↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

63/104

束の間の茶会 ~リゼリアの記憶~

 彼女が生まれた時、皆が嬉しそうな顔をしていた。


「あのじゃじゃ馬が娘を産むなんてねぇ……」


 生まれたばかりのしわくちゃの手を、シスターリースが指で軽く弾いた。


「…………けど、やっぱり親に似て魔力の波動を感じねぇな」


 生まれるまで起きていたのか、目の下に見事なクマを作ったエルフが無精髭を撫でて言った。


「手を見ても魔力線が見事に無い。こりゃ脳筋確定だな」


 しわくちゃの掌をこねくり回し、無精髭は大きく欠伸をした。


「でも魔道士たる特徴的なつむじもあるから、オイラは案外期待できると思うな」


「おいおい、エルフ族に伝わる手相占いをコケにするってのかい?」


「君こそ、妖精族に伝わるつむじ占いを馬鹿にするってのかい?」


「はいはいケンカしないケンカしない。二人とも石にして放り出すからね?」


「オイラが悪かった」

「俺が悪かった」


 大人しくなった二人をケラケラと笑い、シスターリースはしわくちゃの赤子をジッと見つめた。


「どっちに進んでも良いように、残せるものは遺して行かないと……ね」




 ──しわくちゃが大きくなると、シスターリースは歩くことすら少なくなった。椅子に揺られ、ひたすらにノートに何かを書いている事が多くなった。


「おばあちゃん……」


「ん? なんだい?」


「何を書いているの?」


「愚痴……かな?」


「?」


「いいかいリゼリア。私が死んだらあの二人を頼んだよ。飲んだくれのだらしない二人だから、しっかり見張っていておくれよ?」


「分かった♪」


 酔い潰れ、暖炉の前で大の字になって寝ているエルフとフェアリーを横目に、シスターリースは夜遅くまでノートに何かを綴り続けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] おばあちゃん……(ブワッ)。
[一言] 子どもの頃の思い出話ですねー。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。