沈殿する希望
「そこまでです」
リゼリア達がリーゼットの目覚めを待ち続けていると、長槍を構え、顔を隠し風体の掴めぬ人物がふらりと現れた。
「誰だ!?」
「ギルド中央本部のヴィ・ダーダと申します。同胞からはヴィダと呼ばれております」
「あ、エルです。宜しく」
ヴィダが礼儀正しく深いお辞儀をすると、エルも釣られてペコリとお辞儀を返した。
「さて、其方の人物は我々がマークしていた危険人物です。詳しくは申せませんが、他のダンジョンより復活させた守護神を護衛に付け、暴挙を働いていたのであります。つきましては其方の人物を引き渡して頂きたい」
「……だとさ。どうする?」
エルがリゼリアに意見を求めた。リゼリアがフユハとマニエルを見ると、コクンと無言で頷きリゼリアに一任した。
「分かりました。しかし、その人は私達の仲間を一人あの中に閉じ込めました。それを助けてからではダメでしょうか?」
リゼリアの答えに、ヴィダは深く頷いた。
「あの魔鉱石の中に? 分かりました。其方についても我々が責任を持って救出致します。後は我々にお任せ下さい」
槍を地面にトンと下ろすと、リゼリアは安堵し胸をなで下ろした。しかし、エルの表情はもう一声と言った感じであった。
「魔鉱石はどうすんだ? 俺達のモンか?」
エルが天井を指差して物申した。フェリーも深く頷いた。
「はい。後程二つとも魔鉱石を差し上げますのでお任せを」
「そうか分かった」
エルがクルリと踵を返し、通路へ向かおうと隅に集まっていたリゼリア達に近づき、そして肩を叩いた。
「コイツは黒だ。この場でやるぞ」
「──!!」
「!?」
「……?」
戸惑うリゼリア、驚くフユハ、そしてイマイチピンと来てないマニエル。そしてフェリーは瞬く間に姿をくらまし、既に戦闘態勢に入っていた。
「どうしました? 後は我々ギルドにお任せを……」
しかし当のヴィダもその手に握る槍に力が入りつつあり、目付きが強張りつつあった。
「おい、俺達がいつ魔鉱石が二つあるって言ったんだ?」
「…………」
それを聞いたリゼリアはハッとし、杖を握り身構えた。
「隠れて盗み聞き? ならばこの場でチビを助け出しても構わない筈さ。それを追い出すって事は、コイツの狙いは魔鉱石だ!!」
フェリーが死角から襲いかかった! ヴィダはそれを間一髪で躱すが、口元を覆っていたマスクがぽとりと地面に落ち、醜悪な笑みが露わになった。
「私としたことが、口が滑りましたか……いやいや、これはしくじりましたねぇ」
──パチンッ!
ヴィダが指を鳴らすと、陰からギルドから派遣された強者達が姿を現した。
「このまま手を引きそうに見えませんので、調査妨害として始末させて頂きますよ?」
ヴィダの槍が鋭く鈍い光を放った。




