リゼリアとマニエルとフェルールとウエスキン
「──?」
リゼリア一行は高い天井に鍾乳洞が連なる広間へと出た。壁際には魔物の死体が散乱しており、地面は酷く荒れ、砂埃が視界を悪くしていた。
「──誰かいるぞ!」
フェルールが耳を澄ませ砂埃のカーテンの向こう側を指差した。目凝らしてよく見ると、そこには巨大な人影立ち尽くしており、地面には三人の人影が倒れていた。
「……む、次が来たか。少し待て、今トドメを刺す」
砂埃のカーテンが薄くなり、隙間からウエスキンが姿を現した。オズワルドの首根っこを軽々と持ち上げ、その体よりも高く持ち上げた。
「フンッ!!」
──グシャァァ!!
「!?」
「ヒエッ!」
「…………」
巨大な虫が落ちて潰れるような残酷音が広間に広がった…………。
リゼリアは口を押さえ、マニエルは目を覆い、フェルールは静かに矢を抜いた。
「……きょ、局長…………」
地に伏した一人、アイシアの手が虚無へと伸びた。既に意識は希薄。闘志は尽き、命乞いも辞さない状態であった。
──ボゴッッ!!
ウエスキンが無言でアイシアを蹴り飛ばし、体は巨大な布玉
のように無抵抗に転がり壁に激突した。
「逃げるぞ」
フェルールが静かに合図をした。リゼリアとマニエルもそれに同意するように静かに、軽く頷いた。
「う、う……」
最後の一人、メイデアの呻き声が聞こえた。
「お姉ちゃん!!」
──ダッ!
「マニエルどこ行くの!?」
「おい!」
二人の制止も聞かず、マニエルは姉の下へと走り出した!
「お姉ちゃん!? お姉ちゃん!!」
両腕をへし折られ、詠唱も出来ぬほどに痛めつけられたメイデアはそのまま意識を失った。マニエルはメイデアの前に立ち塞がり、怯えた表情でウエスキンと対峙した。
「お、お願いします……これ以上は……!!」
「おいおい、なんだ? 何でそんな格好なのかは知らないがテレビそこにいる以上は覚悟しろ」
ウエスキンが構えを見せた。
──キンッ!
マニエルが咄嗟にフライパンでガードの構えを見せた時、ウエスキンの背中を何かがひっかいた。
「マニエル早く逃げて!!」
「嫌っ!! お姉ちゃんがっ!!」
ポケットに仕込んでいた毒のバタフライナイフは、ウエスキンの背中に傷一つ付けられず、リゼリアは駆けるフェルールに目配せをした。
「死せよ!!」
ウエスキンの拳は真っ直ぐにマニエルへと向いていた。
フェルールが倒れるメイデアを拾い上げ、素早い身のこなしで駆け続けた。そしてリゼリアはマニエルの体へと体当たりをし、マニエルを押し出した…………
「──グッ……!」
声にならぬ音が、リゼリアの口から漏れた。
次に肉が裂け、骨が砕ける音が鳴った。
最後に、マニエルの悲鳴が轟いた。
「いやーーーー!!!! リゼリアーーーー!!!!」
押されたマニエルが倒れ込む刹那に見たものは、腹部を拳で貫かれるリゼリアであった……。
「ダメだ!! このままでは全滅する!! 逃げろ!!」
フェルールが広間から通路へと逃げだそうとした。そして──
──ドンッ……
「おっと!」
広間へ到着したエルとぶつかった…………。




