だが、基本的には部下思いであり、部下もナターシャを慕っていた。一方のマージは部下からの信頼は得ているものの武官というよりは文官であった。


 物資を管理するのがマージの役割である。感情を極力排し、必要な物資を計算し確実に届ける事を得意とした補給幹部である。


「ナターシャ団長。部下の安否を知って安心したのも分かるが、戦場では騎士も兵も消耗品だ」


「マージ団長。今は騎士の在り方について議論している暇はない。侵略者を駆逐する。ただそれだけだ」


 帝国と王国は激戦への第二幕を開く事になる。


 ----


「ステータスオープン」


 Name_ソラ

 Rank_E

 Levle_二十三

 Job_冒険者

 Skill_【殴打:十七】、【気闘術:十五】、【蹴り:十八】、【短剣術:十七】、【投擲:十五】、【投げ:十八】、【土魔法:十四】、【魔闘術:十】、【受け身:十二】、【恐怖耐性:十】、【衝撃耐性:十一】、【打撃耐性:十三】、【毒耐性:七】、【威圧:五】、【解体】、【解読:八】、【気配察知:十二】、【生活魔法】、【物品鑑定:七】、【魔力操作:十三】、【薬草学:八】

 称号_ラビットキラー


 急激なレベルアップによる酔いも醒めソラは戦闘可能な状態まで回復していた。


 先発組の廃人としてはレベルは低い方だろう。ログイン制限ぎりぎりまで頑張っていたが、効率というものを無視してエバンス・リースとの修行をしてきたのだ。


 スモールラビットを飽きることなく狩りゴブリン相手に対人戦の基礎を学んだ。


 聖級のエバンスに武術を学び王級魔導師リースに魔法を学べるのは幸運であるとしか言えずレベルやステータスに現れない経験を積めたことや人との繋がりがソラの財産であると言えた。


 ポートロイヤルでは今も多くの死傷者を出しながら冒険者は戦っていた。


 冒険者の士気は下がりつつあるが、ランスカ王国出身以外の冒険者も招集されており、耐えれば何れは魔物を駆逐できるだろうが、ランスカ王国東部に与える影響は少なくないだろう。


 命令されても戦乱の最中にあるランスカ王国へ移動する事を拒む事は冒険者ギルド統帥ダンデフは理解していた。

 しかし、大暴走(スタンピード)を放置する事は出来ないのだ。バスター資格を持つ冒険者をランスカ王国に派遣することを強行した。


 エバンスがかつて暁に所属していなくてもダンデフはバスター派遣を止め無かっただろう。


 冒険者は基本的には無法者と思われていたが、魔物に対しての盾である事実には変わりはない。


 東部は魔物被害が甚大であり、エバンスが率いて来た事もあって住民の信頼を得ていたが他の地方ではそうではないのだ。


 ポートロイヤルでも冒険者が家を借りるのには制限がある。


 だが街の一員として認められていた。予兆を察知した冒険者ギルドは住民に対して避難警告を行い、それに従ったポートロイヤルの住民は領都で保護されているが古くから住んで居た住民ほど素直に従ったのだ。


 ポートロイヤル冒険者支部では住民の保護を受け入れながらも魔物を討伐していた。鍛冶師・薬師も疲労を押して冒険者のサポートに回っていた。


 刀鍛冶であるナガマサとタイラーもそのうちの一人である。師弟関係を築いた二人は冒険者の武器を打ち直していた。


 砥石で細かい傷を修理する事は出来ても魔物を相手にしていれば目に見えない大きな傷は鍛冶師でなければ直すことは出来ない。


 ナガマサは大和国では有名な鍛冶師ではあるが、刀を専門にしており、剣を鍛えた経験は少ないのだ。だが、修理くらいなら出来る。


 刀も剣も武器を鍛えるのは同じなのだ。だが刀鍛冶の誇りとして鋳造の剣など許せる訳がなく、鉄までなら問題なく鍛えることの出来るタイラーに相槌を任せひたすら修理し続けていた。


「タイラー。相槌が甘いぞ。疲れは言い訳には出来ないぞ。俺達が手を抜けば傷付くのは誰かを護るべき冒険者だ」


 タイラーを責める者はこの場にはいないだろう。ナガマサは長年の経験によって打ち続ける事が出来ているが、鍛冶場は容赦なく体力を奪う。


 他の鍛冶師は鍛造で武器を鍛える事が出来る者は少数であり、鋳造で数を揃えている。


 ナガマサもタイラーも鋳造しか出来ない鍛冶師に思うところがあるが、口に出す事はできなかった。


 武器を供給し続ける鍛冶師が内輪揉めをしている暇はないのだ。それならば、一本でも多くの武器を修繕し供給した方が街の為になるのだ。


 別室にある薬師達は黙々と薬草を磨り潰していた。回復薬(ポーション)の基礎であるグリーンリーフの葉の処理は地味ではあるが手を抜けば回復量が極端に落ちるのだ。


 薬師を目指す者にとっても苦痛ではあるが、師は基本を疎かにするものにポーションの作り方を教えないため薬師であれば誰でも出来るのだ。


 そんな中にソラは放り込まれていた。リースは優秀な治癒師ではあるが、魔力は有限であり、エルフと人種の血を継ぐハーフエルフであった。


 魔力量はエルフの魔導師に比べれば低い。無論、ランスカ王国では宮廷魔法師として勤められるだけの魔力を有していたが、負傷者が多すぎたのだ。


 そしてリースに魔法を学ぶソラは傍らでポーションの作り方を学ぶ事になる。


 葉の処理にはコツがいる。そしてまだポーションを作るだけの知識をリースに認められていなかったソラは葉の下処理に従事していたのだ。


 戦闘には支障があったが、細かい作業とはいえ、葉を処理するのには問題は無かったのだ。


 体力回復薬(ライフポーション)の原料であるグリーンリーフの処理が出来るだけでも必要とされ、未だ魔力回復薬(マナポーション)の原料であるマジックリーフの下処理を任せられる事は無かった。


 全てのチームに治癒師を配置できない以上はポーションが冒険者の生命線になるのだ。手を抜ける訳がない。


 生産職のプレーヤーも都合が合う限りは分業し、ポーションの製造に精を出していた。


「そろそろ体調は回復してきたのではないか」


 薬師や治癒師が現実世界での医師を務めているこの世界において外科手術は地球ほど発達はしていなかったが、患者の体調を管理できて一人前であるとされるのだ。


 師から弟子へと経験は継承され、王級以上の回復薬は秘伝とされている事も多い。


 王などの権力者や高位冒険者にとってはコネさえあれば部位欠損をも回復させてしまう。まさに魔法の薬なのである。


 冒険者の中でも負傷し、製薬の心得がある者は駆り出されており、最下級ポーションであれば経費を浮かす為に製作が出来る者も多い。


 流石に最下級ポーションでは回復量が心許ない為にある程度の収入が得られる様になれば市販されている物を購入するようになるが、講習さえ受ければ習得する事は可能なのだ。


 講習も本来であれば薬師ギルドの利益を損なう物ではあるが、冒険者の生存率の上昇は固定客を生み、冒険者ギルドに出す薬草採取の依頼で品質の良い薬草を手に入れる事が出来るならと商人ギルドが薬師ギルドに圧力をかけて実現した。


 村などでも効能が安定しないポーションを作る事は黙認されているのだ。


 そして冒険者から徴収した講習費の一部を薬師ギルドに納めているために薬師ギルドとしても悪くはない取引となったが、反対する者もいた。教会関係者である。


 純粋に神を信仰している神官にとっては死亡率が下がる事は歓迎できることだったが、金の亡者と成り果てた上級神官にとっては収入が減る事を意味していたからだ。


 教会で治療を受けるのは本当に金のない平民とある程度は金を持っている冒険者と商人である。


 暗黙の了解として最低額の布施は決まっていたが、当然ながら布施の額で治療にあたる治癒師の格が変わるのだ。


 薬師ギルドと冒険者ギルドの繋がりが強くなれば高位冒険者は素材を用意して薬師にポーションの製作を頼む様になるだろう。


 確かに薬師も人であり、腐敗している者もいたが多くは純粋に傷付いた者を治療するために技術を身に付けた者達なのだ。


 教国を迫害されても信念を貫いたセズの遺志を継ぐ者は殆んどいなくなっていたのだ。


 セズの下で学び異端とされた神官達の子孫が今のランスカ王国のオリエンタル教の幹部となっていたが、現実を知ったらセズは嘆き悲しむだろう。


「ええ。大分良くなりました。そろそろ呼び出しがかかる頃だと思います」


 ソラがゴウキと別れてから既に一日近くが経っていたが、まだ帰還していなかったのだ。


 移動を含めてもここまで時間がかかる筈はないのだが、Aランク冒険者が簡単に死ぬ筈がないと誰しもが考えていた。


 王級と確認したのはゴウキのみであり単純に考えても稀少級以下という事は有り得ない。


 今は終息しつつあるが、湧き出たアントの数はクイーンアントの等級に比例し、それを考慮した上で人間がランク付けをしているに過ぎないが今回のアント達の群れはA+ランク相当と判断されていた。


 ソラは戦闘を行う為の身支度を済ませ、対策本部へと顔を出す。


 ギルドでは基本的に依頼の受領・報告以外にギルドカードを使用することは無かったが侵入者騒ぎがあってからはギルドカードによる本人確認を行っていた。


 ギルドカード自体が機密の塊の様な物で複製方法はギルドでも一部の者しか知らない。


 それも複製は出来ても何故、個人認証から始まり、達成した依頼をカードで確認できるかを理解している者は皆無と言って良い。


 大概の者は技能神の恩恵として深く考えようとはしないのだ。


 元々、大した防御力を持たないスモールラビットの革鎧は蟻酸によって表面が溶解していた。


 少なくとも金のない新人冒険者が身に付ける装備であり、更新する必要があったが、下取りは望めないだろう。


 高価な素材を使用していれば買い手もあっただろうが数枚の皮を繋ぎ合わせたものなので仕方がない。


 ソラの稼ぎとなっていたスモールラビットの肉は肉屋や宿屋などの飲食店に皮は防具屋や服飾店にギルドを通して卸されていたのだ。


 基本的に店主はギルドを通じて買取りを行っており、毎日一定数が必要になるために個人との取引は行わないものなのだ。


「やっと来たか」


 マルコはソラが休息をとり、ポーションを作っていた時も戦闘を行っていた。


 Bランクにとってアントは脅威ではなかったが、数が多かった為に疲労の色は隠せていなかった。


 地面から侵入したアントを除いては結界は正常通りに作動しており、領主軍の援軍が駆け付けてからは安定した防衛が出来ていたがそれと住民のストレスは関係なく多少は緩和されているだろう。


 だがまたいつ爆発するか分からない状態がギルド職員・冒険者に負担を強いていた。


 冒険者ギルドを中心に見回りが行われており、住民達も各ギルド支部へと避難している状態だ。


 各ギルドが密集しているのは住民の利便性を考えてのことであり、殆んどの街が同じ様な造りをしている。


 西へ避難した住民の代わりに少数ではあるが周囲にある村人を受け入れている。


 彼等は用があるときのみポートロイヤルを訪れる為に顔見知りはいても親族など頼りに出来る人がおらず不安を感じていた。


 助け合わねばこの危機を乗り越える事は出来ないと誰もが感じていたが、やはり見知らぬ他人より家族・友人を優先してしまい孤立し始めていた。


 タガもそんな村人の一人だったが、彼は元王国騎士であり、現在の立場はアーウェン騎士爵の従士であった。


 クルト村で必要な物資の買い出しに来て巻き込まれた。タガは上級剣士として近衛騎士の一人だったが、騎士爵の次男であり貴族ではあるものの領地を持たず貴族年金で細々と生活していた。


 カイトに嫉妬した上級貴族とは違い純粋にカイトの剣技に惚れカイトが村を興すとなった時には王国騎士を辞めてついて行った変わり者でもある。


 タガはポートロイヤルの状況よりクルト村の方を心配していた。


 魔物に襲われれば周囲の人間を護りながら戦う事もやぶさかでは無かったが、あくまでの自己防衛の為であり、襲われているのがクルト村の住民でも無い限りは命懸けで戦う事はないだろう。


 ここは同じ王国内とはいえ他領である。クライン伯がカイトに対して不義をするとは思わないが周囲がそうであるとは言い切れないのだ。


 無論、王国騎士を辞めた後に冒険者登録を行っていたが、狩った魔物を換金するために必要なだけであって依頼を達成した訳では無かったので、強制徴集されるほどランクは高くなくギルド側も事情を察して要請を行っていなかった。


 対策本部に辿り着くまでにソラはタガを見かけていた。ベータテスト時と全ての大地人(NPC)が一緒とは限らないが一ヶ月余りプレイをしていてベータ時の場所にそのまま配置されている事が多いと実感していた。


 そうであればタガはかなりの戦力になるはずである。上級剣士は冒険者で言えばBランク以上であり、命の危険の少ない職人でも上級職まで成るのは困難であるとされていたからだ。


 タガはソラの事を数いる中の一人としか思っていないだろう。アリシアと話した時もベータ時代の事を覚えている節は無かったのだ。


 ソラは何らかの事情があるのだと察したが、新規加入組は不満を持っている様だった。


 一陣に比べれば確かにレベルアップが早いのは事実であったが、出てくる魔物がスモールラビットからミディアムラビット・スモールアントに変わってからは戦闘による経験値も功績値も入っていないのだ。


 生産職は特に悲惨でわざわざ丁寧に教える時間もなければ素材もない状態で放置状態となり、避難してきた住民と冒険者ギルドに留まった者はまだ幸運な方だ。


 冒険者達が仮のギルド証を発行され装備も貸与されているのとは違いギルドからの援助を受けることすらままならない状態でポートロイヤルの外に出て魔物の餌食となっている。


「ああ。戦闘の準備は終わっているよ。どの門の防衛に就けば良い?」


「現状は東門で待機だ。ゴウキの件もある。何れは捜索隊を出さなければならないがそれも今は難しい」


 ソラは交代の人員と固まって東門を目指した。東門の指揮はリクに任せきりとなってしまい、途中マルコが交代した。


 防衛にあたっている冒険者達は満足な休憩が取れているとは言い難いが、他の冒険者に守られたギルドで休息を取れているだけまだましだと言えた。


 各門の防衛結界を張る魔道具は今だ稼働できる状態であったが、使用できる魔石の規格が決まっている為に日中は極力、張らない様にとギルドの方針で決定されていた。


 魔石代をけちっているのではなく、夜間は魔物の独壇場となり、防衛側の全てが夜目が効く訳ではない。


 獣人やエルフなどの亜人が配備される様に配慮されていたが、篝火を焚くなどして視界を確保しながら異変に備えなくてはならず夜の方が防衛に対する危険度が高いためである。


 エルフの使い手が張る結界は人避けがメインであり、幾ら魔法保有量が多いエルフであっても四六時中ものあいだ維持できるほどの実力者は少数で交代しているのである。


 地上は魔物が多く門の外で接近戦を行うのは自殺行為である。弓と魔法・魔砲による攻撃がメインとなっており、手の空いた者は土魔法師が作る石や岩を投げている。


 水魔法師が溜め、火魔法師が沸騰させた湯を地面にいる魔物へと撒いていた。その為に普段は日陰者扱いされがちな土魔法師が活躍している。


 魔法の特性として無から創り出すよりもその場にある物を活用した方が魔力の消費を抑えられるためである。


 地脈を探し水脈を見つけるのには経験がいるが石や岩を創り出すにはクレイクリエイトの魔法があれば良いからだ。


 熟練者と初心者ではそれでも差は出るが防衛に使用できる手段は多い方が良い。


 ソラも東門に着いたら直ぐに作業にあたる様にマルコに指示をされた為に地面の土を使用して石を創り出す作業に入った。


 東門が突破された事を考えて門の内側に堀を作っていた。高さがあれば魔物とは言えど無傷では済まない可能性が高くなる。


 退路の確保をするために指示しているのは冒険者ギルドの専属魔法師であり、普段は魔法師ギルドとの折衝や冒険者に講習で魔法を教えている人物だ。


 魔法を覚える為にギルドに講習代を支払える冒険者は少なく活躍する機会が少ない為に張り切っているのが分かる。


 ソラの講習代はクライン伯ジョセフが支払っており本人の希望により、リースに師事することになったが、治癒師に師事するのは通常の攻性魔法を教わるのより金がかかるが貴族にとっては端金であるのは事実なのだ。


 ソラはリースに魔法を教えて貰えるのはエバンスに武術を習っているからだと勘違いしており、周囲も訂正していなかったのだ。


 同規格の石を創るのは困難な事ではあったがこれも修行だと思いソラは黙々と作業に没頭するのであった。 

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