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4-3

 三人を生還を背中で感じたリゼリアは、目の前の脅威に集中していた。


「巨大な鋏は右手だけ……一度捕まれば死ぬ……ヤバい、足が…………」


 殿を買って出たリゼリアであったが、逃げる余裕も無く、立ち向かう力も無く、その命は風前の灯火であった。


 鋏が開いたかと思うと、目にも止まらぬ速さでリゼリアへと襲い掛かり、間一髪避けたかと思うと、リゼリアの腰に下げていた道具袋が鋏の中に収まって、見事に砕かれていた。


「……大事な回復薬が!!」


 虎の子の薬を失い、焦り始めるリゼリア。致命傷を避けても、リゼリアが使える回復(ヒール)は回復量が僅かばかり。


 ジリジリと後ろへと引くが、カニも距離を詰める。鋏の金属音が狭く薄暗いダンジョンに木霊した。


「……一か八か」


 リゼリアは全力で駆け出した!! 地上と出てしまえば、生命活動維持に魔力が必要な魔物は追っては来られない。地上までの僅か数分を逃げ切れば命は助かるのだ!


「あ゛あ゛ぁぁぁぁー!!!!」


 リゼリアは足首の激痛で躓き、そして地面へと転がった。


 金属音が鳴り、その赤黒い鋏の上から、鮮血の赤が垂れていた。


 地面にリゼリアの血が夥しく広がり、痛みと熱と死の鼓動がリゼリアに襲い掛かった……!!


「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いいたいいたいいたいいたいいたい!!!!」


 ズルズルと片足で地面を蹴り藻掻く。回復(ヒール)を唱えても血が止まりきらず、どうやら傷はかなり深いようだった。


「──立てない……!! 誰か……誰かぁぁぁぁ!!!!」


 リゼリアの声はダンジョン入口から地上まで轟いた。しかしそれに答える者は居なかった。


 金属音が二度鳴り、そして鋏が目の前で大きく開き、リゼリアは強く眼を閉じた──



 小さな金属音が聞こえ、カニが後ろに引く音が聞こえた。リゼリアがそっと目を開けると、カニの目にはダーツが刺さっており、後ろにはエルフの男に抱えられたフランシスが居た。


「リゼリア! お待たせ!」


「フランシス!!」


 リゼリアの顔に希望の色が見え始めた。

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― 新着の感想 ―
[一言] フランシスうううう!!!!
[一言] ヒーローもといヒロインはピンチの時にやって来る。
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