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閑話 襲撃の魔族 2

 

 新大陸での一般論は魔族は魔物を使役し、新大陸を襲っているとされていた。

 その話を信じて戦ってきたボレアス達だったが和平を望む魔族、ユリウスによってその話が真実ではないことを知らされる。


「そんな…それでは俺達が今まで倒してきた魔族は…?」


 今まで新大陸で遭った魔族は問答無用で葬ってきた。その魔族のなかには抗戦してきたものも居るし、逃げ出そうとしたものもいる。その全てを彼らは倒してきたのだ。

 今回だって貴族の集まるパーティーという場でなければ、ユリウスの話を聞くこともなく彼を殺すべく動いていただろう。


「魔族が魔物を操ることが出来ないのは本当です。しかし全ての魔族が人間との和平を望んでいるわけではありません。むしろ私のような魔族の方が少数でしょう。だから今まで新大陸で出会った魔族を殺したことを悔やむのは止めてください。新大陸に来るのはいつ死んでも構わないと言う決意が必要ですから」


「そうか…わかった。俺は貴方の言葉を信じよう。戦わないので済むのであればそれが一番だろう」


 ボレアスはユリウスの言葉を信じることにした。しかしそれに異を唱えたのはいつの間にか戻って来ていた先程のリィカという若い女性だった。


「そんな話、信じられるか!私達は魔物に村を壊滅させられた人達に会ってきたしそのなかには魔族に襲われた人だっていた!使役できないなら何故一緒に襲ってくるんだ!」


「操ることは出来ませんが、巻き込むことなら可能です。例えば貴方達が魔物と戦って逃げたとします。そのまま魔物が追ってきて村までやって来たとき魔物は貴方達だけを狙いますか?」


「それは…」


「確かに村を襲った魔族は居たのでしょう。しかしその魔族が魔物を操っていたわけではないはずです」


「うぅ…」


 ユリウスの言い分にリィカは返事を詰まらせる。しかし理解はできても納得がいかないのだ。


「そ、それでも魔族が村を襲ったのは否定しないんだろう!?お前だって魔族じゃないか!」


 リィカがそう言うとユリウスは困ったような顔を浮かべた。リィカはユリウスが反論出来ないのだと思い、更に責め立てる。


「ほらな!結局魔族なんて信じられないのさ!」


「…私の父は人間に殺されました」


「え!?」


 ユリウスが俯きながらも言った言葉にリィカは固まった。


「私の父は魔族の五大家長のひとつ、ヴァンプロード家の当主でした。五大家長は代表戦争に必ず出なければなりません。しかし父も私のように和平に賛同してくれていました。だから代表戦争に出た際も人を殺すことはなく、血を吸うだけに留めていたようです。しかし前回の代表戦争で、人間側は吸血鬼狩りを専門とする人員を動員し父は討たれました」


 ユリウスが顔を上げ告げると、今度はボレアス達が顔を下げる番だった。しかしユリウスは未練は断ち切ったと告げる。


「確かに私の父を討ったのは人間でしょう。しかしそれで人間を恨むことはしません、そもそも代表戦争とはそう言うものです。おかしいとは思いませんか?代表戦争以外での魔族と人間の争いは禁止されています。逆に言えば代表戦争では殺し合いを認めているんですよ?」


 私のように断ち切らなければ負の連鎖が途切れることはないのではないでしょうか?ユリウスはそう言って言葉を切った。


 ボレアス達はユリウスの言葉に何も返すことが出来なかった。彼らはそこまで深く考えてこなかった。代表戦争では魔族を倒すものだと思ってきたし、それ以外の時も魔物を狩り続ける生活を繰り返しては来たが責任感のもとにやって来ていたわけではなく、魔族や魔物への恨み、救った人々の称賛、もしくは惰性で続けていて結果を求めても理由は求めなかった。


 それを敵としてきた魔族に諭されているのだ。先程まであれほど食って掛かっていたリィカも今は頭を垂らすのみである。


 そんなボレアス達の悩む時間は長くはなかった。突如爆発音が響きパーティー会場の壁に穴が開いた。幸いその付近に人は居なかったようで怪我人等は出なかったが、その壁を壊して魔族が現れたのだ。


「俺こそはヴァンプロード家ラルクの息子ユリウス!親父を殺したお前ら人間を皆殺しにしてくれる!」



本編よりも本編らしくなっている閑話w


もう一話で纏められる見込みです。


時間更新は月曜日予定です。

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