↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

90/104

リゼリアとマニエルとフェルール②

「──ヒッ!?」


 入口から慎重に歩を進めたリゼリア。しかし岩陰から伸びる影と目が合い、悲鳴が僅かに漏れた。


「何あれ!? 何あれ!?」


「分かりません!」


「気を付けろ……きっとヤバい奴だ」


 フェルールが矢を抜いた。


「影を縫う──!!」


 ──シュババッ!!


 立て続けに矢を放ち、リゼリアに襲い掛かろうと口を開けた影の口に矢が刺さる。矢は壁に突き刺さり、影はその動きを止めて微動だに出来なくなった。


「フェルールさんナイスです!」


「一気に駆けろ! 近付く奴は全て縫い付ける!!」


 あまりの数に突破を決めた三人。二人の後ろからフェルールが矢で援護する。影の住み家を抜けた三人は、三叉路へと出た。


「どっちなの……!?」


 戸惑うリゼリアの後ろで、フェルールが鼻を鳴らした。そして少し考える素振りを見せ、静かに右を指差した。


「こっちだ」


 フェルールが先陣を切る。足音を殺し、静かに狂気に歪む地面を駆けたが、岩陰から重装備に身を包んだ首無しの武者と、ゾンビ顔の侍が現れると、後ろに飛び跳ねて、矢を抜いて弓を構えた。


「アンデッドだ! あらゆる可能性に備えるんだ!」


「どどど、どうしましょう!?」


 マニエルがフライパンを両手に握りしめ、プルプルと震えだした。そして親指に当たる不思議な感触、それは小さなボタンだった。


「……?」


 マニエルがボタンを押すと、フライパンの底から弧を描いた刃が二つ飛び出し、ミキサーのようにフライパンの上部で勢い良く回り出した。


「ワワッ!?」


 驚くマニエルにお構いなしの武者が、得物である折れた刀を振り上げ、マニエルに向かって斬りかかった!


「キャーッ!!」


 マニエルが咄嗟に両手を突き出すと、フライパンから飛び出した刃が武者の重装備ごと引き裂き、上半身を激しくミンチにした!


「キャーッ!! キャーッ!!」


 突如目の前にミンチになる武者に驚くマニエル。武者は崩れ落ち泡となり消え失せたが、今度は侍が袈裟斬りを仕掛けた!


「行けっ!」


 ──シュッ!!


 フェルールが放った矢が侍の胴を貫いたが、侍の動きが鈍らなかった。


「リゼリア!!」


「イヤーッ!!」


 ──コインッ


 マニエルがフライパンを振り回すと、軽い音がした。フライパンが当たった侍は突如動きが止まり、まるで眠るように倒れ、静かな寝息を立て始めた。


「……あれ?」


 不思議そうにゾンビ顔の侍を突くマニエルは、フライパンのボタンをじっと見つめた。


「どうする? 今のうちにミンチに……する?」


「いや、そーっと抜けよう」


「マニエル……アンタ意外に過激なのね……」


 リゼリアがそーっとゾンビ侍の隣を通り過ぎる最中、その寝顔はまさにやすらかな顔であった。


(やすらぎ付与25%って……これ?)


 その実、25%の確率で睡眠へ誘うマニエルのフライパンは、軽くて堅くてその上回転刃が付いており、武器としてはリーチは短いものの、使い勝手はとても良く、見た目も普通のフライパンであったが為に、マニエルはとても良く気に入った様子であった。


 そして、フライパンの取っ手には*家事ナート*と印が彫られてた…………。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 家事ナート製造なら、販売はボ……いや、何でも無いですよ? 気のせい気のせい。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。