第六話 盗んだ理由
この作品はとある配信者さん達をモデルにした二次創作です。
実際の人物には関係の無い話なのでもしモデルの配信者を見つけてもその方の配信などで話題に出すのはお控えください。
自分で読む用ですので読みずらかったらすいません。
夜の村は昼より静かだった。
家々の窓から漏れる灯りだけが石畳を照らしている。
その上を、小さな影が走っていた。
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「速ぇな!?」
マッキーが叫ぶ。
「いや待て待て待て! あれ本当に子供か!? 村のガキってあんなに足速いもんなのか!?」
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前を走る影は振り返らない。
細い路地を曲がり。
木箱を飛び越え。
さらに加速する。
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雪猫は淡々と追いかける。
呼吸も乱れない。
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「お前も何か言えよ!」
マッキーが並びながら叫ぶ。
「普通こういう時は『右だ!』とか『逃がすな!』とかあるだろ!」
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「見失ってない」
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「そういう問題じゃねぇんだよ!」
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影はさらに奥へ。
人気のない区域へ入り込む。
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やがて行き止まりに辿り着いた。
高い石壁。
逃げ場はない。
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小さな影が立ち止まる。
肩が震えていた。
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子供だった。
十歳くらいだろうか。
痩せている。
服も古い。
靴は擦り切れていた。
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マッキーが息を整えながら近付く。
「よし、追いついた」
そして腰に手を当てる。
「さて問題だ。盗んだ財布はどこでしょうか」
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子供は財布を抱き締める。
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「……返さない」
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「いや返せ」
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「嫌だ」
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「返せって」
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「嫌だ!」
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マッキーは頭を掻いた。
「うわぁ頑固だなぁ……」
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子供は一歩下がる。
目には明らかな警戒と怯えがあった。
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「近付くな!」
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「近付かねぇから返せ!」
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「矛盾してるぞ」
雪猫が言った。
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「どっちの味方だよお前!」
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「どちらでもない」
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「味方してくれよ!」
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子供はますます混乱した顔になった。
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雪猫はそんなことを気にせず子供を見る。
何も言わない。
ただ観察する。
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痩せた腕。
汚れた服。
震える足。
落ち窪んだ目。
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そして。
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「腹が減っているのか」
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子供が固まる。
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マッキーも固まる。
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「……は?」
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雪猫は続ける。
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「三日くらい食ってないな」
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「分かるのか?」
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「何となく」
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「何となくで当てるなよ怖ぇよ!」
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子供の唇が震える。
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そして。
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「だって仕方ないだろ!」
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突然叫んだ。
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「母ちゃん病気なんだ!」
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声が路地裏に響く。
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「働けないんだ!」
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「薬も買えない!」
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「俺が何とかしなきゃいけないんだ!」
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「だから……!」
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そこで言葉が詰まる。
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握る財布が震えていた。
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「だから……盗むしかなかったんだ……」
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沈黙。
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夜風だけが吹く。
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マッキーは口を閉じた。
説教するつもりだった。
怒鳴るつもりだった。
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だが目の前にいるのは悪党じゃない。
追い詰められた子供だった。
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子供は俯く。
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「悪いことなのは知ってる」
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「でも……」
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「でもどうすればいいか分かんなかったんだよ……」
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涙が落ちる。
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雪猫はしばらく黙っていた。
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やがて財布を指差す。
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「返せ」
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子供の顔が歪む。
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「でも!」
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「返せ」
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静かな声だった。
怒鳴りもしない。
責めもしない。
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それでも逆らえない声だった。
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「盗みは盗みだ」
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「理由があっても変わらない」
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子供は俯く。
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悔しそうに。
悲しそうに。
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それでも。
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財布を差し出した。
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雪猫は受け取る。
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そして。
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ぽすん。
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何かが子供の頭に乗った。
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「……え?」
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見る。
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串焼きだった。
二本。
しかも温かい。
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子供は固まる。
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マッキーも固まる。
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「お前」
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雪猫は視線を逸らす。
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「食え」
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「え……?」
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「冷める」
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子供は串焼きと雪猫を交互に見る。
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信じられない。
そんな顔だった。
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「でも……」
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「食わないなら俺が食うぞ」
マッキーが言う。
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「!?」
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子供は慌てて串焼きを抱え込んだ。
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「食べる!」
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「よし」
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「何でお前が満足そうなんだよ」
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「こういうのは雰囲気だろ」
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「意味が分からん」
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子供は恐る恐る一口かじる。
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そして。
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涙を零した。
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「うまい……」
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もう一口。
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「うまい……」
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ぽろぽろと涙が落ちる。
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それでも食べる手は止まらない。
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雪猫は何も言わない。
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マッキーだけが小さく笑った。
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「ずるいよなぁ」
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「何がだ」
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「そういうやり方」
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雪猫は首を傾げる。
本気で分かっていない顔だった。
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「この子、たぶん一生忘れねぇぞ」
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「飯を食っただけだ」
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「違ぇよ」
マッキーは笑う。
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「腹減ってる時に助けてもらったことってな」
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少し空を見る。
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「案外ずっと残るんだ」
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雪猫は何も言わなかった。
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子供は串焼きを抱えたまま頭を下げる。
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「ありがとう」
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深く。
何度も。
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雪猫は少しだけ困った顔をした。
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どう返せばいいか分からない。
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だから。
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「母親の所へ帰れ」
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それだけ言った。
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子供は何度も頷く。
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そして夜の路地を走っていった。
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静寂が戻る。
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マッキーはその背中を見送りながら笑う。
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「なぁ雪猫」
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「なんだ」
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「お前、自分が結構良い奴だって自覚あるか?」
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「ない」
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「だろうな」
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「気のせいだ」
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「そういうことにしといてやるよ」
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二人は宿へ向かって歩き出す。
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夜風が吹く。
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隣には誰かがいる。
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まだ友達とは呼ばない。
仲間とも呼ばない。
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けれど。
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一人だった旅は。
少しだけ変わり始めていた。
――続く




