第三話 隣を歩く理由
この作品はとある配信者さん達をモデルにした二次創作です。
実際の人物には関係の無い話なのでもしモデルの配信者を見つけてもその方の配信などで話題に出すのはお控えください。
自分で読む用ですので読みずらかったらすいません。
朝だった。
森の木々の隙間から差し込む光が、夜露を照らしている。
静かな朝だった。
少なくとも雪猫にとっては。
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「腹減ったな」
静寂は、一言で終わった。
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雪猫は歩く。
後ろからついてくる足音。
無視する。
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「なぁ」
無視。
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「おーい」
無視。
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「雪猫くーん」
「なんだ」
五回目で返事をした。
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マッキーは満足そうに笑う。
「返事するじゃねぇか」
「うるさいからだ」
「なるほど」
全く堪えていない。
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雪猫は小さくため息を吐く。
昨夜の戦いのあと。
なぜかこの男は当然のようについてきた。
追い払ってもいい。
だが追い払う理由もなかった。
だから放置した。
結果がこれである。
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「飯あるか?」
「ない」
「俺はある」
「そうか」
「食うか?」
「いらない」
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マッキーは干し肉を一口かじる。
二口目をかじる。
三口目をかじる。
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そしてわざとらしく言った。
「うめぇ」
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雪猫は無視した。
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「めちゃくちゃうめぇ」
無視。
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「人生で一番うめぇ」
「それは嘘だな」
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即答だった。
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マッキーは吹き出した。
「食いついた」
「嘘だったからな」
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雪猫は気付いていなかった。
こういう会話自体を、長い間していなかったことに。
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昼になる。
街道に出る。
小さな村が見えた。
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「寄るか?」
マッキーが聞く。
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雪猫は少し考える。
本来なら通り過ぎる。
必要がない。
人の多い場所は面倒だ。
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だが。
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「……寄る」
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マッキーが目を丸くする。
「意外だな」
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雪猫自身も少し意外だった。
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村は平和だった。
市場の匂い。
子供の声。
洗濯物が風に揺れる。
どこにでもある景色。
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雪猫はあまり好きではない。
だが嫌いでもない。
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「おっちゃん!」
突然マッキーが屋台に突撃する。
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「串焼き三本!」
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店主が笑う。
「金はあるのか?」
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「ある!」
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元気だった。
無駄に。
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数分後。
マッキーは串焼きを持って戻ってくる。
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一本差し出す。
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「ほら」
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雪猫は見る。
串焼き。
湯気。
肉の匂い。
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「いらない」
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マッキーは頷く。
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自分で食べた。
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「じゃあ俺が二本食う」
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雪猫は少しだけ眉をひそめる。
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「……一口だけだ」
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マッキーは笑った。
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「素直じゃねぇな」
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雪猫は返事をしない。
代わりに串を受け取る。
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温かかった。
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その感触に。
ほんの少しだけ。
昔を思い出しそうになる。
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思い出せなかった。
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だから食べた。
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普通の味だった。
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「どうだ?」
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マッキーが聞く。
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雪猫は少し考えて答える。
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「悪くない」
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マッキーは満足そうに笑った。
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その時だった。
村の外から悲鳴が聞こえる。
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一瞬で空気が変わる。
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雪猫の表情も。
マッキーの表情も。
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「仕事だな」
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マッキーが立ち上がる。
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雪猫も立つ。
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だが今度は違った。
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昨夜までは一人だった。
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今は。
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隣に誰かがいる。
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その事実を。
雪猫はまだ認めていなかった。
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けれど。
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少しだけ。
悪くないとも思っていた。
――続く




