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7-3

 マニエルは一人ダンジョンの地下二階へと来ていた。


 テニスウェアにスカート。そしてラケット。頭には御丁寧にサンバイザーまで着いている。


「…………恥ずかしいな」


 散々バニーガールの格好をしといて今更な感じではあるが、彼女は彼女なりに恥ずかしさを感じているようだ。


 その異様な出で立ちと一人きりの状況を逃す魔物は居らず、マニエルはあっという間に魔物達に囲まれてしまった。


「……やだ、怖い」


 前には大型の吸血コウモリ、後ろには闇には潜むブッシュワーカーが居た。


 しかし、何の策略も無しに単騎で挑む命知らずではない。当然それなりの保証の下に地下へと赴いていた。




 それは武具屋でのやりとりであった。


 酔っ払ったエルとフェリーが、何やら口論を始め、それに武具屋のオヤジまでもが巻き込まれていた。


「ぷに子ちゃんは、ぜっっっったいコッチのナース服が似合うって!!」


「けど、コッチのカーニバル衣装の方がぜっっっっっっったい素敵だよ!!」


「あ、あのー……」


 マニエルはいきなり呼び出された挙げ句、この様である。訳が分からず口も出せず、着せ替え人形のように固まるしか無かった。


「いや、俺はこのテニスシリーズを推すぜ。コイツは装備の効果も抜群だ。地下三階くらいなら、お嬢ちゃん一人でも余裕で行けるぜ!」


「おいおい、バカ言うなよオヤジ! 俺のぷに子ちゃんにそんな危険な事させられるかよ!!」


 エルが激しくオヤジに詰め寄るが、ドワーフのオヤジが指先で軽くエルのおでこを押すと、細身のエルはよたよたと後ろへと下がってしまった。


「ぷに子ちゃん! 好きなの買ってやるから選んでくれ!!」


「──えっ!?」


 買ってやる。その言葉でマニエルの理性は即死した。


「俺のは【即死無効】【物理30%オフ】【闇属性半減】【お色気70%アップ】のお色気ナース服!!」


「オイラのは【炎属性無効】【状態異常半減】【AGI2アップ】【テンション100%アップ】のアゲアゲカーニバル衣装さ!!」


「……【初撃ダメージ無効化】【サービスエース】」


「……サービスエース?」


「サーブで相手にボールを当てると気絶する」


「これにします」


 マニエルはオヤジの出したテニスウェア一式を手に取り、試着室へと入った。


 エルがガックシと肩を落とし、オヤジは無言で小さくガッツポーズを決めた。


 そして着替えを終えたマニエルが試着室から出て来ると、一同は「おおーっ!」と、歓喜の声を上げた。


「じゃ、早速試してきますね?」


「一応オイラも着いていくよ」


「お、俺も……!」


 ──ガッ!


 駆け出そうとしたエルの肩をオヤジがしっかりと掴む。


「なんだよオヤジ! 気になるならお前も来いよ!」


「……7500G」


「──は!? 何だよツケとけよ! 今はぷに子ちゃんのスカートの中を激写するのが先だろ!!」


「7500G……!!」


 ギリ、ギリ、とエルの肩にオヤジの指が強く食い込んだ。細身のエルの骨を砕くことは、屈強なドワーフのオヤジにとって朝飯前の行為である。


「分かった分かった!! 折れる折れる折れる折れる!!」


「エルは家から持ってきた古臭い装備品をゴロリと放り投げ、

武具屋から走り去った」


「…………足りねぇ!!」


 オヤジが店を飛び出すが、ドワーフの鈍足では幾ら走っても追い着く筈も無く、息を切らし店へと戻った。



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― 新着の感想 ―
[一言] サービスエースwww マニエルは装備品で強くなっていくタイプなんですねw
[一言] えーと、何かの風俗っぽくもあります。
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