第四話 守る理由
この作品はとある配信者さん達をモデルにした二次創作です。
実際の人物には関係の無い話なのでもしモデルの配信者を見つけてもその方の配信などで話題に出すのはお控えください。
自分で読む用ですので読みずらかったらすいません。
悲鳴は村の北側から聞こえた。
それは一度では終わらない。
二度。
三度。
恐怖は連鎖する。
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雪猫は走る。
その隣をマッキーが駆ける。
土を蹴る音が重なる。
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村外れへ出た瞬間。
原因はすぐに分かった。
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黒い影。
歪み。
昨夜と同じ。
だが数が違う。
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一体。
二体。
三体。
四体。
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人間が逃げ惑っていた。
泣き叫ぶ子供。
転んだ老人。
動けなくなった母親。
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影はゆっくり近づいている。
獲物を楽しむように。
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「面倒だな」
マッキーが武器を肩に担ぐ。
だが口元は笑っていた。
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「面倒だな」
雪猫も同じ言葉を返す。
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そして。
二人同時に踏み込んだ。
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轟音。
地面が弾ける。
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マッキーの一撃が最前列の影を吹き飛ばす。
黒い身体が空中で砕け散る。
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同時に。
雪猫の刀が夜を切る。
一閃。
影が音もなく消滅した。
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「左!」
マッキーが叫ぶ。
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雪猫は振り向かない。
すでに動いている。
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背後から襲いかかった影を切り裂く。
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「右!」
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「見えてる」
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短い会話。
だが十分だった。
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二人とも理解している。
戦い方を。
呼吸を。
間合いを。
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出会って一日も経っていない。
それなのに。
妙に噛み合う。
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最後の一体が逃げようとする。
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マッキーが追う。
だが。
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その瞬間。
雪猫の目が細くなる。
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「待て」
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マッキーが止まる。
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理由は聞かない。
聞く前に分かる。
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気付いたからだ。
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最後の一体は囮だった。
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地面が割れる。
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巨大な腕が飛び出した。
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村の中心へ。
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狙われているのは戦士ではない。
住民だ。
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「クソッ!」
マッキーが叫ぶ。
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間に合わない。
距離が遠い。
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逃げろ。
そう叫ぶより早く。
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巨大な影が子供へ迫る。
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泣いている。
動けない。
足がすくんでいる。
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誰も間に合わない。
はずだった。
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次の瞬間。
雪猫がいた。
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一瞬だった。
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まるで最初からそこにいたように。
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巨大な腕と子供の間。
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刀が振られる。
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斬撃。
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黒い腕が崩れる。
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衝撃だけが周囲へ広がる。
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子供は呆然としていた。
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雪猫は振り返らない。
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ただ短く言う。
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「下がってろ」
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子供は何度も頷いた。
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巨大な影が咆哮する。
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雪猫は前へ出る。
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その横に。
当然のようにマッキーが並ぶ。
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「相変わらず無茶するな」
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「そうか?」
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「そうだろ」
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マッキーは笑う。
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「間に合わなかったらどうする気だった」
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雪猫は少し考える。
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本当に少しだけ。
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「間に合わせた」
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「理屈になってねぇ」
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「結果だ」
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「無茶苦茶だなお前」
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二人は同時に踏み込む。
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一撃。
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二撃。
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三撃。
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巨大な影が崩れる。
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静寂が戻る。
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村人たちは言葉を失っていた。
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やがて。
一人の子供が近づいてくる。
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先ほど助けた子供だった。
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小さな手が雪猫の服を掴む。
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「ありがとう」
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雪猫は固まった。
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数秒。
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本当に数秒。
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何を返せばいいのか分からなかった。
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助けた。
終わった。
それだけだった。
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礼を言われる理由など考えたこともない。
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だから。
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「……そうか」
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それしか言えなかった。
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子供は笑った。
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そして走って家族の元へ戻っていく。
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その背中を見送りながら。
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マッキーが隣で呟く。
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「案外、向いてるかもな」
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「何がだ」
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「誰かの隣にいるの」
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雪猫は答えない。
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ただ。
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ほんの少しだけ。
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胸の奥に残る温かさを感じていた。
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知らない感覚だった。
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だから気付かないふりをした。
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夕暮れが近づく。
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二人の旅は。
まだ始まったばかりだった。
――続く




