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古代精霊の選出方

 

「すまぬ。その頼みを聞くわけにはいかぬ」


 今までかなり好意的に接してくれていたので、この返答は予想外と言ってもよいものでした。


 姫様の治療がすんだ後、私達は改めてリーン様に当主会議の際に姫様に協力してくれるように頼みに行きました。


「ルージェを推せば妾は古代精霊の頂に居るわけにはいかなくなるのじゃ」


 返ってってきたのは苦い顔をしながらも、協力は出来ないと言うリーン様のお言葉。

 それは何故なのか聞いてみようとも思いましたが、リーン様の辛そうな表情を見る限りでは本意では無いのもわかります。


「ここから先は私が説明いたします」


 どうすればいいか悩んでいると、助け船を出してくれたのは補佐官のリジェさんでした。


「リーン様、残りは私から説明いたしますのでどうぞお休みください」


 リジェさんは自分が話すからとリーン様に席を外すよう勧めましたが、リーン様はそれをよしとはしませんでした。


「ならぬ。これは古代精霊としての責務じゃ。リジェに全てを任せておくわけにはいかぬ」


 そのリーン様の言葉にリジェさんは手で顔を覆い泣き出しました。


「あぁ!本当に立派になられて…ラッツ様は私に全て丸投げで女性を追いかけてばかりでしたのに…!私の育て方は間違っていなかったのですね…!」




 リジェさんが落ち着いた後どうして協力をすることが出来ないのかを説明してくださいました。


「お二人は古代精霊の長の決め方を知っていらっしゃいますか?」


 そう言えばどうやって決めているのでしょうか?何回か差し替え以外の理由で家長が変わったことがあるのは知っていますので、龍帝様の様に同じ人物がやっているわけではありませんし、それほど頻繁には変わらず、長い間同じ人物が家長として居ることも多いので獣王様の様に強さで変わるものでも無いのでしょう。


「そう言えば存じ上げておりませんでした。その選出方法が協力出来ないと言う理由なのでしょうか?」


「私も知らないわ。書物にも乗っていた記憶が無いから秘匿事項なのかしら?」


「理由としては選出方法と言うので正解です。あまり知る人物が居ないのは、精霊が気まぐれで適当なことを言うからですかね」


 リーン様やリジェさんのような上位精霊は、精神も落ち着いてきていてこのように理知的に会話も出来るのですが、中位以下の精霊は子供のようなもので悪戯と適当な事を言って相手をからかうのが生き甲斐みたいになっています。まぁそれでも自分より上位の精霊の言うことは聞くので一応種族として纏まっては居るのですが。


「そ、そうなの…」


 姫様もそんな理由とは思っていなかったのでしょう。口では理解を示す言葉を言っていますが顔が少しひきつっております。


「精霊とはそう言うものなのだと理解していただけると幸いです。それで我々精霊の家長の選出なのですが…年齢です」


「「は(い)?」」


 姫様と声が被ってしまいました。それはそれで嬉しいのですが。


「年齢ですか…?」


 冗談であってほしいものですが、リジェさんもリーン様も真剣な表情ですので本当の事なのでしょう。


「はい。我々精霊の精神は成熟するまでに長い年月を必要とします。そして未熟なものが周りの者を率いる立場になってしまうと種族全体の危機に繋がる可能性もあります。なので長く生きているものを長とすると決めているのです」


「つまりは今回の場合、相手が姫様のお兄様であるのが問題と言うことでしょうか?」


 私が質問するとリジェさんは頷きました。


「はい。今回リーン様がルージェ様に協力してしまうと他の精霊達から批判を受けてしまう可能性があるのです」


 確かに今までそのように決めていたとなりますと、今回他家とはいえ姫様に協力することが難しいのでしょう。


「そうね…病気を治してもらっただけでも感謝しなくちゃ。大丈夫、お時間を割いていただきありがとうございました。私達はそろそろお暇させていただきます」


「本当にすまぬの…また機会があればまた遊びに来てくれぬか…?」


「えぇ、今度は私の知り合いもつれて皆で遊びに来るわ。だから気にしないで」


 姫様がそう伝えるとリーン様はホッとしたような顔をして、それから笑顔でいいました。


「うむ!是非待っておるからな!」



 こうして精霊の森を後にした私達は、ヴァンプロード領への帰途につくのでした。


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