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「そろそろMP切れだ。一度帰るか」
「そうだね。調査的には十分だと思うよ。オイラの見立てでは今回の変動期は一ヶ月だろうね」
地下五階の中層にて、四人はキャンプを張っていた。聖水の魔除けを施し、岩場に腰掛けるエル。続いてマニエルとフユハもゆっくりと腰を落とした。
「あのさ……こんな物しか手に入らなかったんだけど……さ」
エルは黒い光沢のある裾の短い服をマニエルに差し出した。それは脚を覆う部分も無く、ボディラインが露わになるほどに、肌にピッタリと張り付く服であった。
「…………」
困惑するマニエル。
「これもセットなんだが……」
エルは更にウサギの耳のような飾りが付けられたヘアバンドを取り出した。
「…………えぇ……っと…………」
マニエルは服とエルを交互に見た。最早装備とは言い難い代物ではあるが、何より見た目が嫌とかそういう事よりも、これを渡すエルの神経を疑った。
「困ったことに、装備品としてはそこそこなんだ……マジで」
「……もっとマシな物は無かったのかい? 君って奴は失礼にも程があるよ、全く……」
ブツクサとエルの悪態を突きながら、フェリーはエルの道具袋の家捜しを始めた。そして銀に輝く円盤を取り出した。
「盾もあげようよ。いくら何でも可哀相だよ」
盾と言いながらも、それには持ち手が着いておらず、しかしかなりの硬度を誇る代物にそれなりの価値を感じたマニエルは、渋い顔ながらも礼を述べた。
「ココで一度着て貰う訳にはいかないか?」
「そうだね。サイズが合わないといけないし……」
二人の顔付きがだらしなくなっていくのが、マニエルには容易に見て取れた。そして無言でフユハに助けを求めた。
「可愛いお洋服ですね。私も着てみたいです」
「!?」
マニエルは意外な返答に困惑した。リゼリアやフランシスなら無言で捨てるか売り捌く事間違い無しだが、まさかフユハがこう言った衣装に興味を示すとは思わなかったのだ。
「そうか!? ならいつかフユハちゃんのも用意するからね!?」
エルの顔付きが一段と緩くなった。
「気に入らなかったら売ってもいいから! 5000Gにはなるから! 頼む、一度だけ……!」
「──!?」
マニエルは5000Gと聞いて目玉が飛び出る程の衝撃を受けた。こんな薄い奇抜な生地が、何故5000Gもするのか、マニエルには理解し難い謎であった。しかし、そのような高価な物を頂いた以上、袖を通さずに売り捌くのは、些か失礼では無いか。そうも思ってしまうのが、彼女の優しい所でもあった。
「…………後ろを向いていて下さいね?」
「了解!」
「喜んで!」
アホ二人が光速で後ろを向くと、マニエルは今着ている布の服の下に、エルから手渡された衣装を装備した。
「……どう、ですか?」
二人が光の速度を超えて振り向き、そしてマニエルの姿を一目見るなり鼻血を吹き出して倒れた。
「バニーちゃん……最高……!」
エルはとても嬉しそうな顔をしたまま、己の血を浴びて気絶した。




