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夜通し走り続けた列車が辿り着いた先は、大きな工業地帯の一角『ヌチェリーヌ』と呼ばれる錦糸業が盛んな地域だった。
初めて見る織物が建ち並ぶ買い物街道を、楽しげに歩くフランシスとリゼリア。ダンジョンとは無関係なごく普通の一般用品の店はとても新鮮で、二人は時を忘れて買い物を楽しんだ。
海が近く、新鮮な魚が跳ね回る市場を歩き、初めて遭遇する生き物に、心を躍らせた。
そして二人は寂れた坑穴へと足を向けた。
「うわ……お墓だらけ…………」
かつて坑道として使われていた道は無縁墓で埋め尽くされ、入口付近は人が歩く場所以外墓の跡。そして奥へと進むと徐々に墓の数が減っていき、真面に歩くスペースが広がり、別な不気味さが漂い始めた。
──ゾモ……
なにやらゆっくりと何かが擦れる音がした。
埋葬以降、到底人の手が触れたとは思えない寂れた墓石に、裏側から人の手が伸びる。
「──ヒッ!」
リゼリアは思わず後退りをした。そして包帯に巻かれた死体が独りでに動き出すと、二人は絶叫を上げて奥へと逃げ出した。
「なにあれ!? なにあれ!?」
「きっとゾンビかフランケンかマミー的なアンデッドよ!!」
「ひえー! お助けー!!」
リゼリアが振り向くと、ゆっくりと後を追い掛けてくる包帯巻きが居た。
「ヤバいわ! ココで始末しないと増えるかもよ!?」
リゼリアが立ち止まり、包帯巻きに向かってバタフライナイフを取り出した。
包帯巻きは動きが遅く、リゼリアは横から回り込み、背中を思い切り切りつけた!
「──どう!?」
しかし、包帯巻きはゆっくりと振り返り、リゼリアの方を向くと、あの足を進めたのだった。
「あれ!? 効いてない!!」
「もう死んでるから効かないんじゃないの!?」
「マジで!?」
リゼリアはバタフライナイフをしまい、その辺の墓石に添えてあった木で出来た十字架を手にした。
「うりゃあ!!」
──ゴキッ……
十字架を振り回すと、包帯巻きの首から妙に鈍い音がして、その首が270°回転した。
「気持ち悪い気持ち悪い!!」
──グチャァ……
もう一度振り回すと首がもげ、頭部は僅かな皮膚でぶら下がった状態になった。
「★↑@※㌍!?!?」
最早言葉にならないリゼリア。がむしゃらに十字架を振り廻し、滅多打ちにしてようやくその動きが止まると、バチが当たらぬようにお墓に手を合わせ、奥へと向かった。




