エルとフェリーとウエスキン
「雷撃──!!」
熱による呪文がいまいち効いていないと見たエルは、電撃による攻勢を試みた。
「雷撃!!」
「雷撃!!」
「雷撃!!」
二擊目、三擊目と電撃呪文をお見舞いするが、無反応。寧ろ心地良い位の涼しい顔で受けている。
「おいおい!?!? どうなってんだコイツは!!!!」
困惑するエルを見たフェリーは、素早い飛行で瞬く間にウエスキンの視界から消え失せ、奇襲の隙を窺った。
「フン……所詮はその程度か……」
ウエスキンが大きく息を吸い込み、拳に力を溜め始めた。そして距離が離れたエルに向かって強く拳を突き出し、オズワルドに放ったのと同じ真空波を作り出した!
「今だ!」
突き放たれた拳から真空波が現れ、地面を剔りながらエルに向かって強く突き進む。フェリーは拳を突き出した瞬間を狙い、ウエスキンの首程あろう太さの腕に向かって、小刀を振るったが火花が出るだけで傷一つしか付かなかった。
「おわっと!!」
真空波を躱すエル。真空波は壁へとぶつかると、酷く岩を砕き、ガラガラっと地面に複数の岩辺が落ちた。
「ったく危ねぇな……おちおち倒れてらんねぇじゃねぇか…………」
その時、オズワルドとアイシアがウエスキンを囲むように現れ加勢に入った。服はボロボロになっていたが、傷は一つ残らず癒えており、戦う前の気合が戻っていた。
「お前等……!」
「あっちの嬢ちゃんに治してもらったよ。癪だがアイツを倒すのに手を貸せ。囮くらいにはなるだろうよ」
「んだと!?」
「局長、お戯れの場合では御座いません。これだけの猛者が容易く死せる戦場で残された余裕など無いのですから」
「てな訳だ……今回だけだぞ」
「……チッ! そっちのデカ乳秘書に免じて許してやらぁ!」
「どうやら同じ穴のムジナとやらでしたか……」
「アイシアさん。それは言わんで宜しい」
二人がウエスキンの方を向き、構えに入る。しかし当のウエスキンは少し退屈そうな顔をしていた…………。




