↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

64/104

7-2

 フユハが戦利品をテーブルに広げると、フランシスが我先にと食いついた。


「コレ! コレ頂戴!!」


 いかにもクセのある魔女が被っていそうな先の尖った帽子を被り、フランシスは上機嫌でポーズを決めた。


「あの……それ……呪われてます」


「──ふぁっ!?」


 慌てて帽子を引っ張るが、まるで頭皮に張り付いたかの如く、外れる気配が無い。


「えっ!? ちょっと! マジ!? マジなの!?」


 リゼリアとマニエルが帽子の先を掴んで引っ張る。


「いでででで!! もげる!! もげるー!!!!」


 二人が手を離すとフランシスは椅子に勢い良く飛び、そのまま地面に落ちた。


「ちょっとフユハ! なんとかしなさいよ!!」


「呪いは直ぐに解けますが、その代わりその帽子は消滅します」


「ちょいタンマ!!」


 フランシスは席を立ち、そのまま歩き始めた。


「ちょっとコレ被ったまま散歩してくる。そしたら呪いを解いてちょ」


 フランシスが大通りを歩いていると、エルとすれ違った。


「おろ? そんな物被ってるから気が付かなかったが、ちんちくりんじゃねーか」


「誰がちんちくりんよ! やかましいわね!!」


「そう怒るな。それより、それって『呪術師の帽子』じゃねーか?」


「良く分からないまま被ったんだけど、呪いがあるなんて知ってたら被らなかったよ!!」


「まあ、気持ちはわかるよ。見た目だけは格好良いからな、それ」


「で、この帽子は使えるの? 使えないの?」


「【呪文ダメージ二倍】の優秀な装備品だ…………【被呪文ダメージ三倍】のおまけ付きだけどな!」


「──なっ!!」


「もやしっ子には下級呪文すら即死級に早変わりだ! お互いにな!!」


「アホー!!」


 ──バチーン!!


「いでぇ!!」


 往来で平手打ちを受けたエルは目を見開いて頬を押さえた。しかし既にフランシスは走り去っており、エルはやり場のない怒りをぶつける先が見付からなかった。



 フユハの戦利品の披露が終わり、それぞれが帰路に着く。フユハは戦利品を換金するために武具屋へと向かった。


「全部で1735G、おまけで1800Gにしとくよ」


「ありがとうございます」


 フユハは店を後にし、家へと向かった。


 家の前に着くと、玄関先で小さな紐状の物体を見付けた。


「──!」


 それは死んだ小さな蛇だった。頭が潰されており、口からは舌が飛び出ている。


「可哀相に……」


 その小さな蛇を手に包むと、まだ微かに温かく、血も乾いておらず、どうやら息絶えて間もない様子であった。


「…………」


 フユハは一瞬の躊躇いを持ちつつも、その右手を蛇の頭へと乗せた。



 祈りを捧げるフユハ。それは天に召された蛇の魂へと問い掛ける祈りだ。


 囁くように言葉を紡ぐフユハ。それは詠唱前の清めの言葉である。


 詠唱を始めるフユハ。魂の帰還と肉体の復活を遂げるための呪文だ。


 そしてフユハは強く念じた!! 死した者の帰還を願う、最後の仕上げである。



「……」


「…………だめ……?」



 ──カサッ


「──!!」


 フユハの手の中で蛇が動いた。


 見に手を外すと、そこには舌をチロチロと出し入れして頭を元気に動かす蛇が居た。


「良かったぁ……!」


 フユハは胸を撫で下ろし、そっと蛇を逃がしてあげた。蛇が茂みへと入ると小さく手を振り、家の中へと入っていった。





「──ふふ、おかえり。どうだった? 死に心地は……」

 

 茂みの向こう。チャイナドレスの女が小さな蛇を摘まみながら語りかけた。


「まさか蘇生呪文が使えるほどに成長するなんてねぇ……クククク」


 小さな蛇はチャイナドレスのスリットへと潜り込み、チャイナドレスの女はそのまま消えるように居なくなった…………。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] いろいろな思惑が渦巻いているような。
[一言] フユハ……! 遂に……!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。