飛翔する悪翼
最終章です。宜しくお願い致します。
下層の魔力が色濃い地域から、ドクドクと脈打つようにフランシスの中にある魔鉱石へ次々と膨大な魔力が注がれてゆく。物も言えず、ただただ自らの異変を受け入れるしかないその悲劇に、フランシスの心は次第に限界を迎えそうになっていた。
「時は来た!! さあ! この暗黒のステージより飛翔せよ!!」
リーゼットがスリットから禁呪が綴られたリースの手記を取り出した。頁をめくり、指先でなぞりながら呪文を詠唱してゆく。
「待って!!」
暗雲を切り裂く光の束のような意思のある声がした。リーゼットが詠唱を止め顔を向けると、そこにはリゼリア達の姿があった!
「ほう……よくここまで無事でこれたねぇ? 褒めてやるよ」
「途中で魔力溜まりを見つけてな。一か八かで下へ飛んだら、知らねぇ奴らが死にかけてて、助けたらココを教えてくれたよ」
「チッ……まだ生きてたか。運の良い奴らだ」
リーゼットがスリットから動物の脊椎にも似た禍々しい杖を取り出した。
「その分だと、ウエスキンをのしたのかい?」
「ああ……アイツなら死んだよ」
「……そうか。守護神も大したことなかったか」
「それよりも! フランシスは何処なの!?」
エルとリーゼットの会話に、焦るリゼリアが割り込んだ。リーゼットは静かに天井と壁の角を指差した。
「魔鉱石だ!」
「フランシスは……!? まさか……!!」
「そう。アレの中さ」
一同が引きつった顔をしたが、直ぐにリゼリアが打開策を閃いた。
「ココへ来た時みたいに、転移でフランシスを取り出せないかな!?」
「ああ、それは出来るが……」
歯切れ悪く、エルがリーゼットの顔を見た。
「それをタダでやらせるほど、コイツはそう甘くないだろう。俺の勘だが、チビの中にはもう一つ魔鉱石が眠っている。それの場所が判らねぇと、魔鉱石だけ残されて、肉体と同化した部分が穴開きになっちまう……」
エルの推理を聞いたリーゼットは、したたかに笑い声をあげた。
「いやぁ、流石流石……その通りだ」
「そして、魔鉱石の場所を知っているのは、転移させたコイツだけだ……」
「うんうん。その通りさ」
「だから──」
「──殺るしかないねぇ」
凶悪なドス黒い憎悪のオーラがリーゼットを包む。リゼリアはそれに怯むこと無く身構えた。その目にはフランシス奪還の意思が強く表れており、フユハも、そしてマニエルもそれに呼応した!!
「消失するつもりで来な!!!!」
リーゼットの声がダンジョンに木霊した。




