5-9
地下二階の最奥地、大きく開けた通路の先に、一際明るい景色が開け、豊かな自然が目いっぱいに飛び込んできた。
「うわぁ、綺麗……!」
山道を見下ろす四人はそれまでの苦労を忘れ、優雅で広大な大自然を堪能した。そして、彼女達がそこに居るという結果、苦渋の決断が横からスッと顔を覗かせる。
「……コレ、まだ下があるよ?」
マニエルが出口近くの脇道から伸びる地下三階への通路を指差した。
「ダメ……地下三階は危ないから行くなって言われてるわ」
リゼリアが制止した。それに続いてフユハが口を開く。
「しかしこのまま帰っては、エルさんの容態は悪くなるばかりです……」
「まあ、前金を貰ってるんだから、このままおめおめとは帰りにくいわね」
フランシスがフユハに同調した。
「そこの頼もしいバニーさんはどうなの?」
そしてフランシスはマニエルに匙を投げた。彼女が賛成すれば三対一でなし崩し的に更なる地下を進むこととなるだろう。しかし、マニエルはきちんとその判断をリゼリアへと委ねた。
「私はリゼリアの判断に従うわ……」
真面目な彼女の懸命な判断に、フランシスは軽く舌打ちをした。
「で? どうするのリーダー?」
フランシスが軽くリゼリアを睨んだ。リゼリアはフユハのポケットに向かって問い掛ける。
「地下三階にはどんな魔物が出るの?」
フユハのポケットに潜むフェリーがそれまでの沈黙を破り、顔を出して答えた。
「地下二階までは、村と街を繋ぐ通路としての機能が大きかったから魔物も殆ど居ないし、居ても雑魚ばかり。でも、地下三階からはそうは行かない。猛獣や巨人族が潜む恐ろしいダンジョンとしての本質が現れるのさ!」
その言葉に四人は未熟な探索者の末路を想像し、思わず唾を飲み込んだ。
「あなたは……手助けしてくれる?」
「地下二階よりは風が無いけれど、それでもオイラが飛ぶには適していない。オイラは相変わらずココさ」
フェリーがとても残念そうに手を振った。
「君達が行くならオイラは止めないよ。だってそれだけアイツを心配してくれてるんだろ? ならばオイラは全力でサポートをするだけさ。ただし、危なくなる二歩手前で帰るって約束してくれよ?」
その言葉に、リゼリアは決断を下した。
「行きましょう。でも氷結草が見つかったら直ぐ帰るわよ」
「ふん、当たり前よ」
「ですね」
「……やっぱり怖いけど行かないと」
四人は決意も新たに、出入りの少ない地下三階へと続く通路を降りて行った…………。




