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洞窟はひたすらに緩やかな下り坂になっていた。分かれ道や三叉路等もあったが、まるで巨大な迷路のような形になっていたのだった。
地下三階相当の深さまで歩いたにも拘わらず、マグネとカルシの足取りは怯むこと無く、ひたすらに前を歩み続ける。
ふと、奥に見えた玄室から不思議な音が聞こえてきた。中からは粘性の物体が剥がれる音と、硬い何かがぶつかるような音が重なり、二重三重に響いていた。
マグネとカルシが同時に玄室の魔物へと襲い掛かった!
「うりゃあ!!」
「それぇっ!!」
スライムを貪る巨大なカマキリが二匹、玄室の片隅で食事をしていた!
二人の剣がカマキリの体を切り裂く。マグネが剣を振り切ると、カマキリは口を細かく動かしながら倒れ、死に果てた。
一方、カルシはカマキリの体へ剣を振り切るだけの力が僅かに足りず、カルシの剣はカマキリの体の半分を切ったに過ぎなかった。
──ドスッ!!
カマキリの頭部にフェルールの矢が突き刺さり、そのままカマキリは崩れ落ちた。
「キィィィィ!!」
カマキリが今際の際に甲高い声を放った。
「チッ! 仲間を呼ばれたか!!」
忽ち、玄室の外はカマキリの集団で覆われ、四人は一気に捕食対象となった。
カルシは力を込めて剣を抜くと、悔しそうにマグネを見た。
「私のせいね……」
「んなことないさ」
ギョロリとツヤツヤした目が四人を見つめ、一気に雪崩れ込んできた!!
玄室の入口の左右からマグネとカルシがそれぞれ剣を振るった。振り下ろしから再度身構えるまでの僅かな隙を、フェルールが矢で援護する。
「数が多いぞ!?」
「久々に来たから殖えてるのよきっと!!」
入口からワラワラとカマキリの軍隊が押し寄せる。
マグネの剣は一撃でカマキリを仕留めるが、時折カルシは仕留め損なっているため、フェルールの援護がカルシ寄りになってゆく。
──シュバッ!!
鋭いカマの水平薙ぎがマグネの肩を捉えた!
「──クッ!!」
「回復!」
フユハの治癒呪文がすかさず傷口を癒した。しかしマグネが怯んだ隙に押し寄せたカマキリが三体、同時にカマを振りかざした!
「捕縛!」
掛け声と共にカマが二つピタリと止まる。マグネは何が起きたのかを一瞬で理解すると、残る一つを引いて躱した。そして大きく息を吸い込むと、下からすくい上げるように思い切り力を込めてカマキリの腕を斬り付け、切断された腕が壁へと飛び、軽い音と共に地面へと落ちた。
「うおおおお!!!!」
マグネの剣はそのままの勢いで、フユハの呪文で動けなくなったカマキリへと襲い掛かった。動かない的は実に急所を狙いやすく、関節の細い節を狙い、残る二体を撃破した。
マグネの息が上がり始めた頃、玄室の入口はカマキリの死体で溢れており、経験値の青白い光が眩いほどに四人へと吸い込まれて行く。フユハは三人の手当を終え、フェルールが解錠した宝箱の中身を荷物袋へと入れ込んだ。
「流石に疲弊したか……フユハ、あとどれ位保ちそうかい?」
「後6割程になります」
「二人はまだ行けるか?」
「まだまだぁ!」
「私は行けます!」
「よし、それじゃあ地下四階へと向かおうか──」
「お待ち下さい」
フユハが立ち上がった三人を制止した。その手にはリースの手記が広げられている。
「その必要は無くなりました」
「?」
フェルールが問い掛けようと口を開く前に、フユハは続け様に言った。




