第5話
第5話です。次回が最終話です。
ぜひご一読ください!!
高級感溢れるドアが自動で開く。
「やぁ。けいじ。」
「あなたは、おじい様!?」
椅子に腰をかけている人は、俺のおじい様だったのだ。
「おい、AI!取締役を出せと言っただろう?なぜ、おじい様を出したんだ!」
冷や汗をかきつつAIに尋ねた。
すると、返ってきたのは
「あなたの祖父が、取締役です。」
という言葉だった。
その事実を知り、体が固まる。
氷漬けにされたかのように。
そんな様子を察したのか、おじい様は嫌な視線を向けたあと、声をかけた。
「けいじ。お前がここまで馬鹿だなんて、信じ難いよ。お前は泰谷の人間なのに。」
その一言で、俺の頭が怒りを通り越して、冷静になった。
「おじい様、あなたがそんな馬鹿な人間だと思いませんでした。最低ですね。」
精一杯睨みつける。
「ははは。お前は、まだ小さいからとチップを埋め込まなかったが、お前にも埋めた方が良かったかな?」
冷静になった頭が、またフリーズする。
「え、今なんて?」
「お前以外の泰谷の人間には、チップを埋め込んでいる。だから、お前だけ落ちこぼれなんだよ。」
グツグツと怒りを煮込む。
これまでの怒り全てをぶつける。
「お前のせいで、お前のせいで!」
「私が何をしたと言うんだい?私のお陰で、働かず、暮らせるようになった。感謝をするべきじゃないかい?」
「お前がチップ制度を生み出したせいで、人間らしさを失って、苦しんでいるんだぞ。分からないのかよ!」
俺が尊敬していた人は、もういない。
「チップを埋めていない人間の頭では分からないのか。効率的で合理的なこの社会の素晴らしさが。全員が同じ行動、格好、表情をとる良さが。」
その瞬間、あいの顔が脳裏に浮かんだ。
いつも同じ行動、同じ笑い方をしている姿が。
あぁ、そうだったのか。
「俺はお前を絶対に許さない。」
「あぁ、そうかい。もうお前と話すのは疲れたよ。おい、AI。コイツを追い出せ。」
「かしこまりました。」
「クソ、待てよ!このクソジジイ!」
「はぁ。お前には心底ガッカリしたよ。」
高級感溢れる扉が閉まる。
家に帰ると、あいが椅子に座り、珍しく足を組んでいた。
まるで俺を迎え撃つかのようだ。
「ただいま。」
「おかえり。けいじ君、私の正面の椅子に座って。」
あいの鋭い声質に恐怖を覚える。
言われるまま、座る。
するとあいが光る液晶版をこちらに向けながら口を開いた。
「この投稿、けいじ君がしたんだよね?それと、チップ制度を生み出した人を知ったんだね?」
疑問形だが、やはり、あいは確証を持っているようだ。
「あぁ、みんなを救いたかった。それと...。正直に言うよ。あいに褒められたかった。だから、俺がした。」
すると、あいが机を強く叩きつけた。
「先に相談、してよ。そんな事しなくても、私はけいじ君の事を褒めるよ!」
あいは机を強く叩きつけ、苛立ちを露わにする。
「ごめん。あい、その、君に伝えたいことがある。あのさー」
インターホンが不吉な音を鳴らす。
まるでこれからの展開を表すかのような音。
俺は、腹を括った。
「行ってくる。」
「行かないで。」
そんな、あいの懇願から背を背ける。
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