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7-1

覚醒の7章スタートです!

 オズワルドはダンジョンに気晴らし……いや、憂さ晴らしに来ていた。


「しっくり来ねぇなぁ……」


 束ねられた魔獣ヘルハウンドの亡骸を蹴飛ばすと、シャツを肩に掛ける。アイシアがギルドの中央へと向かった隙に、羽を伸ばしていたのだった。


「お待たせ致しました」


「のわぁぁっっ!!!!」


 深淵のダンジョンに、オズワルドの情けない悲鳴が響き渡った。


「局長室にいらっしゃらなかったので、ココかと……」


 アイシアが冷静に一枚の書類をオズワルドに差し出した。


「いやいやいやいや! アイシアさん中央へ向かわれたんじゃ!?」


「ええ、行きました。そして彼女について調べました」


(おかしいな、そんなあっという間に済む距離と時間じゃ無いはずなんだが!?)


 手渡された書類は記入欄こそ在れど、肝心の中身については何も記載されていなかった。


「これは……どう言うことだ?」


「ギルドへと登録された探索者のデータは、5年毎に全てギルド中央へと送られ、全てがデータ化されます。そしてダンジョンへ潜るにはギルド登録が必須です」


「……どゆこと?」


「つまり、彼女のデータについては5年以内に抹消された可能性が高いです」


「おいおい、そんな事が出来るのか?」


 ダンジョンのど真ん中で、オズワルドが頭を傾げた。


「犯行に及ばずとも、可能です。彼女が【最果て】の出身であれば……」


「……最果てだと…………!?」



 ──遥か昔、大陸の果てに一つの街が存在した。街の中央にはダンジョンがあり、人々はダンジョンと共に繁栄してきた。


 その街のダンジョンは大規模かつ広大で、変動期も一際派手で魔物も恐ろしく強かった。


 ある変動期に差し掛かった頃、人々はダンジョンの探索を自粛しながら、いつも通り平穏な日々を送っていた。しかし、その変動期は唯ならぬ速度で規模を広げていた。


 震源地となる魔鉱石は唯ならぬ大きさへと成長し、やがて通路を塞ぐ巨大な岩となった時、街はヒビ割れた魔鉱石から溢れ出した魔力の爆発に飲まれ全てが消えた…………



「最果ての生き残りが居るなんて聞いたことないぞ」


「ええ、私もデータ上では生存者無しとしか……」


「つまり、奴の存在自体が不可思議と言うことか」


「あまり深入りしないようお願い致します」


「あー……約束は出来ないが良いか?」


「約束して下さい。善処して下さい。最善を尽くして下さい」


「オーケーオーケー、分かった分かった……」


 オズワルドは面倒くさそうに適当に返事をした。そしてスッと腰を落として身構えた。


「で、途中からそこで盗み聞きしてる奴は、アイシアのお土産かい?」


「えっ?」


 オズワルドが壁の向こう側へと殺気を放つが、反応は無く、オズワルドは構えを解いて頭を掻いた。


「チッ……気のせいか?」




「案外探りの早い奴等だ……あまり悠長には出来そうもないな」


 暗がりのダンジョンの片隅で、チャイナドレスがヒラヒラと揺れていた。

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― 新着の感想 ―
[一言] アイシアさん、凄すぎでしょう。
[一言] 最果ての生き残り……!? これまた気になる設定が!
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