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月夜の旅人  作者: rouge
第三章 鈴の鳴る森
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第四十四話 夜明け前

この作品はとある配信者さん達をモデルにした二次創作です。

実際の人物には関係の無い話なのでもしモデルの配信者を見つけてもその方の配信などで話題に出すのはお控えください。

自分で読む用ですので読みずらかったらすいません。

夜は、長かった。


---


焚き火は小さくなり。


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森は相変わらず静まり返っている。


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だが。


---


“何も起きていない”という状況が、逆に全員の神経を削っていた。


---


マリーは毛布にくるまりながらも、眠れていない。


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マッキーは周囲を見張りながら、時折肩を回す。


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ガレスは馬車の陰で武器を確認していた。


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少年は完全に寝落ちしている。


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そして。


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雪猫だけが、動かない。


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焚き火の向こう。


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森の闇を見続けている。


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マッキーが小声で言う。


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「……まだいるんだよな?」


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「いる」


雪猫は即答した。


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短い。


迷いがない。


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マリーが不安そうに聞く。


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「近づいてきてるんですか?」


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「いや」


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雪猫は少しだけ間を置く。


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「まだ動いていない」


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「でも消えてもいない」


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ガレスが顔をしかめる。


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「気味悪ぃな……」


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風が一度だけ通り抜けた。


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その瞬間。


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焚き火の火が揺れる。


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ぱち、と音が鳴る。


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雪猫の耳がわずかに動いた。


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「来る」


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「え?」


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マッキーが立ち上がる。


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次の瞬間。


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森の空気が変わった。


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重くなる。


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“圧”のようなものが、じわりと押し寄せる。


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マリーが息を詰める。


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「……これ」


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「さっきより、近い……!」


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ガレスが歯を食いしばる。


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「おいおいおい……!」


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そして。


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森の奥。


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暗闇の中に。


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二つの赤い光が、ゆっくりと浮かび上がった。


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それは、歩いているというより。


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“こちらを見定めながら近づいてくる”動きだった。


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マッキーが低く言う。


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「……でけぇな」


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雪猫は刀の柄に手を置く。


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抜いてはいない。


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だが、いつでも抜ける距離。


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マリーが小さく呟く。


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「これ……魔狼じゃないですよね」


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「違う」


雪猫が答える。


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「上位種だ」


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ガレスが息を呑む。


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「そんなの聞いてねぇぞ……」


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赤い光が、少しずつ距離を詰める。


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焚き火の光が届くかどうかの境界。


---


そこまで来て。


---


ぴたり。


---


止まった。


---


沈黙。


---


森と、人と、獣の間に。


---


張り詰めた線だけが残る。


---


そして。


---


低い声が、森から響いた。


---


「……人間」


---


それだけだった。

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